【連載224】熊本地震取材日誌(2016年の今日、熊本で何があったのか?

『熊本地震を遥かに超えるM7.4の福島沖地震!明日は我が身!日本全土が危ない!』

11月23日水曜日昼

【熊本地震・被災者生活・復旧復興情報】

*下記熊本情報はあらゆる箇所で重複しています。ご了承ください!

皆様こんにちは。昨日22日午前5時59分ごろ、福島、茨城、栃木の3県で震度5弱の地震がありました。仙台市の仙台港で140センチ、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で100センチ、相馬市で90センチ、石巻市鮎川と岩手県の久慈港で80センチの津波を観測しました。福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)では3号機の使用済み核燃料プールの冷却設備が一時停止しました。

気象庁によりますと、震源地は福島県沖で、震源の深さは約25キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7.4と推定され、東日本大震災の余震とみられています。マグニチュードの規模はM7.3の阪神大震災や熊本地震を上回りました。

気象庁は福島、宮城両県に津波警報、青森、岩手、茨城、千葉の各県に津波注意報を出し、午後13時前に全て解除しました。140センチの津波観測は東日本大震災以降で最大。東北で津波が観測されたのは、チリ中部沿岸で起きた地震を受けて発生した2015年9月18日以来となります。

多賀城市の砂押川では、津波とみられる波の遡上(そじょう)が確認されました。砂押川沿いにある小野屋ホテルには近隣の住民が避難。ホテルフロントの斉藤順明さん(52)は「他の従業員が、津波が川をさかのぼるのを見たと言っていた」と話していました。

総務省消防庁によりますと、宮城、福島、千葉の3県と東京都内で計12人がけがをしました。青森、岩手、宮城、福島の各県では、沿岸部の一部自治体の住民らに避難指示が出され、公民館などに避難しました。各教委によりますと、宮城、福島の両県で計250校以上の小中高校などが臨時休校しました。

仙台管区気象台によりますと、地震は東日本大震災の余震域で起きました。陸側のプレート(岩板)の内部で発生し、引っ張られる力によってずれる「正断層型」とみられています。川上徹人地震情報官は「今後1週間は、最大で震度5弱程度の余震に注意してほしい」と呼び掛けました。

政府は昨日22日午前、首相官邸内の危機管理センターに官邸対策室を設置。電力各社によりますと、福島第1原発に新たな異常は見つかっていません。宮城県の女川原発も異常は確認されていません。JR各社によりますと、東北、上越、山形、北陸、東海道の各新幹線は一時運転を見合わせました。

1.被災地情報

①熊本地震後、看護職139人離職!病院被災、心の不調も

熊本県内の看護師や保健師などの看護職で、熊本地震による離職が7月時点で少なくとも32病院139人に上っていることが昨日22日、県看護協会の調査で分かりました。勤務先の病院が診療を再開していないため離職したケースが多いとみられる一方、地震後の心身の不調を訴える人もいます。同協会は「再就職支援や心のケアに力を入れる」としています。

調査は7月に実施。県内の214病院を対象に「地震による看護職離職の有無」について尋ね、164病院が回答しました。調査では詳しい離職理由などを聞いていませんが、同協会は「病院が診療再開できないため、やむを得ず離職した人が多い」そうです。

今も入院診療を再開していない熊本市民病院(東区)によりますと、地震後に看護師7人が退職しました(11月1日現在、臨時採用除く)。同病院は「それぞれの事情があり、詳細な理由は把握していない」。

休職した看護職は10病院で48人。子どもの世話や道路事情など地震の影響で、一時的に出勤できない看護職は9病院で23人いました。また応急仮設住宅や親戚宅など、自宅外から通勤する職員は26病院の45人でした。

一方、同協会が運営する県ナースセンター(熊本市東区)には地震の影響による心身の変調を訴える相談があるとのことです。地震のショックで「本当に自分に仕事ができるのか」と不安に思ったり、仕事をしていると地震を思い出すため辞めたりする看護職もいるそうです。

