リリースから50年――ABBAの「悲しきフェルナンド(Fernando)」が、Netflixシリーズ『ストレンジャー・シングス』シーズン5の最も恐ろしいシーンで流れる
*Photo: Ola Lager courtesy of Universal
写真:オーラ・ラゲル(Ola Lager)/ユニバーサル提供
ケイト・ブッシュの「Running up that Hill」からメタリカの「Master of Puppets」まで、『ストレンジャー・シングス』は“古い名曲を新たに文化の中心へ呼び戻す”という、見事な選曲センスを持つ作品として知られている。
2025年11月26日に全話が公開された最終シーズンでは、作品はスウェーデンの最も象徴的なバンドのひとつ、ABBAへと目を向けた。
シーズン5・第2話の“あの恐ろしいデモゴルゴンのシーン”で流れるのが、ゆっくりと高まっていく緊張感を持つ 「悲しきフェルナンド」。
その盛り上がりは、私たちを椅子の端に追いやった「Running up that Hill」と同じような感覚を呼び覚ました。
最近の MovieZine のインタビューで、本作を手掛けるダファー兄弟はこう語っている。
「20曲、30曲は試しました。でも『悲しきフェルナンド』だけは“これだ”と感じたんです」。
最終的に、この曲が採用された理由は――そのリズムや映画的雰囲気、わずかなコメディ要素、そしてカレンというキャラクターにしっくりくる性質だったという。
ABBA の音楽の偉大なるカタログの中で、「悲しきフェルナンド」はしばしば忘れられがちだ。
1976年のアルバム『アライヴァル』で「ダンシング・クイーン」「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」「マネー、マネー、マネー」などと並んでリリースされたこの曲は、アメリカの音楽チャートでABBA初の1位シングルとなった。
この曲がどのように誕生したのかについて、ビヨルン・ウルヴァースはこう語る。
「ある美しい夏の夜、私は田舎の家の桟橋で仰向けになり、星がひとつも遮られていない夜空を見上げていました。すると、まるで言葉が上から降りてくるようだったのです。私はただ手を伸ばして、それをつかむだけでした――“あの夜、空気の中に何かがあった…”」。
そして今、私たちは再び“あの奇妙な空気”を感じながら、ヴェクナを倒すために最後の冒険へと向かうのだ。

