【連載167】熊本地震取材日誌(2016年の今日、熊本で何があったのか?)

9月27日火曜日昼

【熊本地震・被災者生活・復旧復興情報】

皆様こんにちは。九州電力は本日27日午後、稼働中の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1,2号機で、熊本地震の影響を調べる「特別点検」を始めます。鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事から地震後の安全性の点検と検証の要望を受け、法令で定められた定期検査とは別に自主的に設備を点検します。

特別点検は10項目。この日は非常用電源装置と給水装置の作動試験や、低レベル放射性廃棄物保管容器の固定確認の2項目で点検を始めます。1号機は10月6日から定期検査のために運転を停止します。その後、原子炉圧力容器や格納容器などの特別点検を進めます。

九電は今月、三反園知事から要請された原発の即時一時停止を拒否した一方、定期検査前から特別点検を実施すると回答していました。

川内原発停止訴え当選した鹿児島県の三反園訓知事の意向を当初は無碍にした九州電力ですが、知事の再度の申し出に本日午後より通常の点検とは別に点検に入ることになりました。しかし安倍政権が原発停止の意向を示していないことから今回の点検も「ポーズ」なのではないかと推察されます。日本の原発政策は本当にこのままでよいのでしょうか?

熊本地震で九州電力の水力発電所「黒川第1発電所」(熊本県南阿蘇村立野)の貯水槽が損壊して大量の水が流出した問題を巡り、九電が発電所近くで発生した土砂崩れで住家被害を受けた住民に金銭の支払いを打診していたことが関係者への取材で分かりました。支払い名目を「引っ越し代」「借地料」として一部住民に「200万円」の金額を提示。水流出と土砂崩れの因果関係を認めた上での「補償」を求める住民らは困惑しています。

九州電力は何を考えているのでしょうか?「黒川第1発電所」(熊本県南阿蘇村立野)の貯水槽が損壊して大量の水が流出したのは九州電力の責任であり、それを被災した(お亡くなりになった方もおりました)人に責任を負わせるとは言語道断です。今後もこの事故を追っていきたいと思います。

国土交通省九州地方整備局は昨日26日、熊本地震で大規模な土砂崩落が起きた阿蘇大橋地区(熊本県南阿蘇村)の緊急対策工事を報道陣に公開しました。二次災害を防ぐため、道路脇の斜面に残っている不安定な土砂を無人の重機で取り除いています。周辺の道路や鉄道の復旧に向け、年明けからは地質調査に着手したい考えです。.

地震では熊本と大分をつなぐ国道57号側の斜面の土砂が崩れ、阿蘇大橋一帯をのみ込みました。崩れた土砂は長さ約700メートル、幅約200メートル。今も阿蘇大橋や国道57号、JR豊肥線が不通となっています。.

斜面には、ひび割れなどで崩れる恐れのある土砂が約6900立方メートル残っています。いつ崩れるか分からないため、重機をワイヤで固定し遠隔操作で掘削しながら岩や土を落としています。.

不安定な土砂を取り除く作業は年内にも終了する見込みです。整備局の担当者は「年明けには斜面下に作業員が立ち入れるようにして、道路や鉄道の復旧時期を早く明らかにしたい」と話しています。.

阿蘇大橋の陥落は南阿蘇村を分断し、震災5か月経った今でも南阿蘇村の復興を妨げています。また阿蘇大橋陥落に巻き込まれた大学生1名の遺体も先日ようやく見つかりました。南阿蘇は水不足もさることながら前述した通り、九州電力が突然貯水水を流出し、お亡くなりになった方もおりました。熊本地震では益城町と同じくらい大きな被害を受けました。一日も早く本格復興復旧に入ることができることを切に願います。

キリンビールは10月から、熊本の料理に合うよう開発した「一番搾り 熊本づくり」を全国販売します。1本当たり10円を熊本地震の被災地に寄付する計画。633ミリリットルの大瓶換算で約20万ケース(1ケース20本)を出荷します。