同協会の嶋田晶子会長は「看護職のニーズは多い。再就職支援と同時に、看護職自身が災害の心の痛手を癒やし、健康を保てるよう取り組みたい」と話しています。

②福島からリンゴ、交流に実り!震災支援が縁で阿蘇西小児童に

熊本地震で被災した熊本県阿蘇市の阿蘇西小(作見(さくみ)千絵校長、137人)に、福島県南相馬市の登山愛好者グループからリンゴ約200個が届き、昨日22日、児童集会でお披露目されました。地震をきっかけに交流を始めた同グループからのプレゼントに、児童たちに笑顔が広がりました。

リンゴを贈ったのは南相馬市の原町山遊倶楽部で、5年前の東日本大震災で地元が熊本からの支援も受けました。そこで、熊本地震の被災地を応援しようと会員がお金を持ち寄り、知人らを通じて同校に10万円を贈るなど県内3施設に支援金を寄付。その後、児童が手作りの絵手紙などを同倶楽部に送り、交流が深まりました。

リンゴは福島県の特産品で、児童集会で作見校長は「10キロ入りが6箱届いた」と報告。児童代表で6年生の塚本大志朗君は、この日早朝に福島県などで震度5弱の地震が起きたことを気遣い、「無事を祈っています。リンゴは大好き。家族で食べるのが楽しみです」とお礼を述べました。

電話で児童らの声を伝え聞いた同倶楽部の小山隆代表(73)は、「喜んでもらい、うれしい。地震は大丈夫。来年は阿蘇登山を計画しているので小学校を訪ねたい」と声を弾ませていました。

同倶楽部は会員78人のうち、半数が東京電力福島第1原発事故のため、今も自宅に帰還できないとのこと。阿蘇西小は熊本地震で校舎などが損傷し、旧尾ケ石東部小に一時的に移って授業をしています。

③「熊本は元気」発信、山鹿市がポスター!山本寛斎さんら参加

熊本県山鹿市は「山鹿から全国へ熊本の元気を発信しよう」と、世界的デザイナーの山本寛斎さん(72)と、山鹿市に住む老若男女72人を起用した熊本地震の復興支援ポスター(縦84センチ、横59センチ)を千枚作製しました。県内外の空港や駅などに貼って情報発信します。

ポスターは市役所で撮影。赤ちゃんから90歳代まで赤い法被姿の市民が、一斉に笑顔で跳びはねたり手を掲げたりする姿を収めました。山鹿の魅力を伝えるアドバイザーを務める寛斎さんも、青いスーツ姿で得意のピースサインを決めています。

左上には「熊本は元氣(げんき)ばい!!」と大書しました。作製費用は約200万円。市商工観光課は「被災地や風評被害に苦しむ地域を応援する思いを込め、被害が比較的少なかった山鹿から熊本は元気だというメッセージを全国へ発信したい」としています。

➃被災牧野支援に400万円支出!阿蘇草原再生協議会

阿蘇地域の牧野組合や行政などでつくる阿蘇草原再生協議会(高橋佳孝会長)は21日、熊本県阿蘇市小里の阿蘇草原保全活動センターで第23回協議会を開き、熊本地震で被災した牧野の緊急支援策として400万円を支出することを承認しました。

被災牧野に対する国や県の補助制度は、適用の制約や受益者負担などがあります。このため、使途を限定せずに自由に使えるよう、独自に1牧野組合当たり50万円を上限に助成します。

