ベルファストのトリビュートバンド「ザ・ビヨルン・アイデンティティ」が語る、愛と継承、そしてライブの魅力
*「ザ・ビヨルン・アイデンティティ」は、カレン・ラッシュ(アグネタ役)、リチャード・ダブルデイ(ビョルン役)、ライアン・グリアー(ベニー役)、ソフィー・グリアー(フリーダ役)で構成されています。
スウェーデンの伝説的ポップグループABBAを再現する、ベルファスト拠点のトリビュートバンド「The Björn Identity」が、自身のパフォーマンス経験や、なぜABBAの音楽が世代を超えて愛されているのかを語ってくれました。
「The Björn Identity」は、ABBA愛好家のカレン・ラッシュとリチャード・ダブルデイによって設立されました。ステージ上では、それぞれアグネタとビヨルンの役を務めています。
過去にロシアのクレムリン宮殿や、リチャード・ブランソンの前でもアグネタとしてステージに立った経験を持つカレンは、ロンドンからベルファストに戻った際に「何か新しいことを始めたい」と思い、このバンドを立ち上げたと語ります。
*カレン・ラッシュはアグネタ役、ソフィー・グリアーはフリーダ役を務めています。
「私はすでにいくつかのABBAトリビュートバンドと仕事をしていたし、リチャードは本格派の俳優兼ミュージシャン。2009年にベルファストへ戻ったとき、何か自分たちでやりたいと思ったんです」。
バンド名は、月曜夜のパブクイズ中にリチャードがひらめいたとのこと。それが始まりでした。
その後、バンドには2017年にピアニストのライアン・グリアーがベニー役として加入し、2020年にはTikTokでバイラルヒットを飛ばしたソフィー・グリアーがフリーダ(フリーダ)役で加わりました。以来、このグループはアイルランドと英国で最も人気のあるトリビュートバンドのひとつとなり、世界中の歴史的なステージで公演しています。
メンバー全員が認める成功の秘訣は「細部へのこだわり」です。
*バンドのメンバー全員が、自分たちの成功の秘訣は「細部へのこだわり(うるささ)」にあると一致して認めています。
ライアンはこう語ります。
「僕たちは皆、完璧主義者で、それぞれが舞台芸術の出身です。だから、演劇的なアプローチでキャラクターを作り上げるんです。細かい研究をして、できる限り彼らに似せていきます」。
ソフィーも続けます。
「ABBAの映像はたくさん残っているので、それを観てステージでの動きや話し方、声の抑揚まで研究しています。たくさん観れば観るほど、人物の本質をつかめるようになり、それをステージ上で再現できるようになるんです」。
また、このバンドにさらなるリアリティを与えているのは、カレンとリチャードが2005年から結婚していること。そしてソフィーとライアンも2022年から交際を続けていることです。
リチャードはこう振り返ります。
「ふたりが付き合うと聞かされたときはうれしかった。気が合ってるし、共通点も多くて、とても自然な流れでした」。
ふたりの最初の出会いも運命的でした。
*バンドは2017年に、才能あるピアニストのライアン・グリアーをベニー役として迎え入れました。
カレン曰く、
「ライアンとソフィーが初めて直接会ったのは、ABBAの『グレイテスト・ヒッツ』のアルバムビジュアルを再現する写真撮影のときだったんです。70年代の秋の公園で、アグネタとビヨルンが悲しげに座り、ベニーとフリーダがキスをするというシーンを撮影しようとしたんですが……当時はまだコロナ禍だったので、アクリル板をふたりの間に置いて“キス”してもらったんです(笑)」。
「お見合いのつもりはなかったけれど、結果的にうまくいって本当に嬉しいです」。
とはいえ、バンドが成功しているのはカップルの力だけではありません。
*ABBAは「恋のウォータールー」でユーロビジョン・ソング・コンテストに優勝しました。
ソフィーは言います。
「ABBAと同じように、私たち4人の間には強い化学反応があるんです。長く一緒にツアーをしているので、お互いをよく知っています。ステージに立つのが、まるで仲の良い友達と一緒にいるみたいなんです」。
「観客の方にも、私たちが心から楽しんでいるのが伝わっていると思います」。
ライアンも加えます。
「ABBAがステージで楽しんでいたのと同じように、僕たちも“クラック(craic)”を楽しんでいます。それは真似しようと思ってやっているわけではなく、自然にそうなっているんです」。
さらにこの4人組には、ABBA本人からの“お墨付き”も。
カレンとリチャードがストックホルムを訪れた際、なんと本物のベニーに偶然出会ったのです。
*ABBAと同じように、このバンドも4人のメンバー全員の間にある相性の良さ(ケミストリー)が成功の鍵となっています。
リチャードはこう語ります。
「カレンを驚かせようと、初めてのストックホルム旅行に連れて行ったんです。『Voyage』を録音したスケップスホルメン島にも行き、スタジオを発見しました」。
*この4人組は、ABBA本人であるベニーからのお墨付きさえも受けています。
カレンが続けます。
「スタジオの窓から中を覗いていたら、ベニーが背中を向けて座っているのが見えて……パニックになって走って逃げてしまいました(笑)ストーカーに見えるんじゃないかと思って。でもリチャードはガラスをノックして、手を振ったんです」・
「するとベニーが窓を開けて挨拶してくれて。ご迷惑をおかけしたことを謝って、私たちが大ファンだと伝えたら、外に出てきてくれて、一緒に写真を撮ってくれて、10分ほど話をしてくれました。私たちのパフォーマンス写真も見せたら、気に入ってくれて、フリーダ役の写真を見せたときには『とても良いね』と言ってくれたんです。本当に謙虚で優しい方でした。この瞬間は、一生忘れません」。
*ビヨルン、フリーダ、アグネタ、ベニー(撮影:イアン・ウエスト/PA通信)。
現在、ABBAはロンドンでのバーチャルコンサート『Voyage』の3周年を祝っていますが、The Björn Identityもベルファストのアルスター・ホールで3年連続の公演を果たしました。
カレンは語ります。
「地元出身のアーティストとして、アルスター・ホールのような舞台に立てるのは名誉であり、誇りです。ドイツやオーストリアでも似たような会場で演奏していますが、地元のステージには特別な緊張感があります。私たちはこの地に誇りを持っていて、子どもの頃に観客として訪れていた劇場で、今自分たちが観客を楽しませられることを誇りに思っています」。
*バンドは、ABBAが時代を超えて愛され続けているのは、その「普遍的な親しみやすさ」にあると考えています。
ABBAの音楽が何十年にもわたって愛され、『マンマ・ミーア!』の舞台や映画2作、そして今もなお世界中で演奏され続けている理由は何でしょうか? その問いに、メンバーたちは「普遍的な魅力」と答えます。
リチャードは言います。
「誰もが好きなんですよ、たとえ口では『好きじゃない』って言ってても。思わず踊り出してしまうんです。私たちのショーは、家族で一緒に楽しめる最高の時間なんです──まさに“大きなパーティー”なんです」。
ソフィーもこう締めくくります。
「ABBAの音楽は世代を超えます。5歳くらいの子どもから、その親、祖父母まで幅広い年齢層のお客様が来てくれます。8歳でも88歳でも楽しめる。それがABBAのすごいところで、人々をつなぐバンドなんです」。