同社は7月から47都道府県ごとに味を変えた一番搾りを、地域限定で順次販売しています。売り上げ1本につき1円を熊本地震の被災地に寄付することにしていますが、全国から「熊本づくりを購入して支援したい」との声が相次いだため、熊本づくりを全国で販売することにしました。寄付も1本10円に増額しました。

熊本限定の熊本づくりは7~8月に、大瓶換算で1万7千ケースの出荷を終えていました。

福岡県朝倉市のキリンビール福岡工場で昨日26日、出荷式があり、キリンビールマーケティングの麻生芳彦熊本支社長が「熊本づくりは熊本のこってりした料理に合うすっきりした味に仕上げた。今後も熊本に寄り添い復興支援に当たっていく」とあいさつしました。

熊本づくりを積んだトラックの前で、熊本城おもてなし武将隊による演武の披露もありました。

「一番搾り 熊本づくり」が10月から全国販売されます。1本に付き10円が自動的に寄付に廻るとのことです。この秋は「熊本づくり」で美味しさを味わうと同時に、熊本震災に寄付してみるのもいいのではないでしょうか?

1.被災地情報

①熊本市の地震被害1兆6362円!建築物で4分の3!

熊本市は昨日26日、熊本地震による市内の公共施設や民間施設を合わせた被害額を、計1兆6362億9千万円とする試算を明らかにしました。被害額の全容を示したのは初めてで、このうち民間の住宅や宅地の被害額は1兆2千億円を超えました。市議会の「熊本地震からの復旧・復興に関する調査特別委員会」で報告しました。

8月末時点で把握しているデータに基づき、公共土木施設や文教施設など、10分分野に分けて示しました。

最大は民間の住宅や宅地などの「建築物」で、計1兆2121億5千万円。首都直下型地震の被害試算を参考に、熊本市内の家屋の、り災証明の発行件数(10万1500件)から被害額を計算。液状化などで被害を受けた宅地も7200世帯と推計し、仙台市の例から被害額を見積もりました。

企業の社屋や生産設備などの「商工関係」は1720億円。354社からのサンプル調査を基に、被害総額を推計しました。

熊本城を含む「文化財」は784億1千万円。市民病院や民間病院などの「医療・福祉施設」は455億5千万円。学校などの「文教施設」は302億2千万円。

市は「現時点での被害額で、り災証明の発行状況などによって変動する可能性もある」と述べています。

②15市町村で生活支援!明日28日から順次センター開設!

熊本地震で被災した人たちの日常生活を支える「地域支え合いセンター」が、明日28日の南阿蘇村を皮切りに県内15市市町村で活動を始めます。専任の生活支援相談員を中心に、被災者の健康維持や悩み事解消、住民同士の交流などを後押しし、生活再建と自立を支援します。

同センターは、県が応急仮設住宅を整備した16市市町村のうち、産山村を除く15市市町村が開設。それぞれの社会福祉協議会が運営を担い、仮設住宅やみなし仮設住宅の入居者のほか、在宅者も含め、孤立しがちな高齢者や障害者、生活困窮者らの暮らし全般をサポートします。経費は国が全額負担します。

生活支援相談員や補助員ら運営スタッフは、全県で約300人を予定。巡回訪問や見守り活動を通して被災者のニーズを把握し、医療や福祉などの専門機関につなぎます。ボランティア団体や自治会とも連携します。

県も、市町村のセンターをサポートする支援事務所を熊本市に設置。相談員の研修や、運営上の課題解決に向けたアドバイザー派遣などの業務に当たります。

*各市町村センターの活動開始予定は次の通り。

28日:南阿蘇村

10月上旬:熊本市

1日:美里町、嘉島町

2日:菊陽町

3日:宇土市、阿蘇市、大津町、西原村、益城町、甲佐町、山都町

10日:宇城市、御船町▽10月下旬 氷川町(蔵原博康)

③南阿蘇村の避難住民が大津町でカライモ掘り!