来春の野焼きに間に合うよう来年1月中旬まで申請を受け付け、2月初旬に交付します。財源は、一般や企業に呼び掛けている募金。

地震後の草原再生の取り組みとして、隣接する牧野などが連携して野焼きや防火帯作りの管理体制づくりを早急に進めていくことも確認しました。

高橋会長は「厳しい被災の現実もあるが、草原再生を加速させる取り組みをしていきたい」と話しました。協議会を構成する252団体・個人のうち約100人が出席しました。

⑤湯前産木材、仮設で活用を!益城・テクノ団地に贈る

熊本県湯前町と日本たばこ産業(JT)は21日、熊本地震の被災者が暮らす益城町のテクノ仮設団地で使ってもらおうと、町産のスギ材やベンチなどを贈りました。

町とJTは協定を結び、約208ヘクタールの町有林で植林や間伐などを続けています。町の特産を生かして被災者を支援しようと、町有林の間伐材を有効活用しました。

贈ったのはベンチ29脚やテーブル3台のほか、喫煙所やあずまやに使う木材など。町役場であった出発式で鶴田正已町長は「できる支援を今後も続けたい」とあいさつし、木材を積み込んだトラックを町職員らと共に見送りました。

⑥半壊の市役所本庁舎上屋を撤去!宇土市のシンボル姿消す

熊本地震で半壊し、解体が進んでいた熊本県宇土市役所本庁舎は、21日までに上屋が全て取り払われました。51年にわたり、市のシンボルとしてそびえた5階建ての姿が完全に消えました。

市は7月に解体を開始。同時に屋内の備品を回収する異例の作業でしたが、ほぼ想定の工期で進み、11月中旬に上屋の撤去を終えました。コンクリートなどの廃材を月内に運び出し、現場は基礎部分が残るのみになります。

本庁舎は鉄筋コンクリート製で1965年に完成。上空から見るとひし形で、複数のひさしで覆うモダンな外観は注目を浴びていました。完成当時、付近は田園地帯だったが、以降、各種の家屋が建ち、市街地開発のけん引役も担いました。

野添秀勝・建設部長(58)は「いま何もない現場に、記憶の中の本庁舎が重なって見える。長い間お疲れさまでしたと言いたい」と少し寂しそうでした。

市は本庁舎に隣接する車庫棟と議会棟も解体する計画で、車庫棟は9月中に終了。議会棟は事前工事に間もなく着手します。一連の工事は来年3月完了の見通しとのことです。

⑦トレンドけん引30年!パルコ熊本店記念セール

熊本市中央区のパルコ熊本店が、1986年の開店から30周年を迎えました。本日23日から5日間、記念セールを全館挙げて開催します。小堤直己店長(44)は「5月の開催で準備していたが、熊本地震があり遅らせていた。お客さまへの感謝を込めたい」と意気込んでいます。

ファッションビルのパルコは、全国で19施設を展開。客層の“大人化”が進む都心店と比べ、熊本店は10代~20代のヤング層の客が特に多いそうです。

「百貨店などとの違いを出すため、若者向けに特化してスタートした。熊本は『わさもん』といわれる県民性も特徴で、新しいものやトレンドに敏感。雑誌の掲載商品はいち早く反応が出る。熊本初のショップを出店することに力を注ぐなど“新しさ”を提案してきた」。

熊本店のオープン時には、店舗を長い行列が取り囲むほど県民の期待は大きかったです。売上高は、ピークの91年に90億円を超えました。ただ、バブル崩壊後の不況や郊外型ショッピングセンターの相次ぐ出店で減少。2016年2月期は51億3500万円でした。

ここ数年は客層を広げようと、低価格衣料ブランド「ジーユー」など大衆向けの大型店の導入も進めています。30周年事業では1階と3階を改装し、熊本初登場の4店を含む9店をオープン。OL層に人気のブランドを集めました。

「若者だけにターゲットを絞ると、それ以外のお客さまは入りづらくなってしまう。大型店の導入で集客力を高めるとともに、20代後半から30代の『大人女子』もターゲットにしている」。

熊本地震では多くの商業施設で休業が長引いていましたが、熊本店は被害が小さく済んだため、本震の8日後の4月24日に営業を再開。客数増につながりました。

来店者に元気になってもらおうと、これまではあまり展開してこなかった仮面ライダーやガンダムといったキャラクター展も開催しました。「10月には被災した周辺の店舗などを集めた屋上マーケットを開いた。復興に向け、地域の皆さまと一緒に元気になりたい」。17年2月期は増収となる見込みです。

