【連載㉒】熊本地震取材日誌(2016年の今日、熊本で何があったのか?)

5月5日木曜日昼

【熊本地震現地報告】

昨日は僕の持っている寒暖計で30度を超えました。避難所で配られた飲料水はあっという間になくなってしまいました。今回の震災と阪神淡路・東北震災の違いは「被災者が避難所を出て自家用車やテントで過ごす」人が目立つことです。お金に余裕がある人とそうでない人の避難生活にかなりの差が既に出ています。裏を返せば「政府・行政・議員はアテにならない」と被災者が見切っているとも言えます。被災にあったにも関わらず車の駐車が多く稀に「熊本以外の車」がとまっています。昨日こんなことがありました。僕がたまたま避難所を出て被害のあった地域を歩いていた時「不審な人物」が半壊した家の中に入ろうとしていました。即、警察へ!と思いましたが間違ったら大変なことです。しかし泥棒に入る瞬間だったらオオゴトです。念のため近くに居た警察官に事情を説明し来てもらました。警察官はその男に近づくと男は一目散に逃げて行きました。ですが警察官にあっという間に御用になりパトカーに連れて行かれました。聞くと他県から来た泥棒で既に数万円の金品を盗んでいたとのことでした。白昼堂々と。まるで刑事ドラマを観ている感じでした。ある意味怖かったですね。それからこんなこともありました。全壊した家から子供達数名が「陶器」を持って出て来たのに遭遇しました。「君たちダメじゃないか!ここは君達の家じゃないんだろう?」子供達はうろたえました。「うるせえ、よそ者のくせに」。確かに僕は「よそ者」です。でも悪いことは悪いと注意しなければなりません。僕は子供達に出来るだけ優しく接し、子供達もわかってくれたのか?陶器を家の中に戻しました。学校に行けず、何もかも不自由な気持ちは十分わかりますが「未来のある」子供達が例え遊び半分でもそういうことをしてしまっては絶対にいけません!「確かに僕は『よそ者』だ。でもやっていいことと悪いことは例え『よそ者』でも注意してやめさせなければならないんだ。誰も見ていないからと言って他人のモノを盗んじゃだめだよ。仮に遊び半分でもこんな遊びはやめなきゃだめだよ。もし君たちの家で同じようなことがあったら泥棒を恨むだろう?今後は絶対にやってはいけないよ」。子供達は泣きながらの場をその場を去っていきました。僕は何ともやるせない気持ちになりました。その後僕は避難所に戻り「被災者の相談」を続けました。しかし昨日の避難所の中はまさに「サウナ」状態。男性も女性も洋服を脱ぎだしました。男性はともかく若い女性が肌を露出すると男性の視線を感じました。阪神淡路でも東北震災でも「レイプ」がかなり横行しました。今回も……でも僕の杞憂でしょうか?そうですね考え過ぎですね。他方「男性の中」にはとうとう「お酒」を飲みだす被災者も出てきました。お酒を飲むのはダメだとは言えません。ですが東北震災の時「お酒におぼれた被災者」を何人も見てきました。今後どうなってしまうのでしょうか?お酒で何もかも忘れたい気持ちはわかりますが……夕方化粧室に行った後外に出てみました。目の前は車とテントで溢れていました。何気に避難所の裏側に人影を感じました。行ってみると酔っ払った被災者のオジサンが肌を露出した女子高生に絡んでいました。さてどうしたらいいものか?僕は酔っぱらった男性に近づき「オジサン、女子高生嫌がっているじゃないか。離してあげなよ」。そのオジサンは僕に急に殴りかかってきました。かなり体格のいいオジサンでした。これでは女子高生も簡単に逃げられません。僕は倒れました。ですがオジサンが女子高生を離しました。僕は女子高生に「避難所に戻りな」と言いました。かなり服が乱れた女子高生は泣きながら走って行きました。僕は立ち上がりオジサンと取っ組み合いになっても構わないと覚悟を決めました。しかしどうでしょう。そのオジサンは急に泣きながら座り込みました。僕はこれ以上何もすることも言うこともしませんでした。これは単なる「じゃれ合い」だったのか?それともあのまま見過ごしていたら「レイプ」に発展していたのか?それはわかりませんがこれはほんの一例です。他の避難所でも同じようなことが起こっていないことを祈るばかりです。現在も今後も……。人間の人生は本当に「不公平」だと感じました。この震災さえなければ「オジサン」はGWを家族で満喫して楽しい時間を過ごしていたことでしょう。女子高生も部活に精を出していたかもしれません。全てが震災のせいでやらなくてもいいことをしてしまっている。昨晩は強気な僕でさえもかなり落ち込みました。行政も熊本市区町村の議員達も一体何をしているのでしょうか?僕が自分の目で見た議員はご飯を配ったり、偉そうにボランティアに指示するだけで「自ら自分の服を汚す」ことは全くしていません。素人の僕が命を懸けてレスキューした時も議員はただ見ているだけ。被災者の方々への相談も一切していません。年収1200万円に政務調査費月額10万円以上ももらっているのに「命」を賭けて被災者を救おうとしている県議・市議・町議には会うことはできませんでした。FBの中にも熊本の議員はいますが内容を見てみると「どこかのサイトをコピー」したり、いかにも自分達がやっているような救援物資配り、炊き出しの「アピール」をするだけ。情けなくなりました。僕のやっていることは余計なことなのでしょうか?風になびき「こいのぼり」が威勢よく泳ぎ回っているのがやけに虚しく見えました。

(続く)

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