熊本県大津町の仮設住宅で暮らす南阿蘇村立野地区の住民らが25日、同町岩坂の畑でカライモ掘りに汗を流し、「いい気分転換になりました」と収穫の秋を満喫しました。

畑8アールを提供した同町の農業坂口茂幸さん(63)は、自宅近くの仮設住宅に立野地区の住民が入居。「大津町で心を落ち着ける時間を過ごしてほしい」と願い、町地域おこし協力隊とともに初めて企画しました。

仮設暮らしの住民や町内の子ども連れ世帯の約220人が参加。手でカライモを掘り出し、焼き芋にして味わったほか、満開に咲いたヒマワリの摘み取りなども楽しみました。

立野地区の4人で参加した農業立野昭代さん(73)は「今年は田んぼを諦めた。毎日やっていた農作業を思い出した。大津の皆さんに感謝です」と笑顔。秋空に子どもたちの歓声も響き、「にぎやかで楽しい」と目を細めていました。

➃熊本地震文化財被害は936億円!

熊本地震で被災した県内文化財の被害総額が推計で約936億円に上ることが昨日26日、県の調べで分かりました。特に大きかったのは、国指定特別史跡の熊本城(熊本市中央区)の634億円、阿蘇神社(阿蘇市)の15億円など。県文化課は「県内の文化財全体が同時に被災するのは初めて。被害額は極めて大きい」としています。

同課によりますと、指定文化財の被災状況は、国(登録文化財含む)は97件(被災率32%)、県は57件(同15%)、市町村は193件(同8%)。

被害総額は935億9300万円(昨日26日現在概算)。熊本城と阿蘇神社を除く国指定が151億8100万円、国登録は6億4400万円。県指定が42億7300万円、市町村指定は48億2200万円。未指定の文化財は37億7300万円と見積もりました。

県は、国や県、市町村の補助事業で足りない分や、補助対象でない文化財の復旧支援を視野に、9月定例県議会で「被災文化財等復旧復興基金」の創設を目指しています。全国初の取り組み。基金の原資は、民間が立ち上げ、県が窓口となっている寄付金「熊本文化財復興支援金」で、現在、約8億円が寄せられているとのことです。

県文化課は「寄付金に熊本の文化財への強い愛着を感じる。被害は巨額で文化財の幅広い復旧には、民間の支援が欠かせず県内外に呼び掛けていく」としています。

⑤無人掘削機で土砂撤去!阿蘇大橋一帯の崩落斜面!

国土交通省九州地方整備局は昨日26日、熊本地震で崩落した南阿蘇村立野の阿蘇大橋一帯の土砂崩れ現場で、露出した山肌の上部に残った土砂が崩れるのを防ぐため、無人掘削機を使って進めている作業を報道陣に公開しました。

同省によりますと、土砂崩れの規模は最大で幅約200メートル、長さ約700メートルにわたり、崩落量は約50万立方メートル。このうち、約40万立方メートルは阿蘇大橋が架かっていた黒川に流れ込んだとみられます。

公開した作業は、復旧工事現場の二次災害を防ぐ工事で、国道57号西側の斜面最上部の土砂約6900立方メートルを掘削します。掘削した土砂はそのまま下に落とし、盛り土(高さ約3メートル、幅200メートル)で受け止めます。

斜面の頂上では、ワイヤーでつるした無人のパワーショベル3台が作業。数十メートル離れた場所から作業員が目視と重機に付けられたカメラ映像を見ながら操作し、土砂を次々と削り落としました。

同省は土砂撤去を年内に終え、年明けから砂防事業のほか、本震以降寸断が続く国道57号の復旧作業などに着手する予定。

⑥世界の子どもがくまモン塗り絵!NPOが震災応援展計画!