熊本店の近くでは来春、複合施設「下通NSビル」が開業予定。桜町でも大型開発が進んでいます。中心街で商業施設が集積していく中で、魅力や存在感をどう高めるかが課題となります。

「街の集客力が高まるので、歓迎すべきことと受け止めている。競合相手との違いを際立たせるため、強みであるヤング層向けの人気ブランドを集める。『大人女子』に向けても品ぞろえを強化し、1番手でありたい」。

⑧「すいかの里植木」開店!熊本市で初「道の駅」

熊本市内では初の道の駅「すいかの里 植木」が昨日22日、北区植木町岩野の国道3号交差点近くにオープンしました。特産の農産物と、田原坂や植木温泉などの観光資源をPRする「北の玄関口」として、地域活性化への期待が寄せられています。

合併時の熊本市・植木町新市基本計画に基づき市が整備しました。農産物直売所や観光案内所などが入った木造平屋(延べ床面積約850平方メートル)のほか、24時間使えるトイレや駐車場(約100台)を備えています。総事業費は約5億5千万円。

初日は、通常は市場に出ない珍しい「秋スイカ」を特別販売。売り場にはミカンや大長ナス、ブランド豚のプリンセスポークなど地元産の新鮮な野菜や加工品が並び、買い物客の列ができました。近くの今村徹理さん(71)は「完成が待ち遠しかった。町のにぎわいにつながってほしい」。

記念式典では「すいかの里 植木」の命名者、同市南区の木原陽子さん(77)に記念品が贈られました。植木温泉のおかみら5人も店頭に立ち、笑顔で来訪を呼び掛けました。営業時間は午前9時~午後18時半。休館日は毎月第3木曜など。TEL096(272)2333。

⑨八代アーケード街に亀蛇や笠鉾!妙見祭「御夜」

八代妙見祭の前夜祭「御夜(ごや)」が昨日22日夜、八代市本町一帯で開かれ、本日23日の神幸行列に登場する呼び物の笠鉾(かさほこ)や亀蛇(きだ)(ガメ)、獅子などがアーケード街に繰り出し、祭り気分を盛り上げました。

各出し物の前は、写真を撮る見物客などでにぎわいました。9基の笠鉾を巡るスタンプラリーや、八代海の干拓の歴史を歌った大鞘節(おざやぶし)を披露する伝統芸能フェスティバルもありました。

この日の午後には妙見祭のお下り行列があり、神輿(みこし)が同市妙見町の八代神社を出て、御旅所となる八幡町の塩屋八幡宮に到着しました。

祭りのハイライトのお上り行列は、本自治23日午前7時半に同八幡宮を出発。やつしろハーモニーホールや八代駅前を通り、八代神社に向かいます。午後12時半から同神社近くの砥崎河原で亀蛇や飾り馬などが勇壮な演舞を見せます。

⑩ 聖夜へイルミネーション点灯!九州ルーテル学院

熊本市中央区の九州ルーテル学院で昨日22日、クリスマスイルミネーションの点灯式がありました。12月25日まで、午後17時半~同21時まで毎晩点灯し、一般公開されます。

点灯式には、同学院の中高生と幼稚園児、地域住民などが参加。聖書の朗読や賛美歌の合唱などに続き、幼稚園の鶴田哲平ちゃん(6)と立花幸乃ちゃん(5)がスイッチを押し、イルミネーションを点灯。学院の玄関や高さ約7メートルのモミの木に施された約2万個の電飾が一斉にともり、観客からは「わぁ! きれい」と歓声が上がりました。