熊本地震の被災地の子どもを励まそうと、貧困問題などに取り組むNPO法人「日本リザルツ」(東京)が、県のPRキャラクター「くまモン」の塗り絵を世界各国の子どもたちから集め、県内で展覧会を開こうと企画しています。

広報担当の長坂優子さん(30)は「くまモンを通して、世界の子どもたちからの応援メッセージを熊本に届けたい」と意気込んでいます。既に熊本市の4保育園の園児80人に塗り絵をしてもらったほか、海外で支援しているケニアの児童養護施設の約110人、ヨルダンのパレスチナ難民キャンプで暮らす約20人の作品も集めました。「くまモン」を知らない海外の子どもたちは、ピンクやオレンジなど思い思いの色に塗り、個性的な作品がそろっているそうです。

フィリピンや東日本大震災の被災地などからも作品を集め、来年、熊本で展覧会を開く考え。日本リザルツは地震後、益城町の子どもたちとたこ揚げ交流会を開くなど心のケアに取り組んでいます。

⑦一番搾り「熊本づくり」、全国販売へ!購入要望が相次ぎ!

キリンビールは、熊本県産の米などを使ったビール「一番搾り 熊本づくり」を10月12日から、全国で発売します。7月から熊本県内限定で発売しましたが、「熊本地震の復興支援のために買いたい」といった声が全国から相次いだため、大幅な販売拡大を決めました。

「熊本づくり」は、キリンが47都道府県ごとの特色を生かしてつくり、地域限定で販売するシリーズの一つ。全国発売は「熊本づくり」が初めてです。1本売るごとに10円を熊本地震の被災地の復興支援に使う予定で、具体的な手法は検討中だそうです。

九州産の麦芽と熊本県産の米を使い、「熊本特有の濃い味の料理にも合うように、すっきりと飲みやすくした」(キリン)。「火の国」をイメージして、ビールの色も通常より赤くしています。

仕込みを始めた直後の4月に熊本地震が起き、予定より1か月遅れて7月から熊本県内で発売しました。県外からも、消費者や小売業者などから販売を求める声が多く寄せられたとのことです。

昨日26日から全国向けの出荷が始まり、福岡県朝倉市のキリンビール福岡工場で出荷式が開かれました。当初は2万ケース(1ケースは大瓶20本分)の生産予定でしたが、全国販売によって20万ケースを超えるとのこと。店頭で買えるのは11月中旬ごろまでになる見込みです。

キリンビールマーケティング熊本支社の麻生芳彦支社長は「全国の人に商品を飲んでいただくことで、被災地の皆さんが少しでも元気になれば」と話しています。

⑧紗栄子、熊本で再び炊き出し!称賛の声が相次ぐ!

モデル・タレントの紗栄子が25日、熊本県の益城町で炊き出しを行ったことをInstagramで明かしました。

この日、熊本地震の被害に遭った同町で炊き出しを行うことを告知し、「焼きソバ、炭火焼き、揚げぎょうざ、カップケーキや、ドリンクお菓子など、提供させていただきます。お近くの方は是非お越し下さい!」と呼び掛けた紗栄子。Instagramでは、実際に紗栄子がTシャツ姿で炊き出しを行い、被災地の人たちと交流する様子が公開されています。

.また、紗栄子は1階がつぶれてしまっている家や、屋根にブルーシートが覆われた家など、いまだ悲惨な状態にある被災地の現状を写真で紹介。「報道では報じられることが少なくなってきましたが、復興にはまだまだ時間がかかります」「ゴールデンウィークに、『ボランティアが余っています。』という報道がでたみたいで、そこからボランティアの方が一気に減ったみたいです。でもまだまだボランティアの方の力が必要です」と訴えました。

.紗栄子は熊本地震があった今年4月、実名の入った振り込み明細の写真と共に、義援金として500万円を寄付したことをInstagramで公表。その後、「偽善」「わざわざ言う必要ない」などと一部で非難の声も上がりましたが、「一人でも多くの人が寄付について改めて考えてくださり行動に移してくれたらとの思いで、批判も覚悟の上、実名での振り込み明細を掲載しました」と思いを明かしたほか、実際に被災地に足を運び、炊き出しなどを行っていました。

.投稿を見た人たちからは「継続して活動してるのもほんと凄いなと思います」「ニュースではほとんど報道されなくなりましたが、紗栄子さんの行動に励まされてる人が沢山いると思います」「色んな事言う人いますが私はただただ尊敬します」など称賛の声が寄せられています。

⑨石川遼さん・重永亜斗夢さん、菊陽南小を訪問!