イルミネーションは2002年以来、毎年12月25日のクリスマス約1カ月前から点灯し、今年で15回目。

⑪イチゴ「ゆうべに」収穫開始!ブランド化に期待

県が開発し、今季から本格栽培が始まったイチゴの新品種「ゆうべに」の収穫が、玉名市横島町で始まりました。県のイチゴ生産は作付面積、収量とも全国3位。生産農家は「ゆうべにを新たなブランド品種に」と張り切っています。

横島町の大塚淳一さん(54)は昨季の試験栽培に続き、今季はビニールハウス15棟(計43アール)で本格的に栽培。「昨季より糖度がのって出来はいい。価格が高くなるクリスマス前にたくさん出荷できるのが魅力」。今月中旬からパートも雇い、収穫作業を続けます。

県農業研究センターが開発したゆうべには、極早生(ごくわせ)種で大粒、これまでの主力品種だった「さがほのか」に比べて甘いのが特徴。需要が高まるクリスマス前に多く収穫できるため、生産農家の収益増につながると期待されています。

県玉名地域振興局によりますと、本格栽培1年目の今季のゆうべにの作付面積は県全体で45ヘクタールで、2173トンの出荷を見込んでいます。このうち玉名市を中心にした玉名地域は33ヘクタールと、全体の7割以上を占めます。主に関西以西に出荷されるそうです。

⑫獲得金メダル300個!玉名の77歳女性ランナー

玉名市築地の西原八重子さん(77)が、先月末に佐賀市で開かれた九州マスターズの陸上選手権で2種目で1位となり、これまでに獲得した金メダルの総数が300個に達しました。1日おきの練習を欠かさず、生涯ランナーと意気軒高です。

西原さんは33歳の時、体が弱く自宅の周りを走り、「気分爽快になった」のがきっかけで走り始めました。大会に出始めたのは48歳。1989年の全日本マスターズ陸上の1500メートルで日本新記録で優勝したのをはじめ、沖縄県渡嘉敷村で開催されるマラソン大会の年代別で10年連続でベストタイムを記録するなど、44年かけて金メダルの獲得数が300個に達しました。

身長152センチ、体重44キロ。練習は1日おきに約1時間。夏場は近くの公園でスピード重視の練習、冬場は体力を維持するため約5キロのジョギングを欠かしません。体調を整えるため、週1回の整骨院通いのほかは、病気知らずだそうです。

10月23日に佐賀市であった九州マスターズでは、西原さんは女子75~79歳の400メートルと800メートルの両種目で、それぞれ1分59秒08、4分23秒61の記録で1位となりました。

今月4日、西原さんは報告のために玉名市役所に高嵜哲哉市長を訪ねました。高嵜市長の「90歳、100歳まで頑張って、400個、500個を目指してください」という激励に、西原さんは「死ぬまで走り続けたい」と、笑顔で答えました。

⑬地震から半年、熊本城の現在と未来

直下型大地震が九州地方を襲ってから半年が過ぎました。被災した熊本城は今、どのような状況にあるのでしょうか?今回は番外編として、熊本城の災害復旧工事で調査にあたっている熊本城調査研究センターの鶴嶋俊彦さんに案内いただきました、

同センターの発表によりますと、4月14日午後21時26分の前震(M6.5)では、国指定の重要文化財建造物10棟が被災。復元建造物の被害は7棟で、大天守の瓦が落下したほか、壁のひびや塀の崩落などが確認されました。

この前震では深刻な被害はありませんでしたが、4月16日午前1時25分の本震(M7.3)で被害は甚大なものとなりました。13棟の重要文化財建造物は、すべて被災。北十八間櫓(やぐら)と東十八間櫓の2棟は全壊、五間櫓や長塀など3棟は一部倒壊、そのほかの建造物では屋根や壁が激しく破損しました。復元建造物は20棟が被災し、石垣の崩壊や壁の破損も広範囲にわたりました。

とくに城内を取り巻く石垣の被害が深刻でした。崩落に加え部分的な膨らみや緩みなどの被害は517面(うち崩落50か所、229面)、約2万3600平方メートルに及びます。熊本城全体の石垣は約7万9000平方メートル、973面でありますから、全体の約30パーセントです(崩落は約8200平方メートル、全体の約103パーセント)。