男子プロゴルフの石川遼さん、重永亜斗夢(あとむ)さんが昨日26日、菊陽町曲手の町立菊陽南小学校でゴルフを通じて児童と交流しました。

菊陽町出身の重永さんが、地震を経験した地元の子どもたちに元気になってもらいたいと石川さんに話を持ちかけ、今回の取り組みが実現しました。

児童は、テニスボール大の玉を使ってゴルフの基礎を学ぶことができる「スナッグゴルフ」に挑戦。クラブの握り方や構え方などを両プロに教えられながら楽しみました。石川さんがフルショットを披露すると、児童から「ナイスショット!」と大きな声が上がりました。

菊陽町辛川の小学5年生坂本彩(あやか)さん(11)は今回のイベントで初めてゴルフをプレーしたそうです。「(石川さんらが)優しく教えてくれたから、楽しかった。おじいちゃんがゴルフ好きで、今度一緒にやりたい」と話していました。

重永さんは「自分が活躍するのはもちろん、こういう取り組みも続けていきたい」。石川さんは「みんな元気で自分も力をもらった。楽しい時間を共有できて良かった」と話していました。

⑩川内、本日27日にも特別点検!九電、熊本地震の影響検証!

九州電力が川内原発1,2号機(鹿児島県薩摩川内市)で実施予定の「特別点検」を、本日27日にも始める方針であることが分かりました。九電は、鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事が原発の即時停止を求めた2度の要請を拒否した一方、10月6日からの1号機の定期検査より前に特別点検を開始すると回答していました。当面は原発を稼働しながら、熊本地震の影響で設備に異常が生じていないかを細かく検証します。

九電は、特別点検を指示・総括するため、40人程度の「総点検チーム」を既に編成し、川内原発所員や協力会社の技術者と共に点検する態勢を構築。関係者によりますと、点検項目と結果集約のためのチェックシートを作成し、入念な点検を実施する意識付けを徹底するなどの準備を終えたそうです。

前倒しで実施する特別点検は、三反園知事に回答した10項目のうち、非常用電源装置や給水装置といったバックアップ設備の作動試験や、低レベル放射性廃棄物保管容器の固定部の調査など。地震の揺れでボルトが緩んだり、設備の位置ががずれたりしていないかを重点的に見ます。

一方、原子炉圧力容器や格納容器などの特別点検は、発電を停止して行う定期検査と並行して実施。水中カメラを内部に入れて変形を点検するなど、通常の定期検査よりも内容を強化します。

三反園知事は8月26日、川内原発をすぐに停止し、熊本地震の影響を再点検するよう要請。九電は今月5日、即時停止には応じないものの、特別点検などを実施すると回答。知事は7日に即時の一時停止などを再要請し、九電は9日に特別点検を前倒しで実施するなどの追加安全対策を回答していました。三反園知事は特別点検について「自分の目で確かめて検証したい」と表明しています。

原子力発電所の運転を続けるために原子炉等規制法で求められる定期検査とは異なり、九州電力が熊本地震の影響を自主的に再検証する点検。三反園訓鹿児島県知事の要請に対し表明しました。定期検査は発電を停止して、原子炉の分解検査など主に約70項目を調査。さらに特別点検で、地震の揺れの影響に特化した10項目を追加しました。配管などの支持装置約3千台の位置ずれや、ポンプやファン計45台の基礎ボルトの緩みなどを点検する項目を盛り込みました。

⑪熊本地震、専門家の注目点!数十年単位で余震警戒を!