“第3の天守”と呼ばれる三重五階の宇土櫓が無事だったことは、城ファンがもっとも安堵したところでしょう。接続する続櫓は全壊しましたが、築城時から400年超を誇り全国屈指の三重五階櫓は持ちこたえました。ただ、実際には基礎の石垣や地盤の沈下で櫓内の柱に損傷もあるため、以前のように内部を見学できるようになるまでの道のりは険しいです。

城の東側に連なる田子櫓、七間櫓、十四間櫓、四間櫓、源之進櫓は壁の漆喰や屋根の破損に留まりましたが、田子櫓と七間櫓は城外側に傾いていました。石垣が全体的に沈下したためです。平櫓と監物櫓は若干傾いて壁や屋根の破損に留まっていますが、不開門は門上の櫓が倒壊し、もはやかつての城門の形状や通路の配置がわからない状態となっています。

◆地割れで波打つ立ち入り禁止区域内

立ち入り禁止区域内を歩いていて驚いたのが、いたるところにある地面の陥没や地割れです。とくに本丸の天守周辺は激しく、地面にいくつもの亀裂が生じ、波を打つようにデコボコとしていました。地割れや建物の傾きのせいで、歩いていて気分が悪くなりました。

天守台の周辺には、くだけ落ちた瓦のほかに、まるでガラスの破片のような細かな石片が一面に散らばっています。よく見ると、石材の破片です。石垣の石材が地震の衝撃でぶつかり合い、細かく割れて飛び散ったのです。石がぶつかり合って割れる揺れとは、いかなるものなのか、想像しただけで恐ろしい。

今回の地震による石垣崩落の原因は、特定できていません。ひとつの揺れに起因するのではなく、連続する震動による負担に堪えかねたと考えるのが正しいからです。そして現在は無事でも、今後崩れる危険性が高い石垣が多くあります。メーターがレベル10に達したときに崩れるとするならば、レベル6,7,8の石垣がかなりあるということです。

たとえば、馬具櫓下の石垣もそのひとつです。ブルドーザーでえぐったかのように中央が崩れ落ちた馬具櫓台の石垣は、地震から1カ月後の5月10日午後に轟音とともに突如崩れたそうです。ちょうど、鶴嶋さんが50メートルほど離れた場所で調査中の出来事でした。本震の後は長さ12メートルほどにわたって膨らみが生じただけでしたが、続く余震でダメージが蓄積し、耐久の許容範囲を超えたと考えられます。倒壊を免れた重要文化財の平櫓も、高さ20メートルの櫓台は櫓床下の石垣天端が陥没し、その下の石垣では大きな膨らみが生じています。余震次第では倒壊の恐れもあります。

熊本城は年間177万人が訪れる観光地ですが、依然として見どころである本丸中心部への立ち入りはめどが立っていません。熊本市は、3年後の天守復旧を目指すと発表しました。2016年11月8日現在、頰当御門(ほほあてごもん)周辺では崩落した石材の運び出しが終了し、天守の修復に必要な重機が通れるようスロープを設ける準備が進行中。現時点で、城全体の修復にかかる年月を20年、費用は600億円を超える見通しです。(つづく)