熊本、大分を中心とする一連の地震は依然、余震が続いています。地震は徐々に減っていくのか、あるいは、割れ残った活断層が再び大きな揺れを起こしたり、地震域が広がったりするのか。さらには阿蘇山の火山活動に影響し、新たな災害をもたらす恐れはないのか。専門家に見通しを聞きました。

本震が発生した4月16日に200回を超えた有感地震(震度1以上)は5月に入り、1日40回を下回るようになりました。まず考えられるのが、このまま地震が徐々に収まる流れです。

一連の地震域を「熊本」「阿蘇」「大分」の3地域に分けますと、大分の地震回数は明らかに減りました。名古屋大の山岡耕春教授(地震学)は「全体的には徐々に余震は減り、すぐに大きめの地震が起きる確率は小さくなる」とみています。

一方、多くの地震学者が警戒を呼び掛けるのは「熊本地域」に走る日奈久(ひなぐ)断層帯のうち前震の震源よりも南西側と、布田川(ふたがわ)断層帯のうち本震の震源よりも西側の区間だ。端は熊本県水俣市や有明海などに当たります。

両区間ともに一連の地震で断層が割れ残り、特に日奈久の南西側は国の長期評価で危険性が指摘されてきました。3地域での余震の合間に、水俣市などでは今も有感地震が起きています。

ただ、内陸型の大きな地震は数千年に1度など発生間隔が長いのもッ特徴です。名大の鷺谷威(さぎやたけし)教授(地殻変動学)は「地震学的には一連の余震として発生しても、数十年以内に起きても、ほぼ同時期と見なせる」と解説。

福岡都市圏を走る警固断層帯の場合、2005年に海側の断層が動き、福岡沖地震が発生。まだ動いていない陸側断層がこれに連動し「いつ地震が起きてもおかしくない」(福岡管区気象台)状況とされる中、既に11年が経過しました。熊本地震でも数十年単位で警戒を要する可能性があります。

一連の地震では、「阿蘇地域」にも断層が存在する可能性が指摘されました。

周辺は火山灰が厚く積もり、地表の断層跡を見つけづらい地域で、阿蘇山北東部は断層の“空白地帯”とされてきました。火山の近くはマグマなどの熱で地盤が温められて軟らかくなり、地震を招くひずみがたまりづらいとの定説もありました。

ところが、この地域で地震が頻発し、京都大の竹村恵二教授(第四紀地質学)は「(布田川断層帯の延長線上にある)阿蘇山の北東側で地下が割れているのは明らかだ」と、断層の存在を指摘します。阿蘇山の活動が活発化する動きは今のところみられていませんが、今後の研究課題となります。

最後に熊本、阿蘇、大分の3地域から飛び火し、さらに広域で地震を引き起こす可能性を考えました。

大分で連鎖地震が起きた当初、四国側への広がりが懸念されていたが、今のところ動きはありません。鷺谷教授は「慶長豊後地震など1596年の一連の地震は関西まで及びた。400年余しか経過していないので、比較的可能性は低い」と見つつ、今後の余震で「別府湾に活動域が広がれば注意を要する」と指摘しています。

それ以上に関連性が指摘されるのは、九州西側の海域から台湾に延びる海底盆地「沖縄トラフ」で、九州南部に影響する可能性があります。

熊本地震が起きた別府-島原地溝帯は同トラフの延長線上にあります。昨年11月には薩摩半島西方沖でマグニチュード(M)7.1の地震が起き、鹿児島県内で最大震度4を観測しました。

同西方沖では今も地震が続き、九州大の松島健准教授(固体地球物理学)は「熊本地震と何らかの関係性があるとみていい」と警戒を呼びかけています。

政府の地震調査委員会は13日、熊本地震の見通しについて「全体として減衰傾向が見られるが、熊本地方と阿蘇地方の活動は依然として活発。大分県中部の活動は減衰している」と見解をまとめました。今後1か月程度は震度6弱から5強の余震の恐れがあるとみて、注意を呼び掛けています。

震度7の地震を連続して起こしたとみられる日奈久断層帯と布田川断層帯で、活断層の再調査を早期に実施。地震規模や30年以内の発生確率を示す長期評価に活用します。

4月16日に大分県で観測された震度6弱の揺れは、直前に熊本地方で発生したマグニチュード(M)7.3の「本震」が別の地震を誘発し、二つの揺れが重なったとする評価を示しました。震源は大分県中部で、地震の規模はM5.5~5.7とみられています。

本震を起こした布田川断層帯による揺れと考えられていましたが、本震の約30秒後に大分県中部の別府-万年山断層帯で誘発された地震が重なった揺れと判明しました。大分県が震源の地震では最大規模で、別府市、由布市で震度6弱を観測しました。

2.ここ一週間の地震

2016/09/27 11:32 27日 11:29頃 兵庫県南東部 1

2016/09/27 04:05 27日 04:02頃 岩手県沖 1

2016/09/26 21:38 26日 21:35頃 鳥取県中部 2

2016/09/26 21:18 26日 21:14頃 鳥取県中部 2

2016/09/26 14:25 26日 14:20頃 沖縄本島近海 5弱

2016/09/26 14:18 26日 14:13頃 浦河沖 4

2016/09/26 11:29 26日 11:24頃 浦河沖 3

2016/09/26 06:20 26日 06:16頃 茨城県北部 1

2016/09/26 05:44 26日 05:40頃 熊本県熊本地方 1

2016/09/26 04:12 26日 04:09頃 佐渡付近 1

2016/09/26 04:05 26日 04:01頃 佐渡付近 2

2016/09/25 22:59 25日 22:56頃 兵庫県北部 2

2016/09/25 21:14 25日 21:10頃 兵庫県北部 2

2016/09/25 20:51 25日 20:48頃 兵庫県北部 3

2016/09/25 13:15 25日 13:11頃 千葉県東方沖 1

2016/09/25 13:06 25日 13:03頃 津軽海峡 2

2016/09/25 03:03 25日 03:00頃 熊本県熊本地方 1

2016/09/24 21:07 24日 21:03頃 宮城県北部 1

2016/09/24 17:03 24日 16:59頃 秋田県内陸北部 1

2016/09/24 15:14 24日 15:10頃 茨城県北部 2

2016/09/24 04:31 24日 04:28頃 静岡県中部 1

2016/09/23 23:11 23日 23:08頃 千葉県南部 1

2016/09/23 20:45 23日 20:41頃 熊本県熊本地方 1

2016/09/23 12:13 23日 12:08頃 トカラ列島近海 1

2016/09/23 12:05 23日 12:02頃 トカラ列島近海 2

2016/09/23 09:21 23日 09:14頃 関東東方沖 1

2016/09/23 08:32 23日 08:28頃 熊本県熊本地方 1

2016/09/23 03:59 23日 03:55頃 内浦湾 1

2016/09/22 21:11 22日 21:07頃 茨城県北部 1

2016/09/22 21:00 22日 20:57頃 千葉県北東部 1

2016/09/22 17:20 22日 17:17頃 熊本県熊本地方 1

2016/09/22 14:05 22日 14:03頃 山梨県東部・富士五湖 1

2016/09/22 14:02 22日 13:59頃 熊本県熊本地方 1

2016/09/22 12:12 22日 12:09頃 山梨県東部・富士五湖 1

2016/09/21 23:14 21日 23:11頃 熊本県阿蘇地方 1

2016/09/21 21:40 21日 21:37頃 熊本県熊本地方 1

2016/09/21 20:06 21日 20:02頃 熊本県阿蘇地方 2

2016/09/21 20:00 21日 19:57頃 岩手県沖 1

2016/09/21 11:32 21日 11:29頃 十勝地方中部 2

2016/09/21 06:54 21日 06:50頃 熊本県熊本地方 2

2016/09/21 01:28 21日 01:22頃 鳥島近海 1

2016/09/20 20:09 20日 20:06頃 新島・神津島近海 1

2016/09/20 16:26 20日 16:23頃 岩手県内陸南部 1

2016/09/20 15:17 20日 15:13頃 熊本県阿蘇地方 1

2016/09/20 10:48 20日 10:45頃 伊勢湾 1

2016/09/20 09:45 20日 09:42頃 熊本県熊本地方 1

2016/09/20 08:50 20日 08:46頃 岩手県沖 3

2016/09/20 04:08 20日 04:05頃 内浦湾 2

2016/09/20 04:03 20日 03:59頃 内浦湾 3

2016/09/20 01:22 20日 01:19頃 新潟県上越地方 1

(続く)

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