2.ここ一週間の地震

2016/11/23 11:36 23日 11:33頃 福島県沖 2

2016/11/23 11:22 23日 11:18頃 青森県東方沖 2

2016/11/23 11:14 23日 11:09頃 福島県沖 1

2016/11/23 08:25 23日 08:22頃 福島県沖 2

2016/11/23 08:10 23日 08:07頃 福島県沖 1

2016/11/23 07:01 23日 06:59頃 福島県沖 2

2016/11/23 06:08 23日 06:06頃 福島県沖 2

2016/11/23 05:18 23日 05:16頃 福島県沖 1

2016/11/23 05:15 23日 05:12頃 福島県沖 1

2016/11/23 05:12 23日 05:10頃 福島県沖 1

2016/11/23 03:48 23日 03:45頃 房総半島南方沖 2

2016/11/23 03:47 23日 03:44頃 福島県沖 1

2016/11/23 03:21 23日 03:18頃 福島県沖 1

2016/11/23 03:15 23日 03:13頃 福島県沖 2

2016/11/23 02:56 23日 02:53頃 宮古島近海 2

2016/11/23 02:44 23日 02:41頃 福島県沖 2

2016/11/23 02:26 23日 02:22頃 福島県沖 1

2016/11/23 02:24 23日 02:22頃 宮城県沖 1

2016/11/23 01:17 23日 01:14頃 福島県沖 1

2016/11/23 00:41 23日 00:38頃 福島県沖 1

2016/11/23 00:30 23日 00:27頃 福島県沖 1

2016/11/23 00:07 23日 00:05頃 福島県沖 1

2016/11/22 23:26 22日 23:23頃 福島県沖 1

2016/11/22 23:22 22日 23:20頃 福島県沖 1

2016/11/22 23:17 22日 23:14頃 福島県沖 1

2016/11/22 23:07 22日 23:04頃 福島県沖 4

2016/11/22 22:54 22日 22:51頃 福島県沖 1

2016/11/22 22:38 22日 22:34頃 福島県沖 2

2016/11/22 20:56 22日 20:52頃 福島県沖 1

2016/11/22 20:24 22日 20:21頃 福島県沖 1

2016/11/22 20:05 22日 20:01頃 福島県沖 1

2016/11/22 20:01 22日 19:58頃 福島県沖 2

2016/11/22 19:14 22日 19:10頃 福島県沖 1

2016/11/22 18:52 22日 18:49頃 福島県沖 1

2016/11/22 17:52 22日 17:49頃 福島県沖 2

2016/11/22 17:28 22日 17:25頃 福島県沖 1

2016/11/22 17:17 22日 17:14頃 福島県沖 2

2016/11/22 17:07 22日 17:03頃 福島県沖 1

2016/11/22 16:35 22日 16:32頃 福島県沖 2

2016/11/22 16:17 22日 16:14頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/22 15:18 22日 15:14頃 福島県沖 1

2016/11/22 14:51 22日 14:48頃 福島県沖 1

2016/11/22 14:22 22日 14:17頃 福島県沖 2

2016/11/22 13:31 22日 13:26頃 福島県沖 2

2016/11/22 13:10 22日 13:04頃 福島県沖 2

2016/11/22 13:07 22日 13:01頃 福島県沖 1

2016/11/22 13:03 22日 12:55頃 福島県沖 1

2016/11/22 12:41 22日 12:38頃 福島県沖 1

2016/11/22 12:35 22日 12:32頃 福島県沖 2

2016/11/22 12:09 22日 12:06頃 福島県沖 2

2016/11/22 11:28 22日 11:24頃 福島県沖 1

2016/11/22 11:21 22日 11:16頃 福島県沖 1

2016/11/22 11:19 22日 11:15頃 福島県沖 1

2016/11/22 10:41 22日 10:38頃 福島県沖 3

2016/11/22 10:35 22日 10:31頃 福島県沖 2

2016/11/22 10:22 22日 10:19頃 福島県沖 1

2016/11/22 10:18 22日 10:15頃 熊本県阿蘇地方 2

2016/11/22 10:14 22日 10:09頃 福島県沖 3

2016/11/22 09:56 22日 09:53頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:52 22日 09:49頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:49 22日 09:47頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:39 22日 09:36頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:36 22日 09:32頃 福島県沖 2

2016/11/22 09:32 22日 09:29頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:31 22日 09:28頃 福島県沖 2

2016/11/22 09:22 22日 09:19頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:20 22日 09:18頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:17 22日 09:14頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:12 22日 09:08頃 福島県沖 2

2016/11/22 09:10 22日 09:04頃 福島県沖 1

2016/11/22 09:06 22日 09:03頃 福島県沖 2

2016/11/22 08:58 22日 08:56頃 福島県沖 1

2016/11/22 08:55 22日 08:52頃 宮城県沖 1

2016/11/22 08:44 22日 08:40頃 福島県沖 3

2016/11/22 08:27 22日 08:23頃 福島県沖 2

2016/11/22 06:56 22日 06:51頃 福島県沖 3

2016/11/22 06:50 22日 06:46頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/22 06:45 22日 06:39頃 福島県浜通り 3

2016/11/22 06:27 22日 06:21頃 三河湾 2

2016/11/22 06:16 22日 06:10頃 福島県沖 3

2016/11/22 06:11 22日 05:59頃 福島県沖 5弱

2016/11/22 06:05 22日 05:59頃 福島県沖 5弱

2016/11/22 03:30 22日 03:25頃 福島県沖 2

2016/11/21 15:47 21日 15:44頃 茨城県南部 1

2016/11/21 14:45 21日 14:42頃 茨城県沖 1

2016/11/21 13:01 21日 12:58頃 青森県東方沖 1

2016/11/21 11:50 21日 11:47頃 宮城県沖 2

2016/11/21 10:59 21日 10:56頃 鳥取県中部 2

2016/11/21 08:38 21日 08:35頃 三重県中部 2

2016/11/21 07:03 21日 06:59頃 茨城県沖 3

2016/11/21 03:18 21日 03:15頃 茨城県沖 1

2016/11/21 01:34 21日 01:31頃 与那国島近海 1

2016/11/20 18:27 20日 18:24頃 与那国島近海 1

2016/11/20 15:24 20日 15:20頃 茨城県北部 1

2016/11/20 09:14 20日 09:10頃 与那国島近海 1

2016/11/20 08:12 20日 08:09頃 茨城県沖 1

2016/11/19 22:32 19日 22:29頃 福島県沖 1

2016/11/19 18:45 19日 18:41頃 五島列島近海 2

2016/11/19 17:55 19日 17:51頃 和歌山県南部 1

2016/11/19 17:53 19日 17:50頃 京都府南部 2

2016/11/19 15:33 19日 15:29頃 鳥取県中部 1

2016/11/19 15:05 19日 15:01頃 根室半島南東沖 3

2016/11/19 11:52 19日 11:48頃 和歌山県南部 4

2016/11/19 09:36 19日 09:31頃 秋田県内陸北部 1

2016/11/18 12:43 18日 12:40頃 茨城県北部 2

2016/11/18 12:13 18日 12:07頃 鹿児島県大隅地方 1

2016/11/18 11:50 18日 11:45頃 鳥取県中部 1

2016/11/18 10:23 18日 10:19頃 福岡県北西沖 3

2016/11/18 09:18 18日 09:15頃 熊本県阿蘇地方 2

2016/11/17 21:46 17日 21:42頃 鳥取県中部 2

2016/11/17 16:32 17日 16:29頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/17 15:53 17日 15:50頃 岩手県沖 1

2016/11/17 15:07 17日 15:04頃 熊本県熊本地方 2

2016/11/17 12:03 17日 12:00頃 奄美大島近海 1

2016/11/17 11:04 17日 11:00頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/17 07:42 17日 07:38頃 山梨県東部・富士五湖 1

2016/11/17 01:52 17日 01:49頃 徳島県南部 1

2016/11/17 01:06 17日 01:02頃 千葉県北西部 2

2016/11/16 23:25 16日 23:22頃 鳥取県中部 1

2016/11/16 18:58 16日 18:55頃 宮城県沖 2

2016/11/16 17:20 16日 17:17頃 鳥取県中部 2

2016/11/16 15:23 16日 15:19頃 鳥取県中部 1

2016/11/16 11:28 16日 11:24頃 鳥取県中部 2

(続く)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です