『マンマ・ミーア!』ロブ・マーネル(’06)、自分の瞬間をつかむ

ロブ・マーネル(’06)、ブロードウェイ『マンマ・ミーア!』で“ザ・ネーム・オブ・ザ・ゲーム”を学び、自分の瞬間をつかむ

*ロブ・マーネル(’06)(右)――ニューヨークのウィンターガーデン・シアターで上演中の『マンマ・ミーア!』にてハリー・ブライト役を務める。
写真提供:ジョーン・マーカス

エロン大学のミュージックシアター専攻を卒業したロブ・マーネル(’06)が、ABBAに着想を得た大ヒット作品『マンマ・ミーア!』のリバイバル公演で、ハリー・ブライト役としてブロードウェイに戻ってきた。卒業から約20年、マーネルは「エロンでの訓練こそが、プロとしてのキャリアの浮き沈みに備える力になった」と語る。

ロブ・マーネル(’06)は音楽一家に育った。家のポーチでのセッション、ギター、親戚がハーモニーで歌うといった環境である。

「音楽は僕の血の中にあったようなものでした」とマーネルは言う。彼は“家族のような雰囲気”を大切にしながら進学先を探していた。

「エロンでいくつかの作品を観る機会があって、キャンパスの雰囲気だけじゃなくて、学科全体がすごく家族的で絆が固いことに惹かれました。『A Grand Night For Singing』というレビュー作品を観たんですが、それがちょうど千秋楽でした。卒業年次の学生たちが皆泣いていて、この素晴らしい経験に別れを告げようとしていた。僕は“自分もこれに参加したい”と思ったんです」。

*ロブ・マーネル(’06)は、ブロードウェイ版リバイバル『マンマ・ミーア!』でハリー・ブライト役を務めている。

“楽しく、喜びにあふれ、ちょっとおバカな時間”

現在マーネルはブロードウェイ版『マンマ・ミーア!』という新しい“ミュージカル・ファミリー”の一員で、ハリー・ブライト ― イギリス人の銀行家で、ギリシャに住む花嫁ソフィの父親候補の一人 ― を演じている。作品全体はスウェーデンのポップグループABBAの音楽で構成されるジュークボックス・ミュージカルだ。

「今この作品が戻ってくるというタイミングは本当に重要だと思います。僕たちは少しでも多くの喜びを必要としている。そしてこのショーは、それを大量に提供してくれるんです。楽しくて、喜びに満ちていて、ちょっとバカバカしい時間なんですよ」。

彼はほぼ2年間、この作品で全米を巡業したあと、ブロードウェイ初演の地であるニューヨークのウィンターガーデン・シアターに戻ってきた。

「6か月間ブロードウェイに腰を据えられるなんて夢のようです」とマーネルは語る。「ギターを弾けるのも楽しいんですが、最初は少し怖かった。とても前面に出る役なので。これまで goofy(ひょうきん)なキャラクターを演じることもありましたが、僕はハリーにも、脚本には書かれていない“おどけた感じ”を持ち込んでいます」。

*ロブ・マーネル(’06)、2025年8月14日、ニューヨークのウィンターガーデン・シアターで行われた『マンマ・ミーア!』初日の様子。

キャラクターは“オリジナルに縛られなくていい”

マーネルによれば、この作品のアソシエイト・ディレクターであるマーサ・バンタは、キャストが自由にキャラクターを探り、初演版の解釈にとらわれなくても良いよう促しているという。

「“ずっと同じ役を演じてきて、どうやって新鮮さを保てばいいのか”って壁にぶつかるんです。でもマーサは、『脚本を遊びなさい、キャラクターを遊びなさい。前と同じである必要はない』と励ましてくれました。それが本当に新鮮だった」。

このミュージカルは2008年に映画化され、2018年には続編も公開されている。アマンダ・セイフライド、メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナンなど豪華キャストが出演した。しかしマーネルは、役作りのために映画は観なかったという。コリン・ファースの演じる映画版ハリーに引っ張られたくなかったからだ。

「役が決まる前から映画を見たことがなくて、キャストされてからは “観ない” ことを意図的に選びました。映画の演技が僕に影響してしまうのを避けたかったんです」。

*ブロードウェイ版リバイバル『マンマ・ミーア!』のキャスト。ロブ・マーネル(’06)はハリー・ブライト役で出演(2列目・右から5番目)。
写真提供:ジョーン・マーカス

“ザ・ネーム・オブ・ザ・ゲーム”を学ぶ

エロン大学でマーネルは「歌で演技すること」「素材と個人的につながること」を学んだ。特に影響を受けたのは、2022年に退職したキャシー・マクニラ教授(パフォーミングアーツのWilliam S. Long記念教授)だった。

「彼女から“声のメカニズム”について本当に多くを学びました。『Performance in Musical Theater』という授業は、僕にとってプログラム全体の心臓部のようでした。美しく、たくさんの“弱さ(vulnerability)”を伴う授業でした。キャシーの影響は今も僕の中に残っています」。

学生時代に多くの舞台に出演した経験は、ニューヨークへの移行を助けてくれたが、それでも厳しい挑戦だったと彼は振り返る。

「ニューヨークに来るということは、“巨大な池の中の小さな魚になる”ようなものです。数字の勝負になるんです。エロンは都市での生活をある程度準備させてくれましたが、それでも衝撃はありました。自信はありましたが、何度もオーディションを受け、何度も“ノー”を言われ、拒絶を経験することでスタミナがついていくんです。ちょっとした“皮の厚さ”ですね」。

*ロブ・マーネル(’06)

“テイク・ア・チャンス・オン・ミー”

マーネルは2006年にエロン大学でミュージックシアターの美術学士号を取得し、2015年に『Beautiful: The Carole King Musical』でブロードウェイデビュー。その後『Gettin’ the Band Back Together』や『Tina: The Tina Turner Musical』にも出演した。

「卒業から9年、途中で諦めてもおかしくなかった。でも少しずつ近づいていって、仕事がどんどん良くなっていった。信じ続けることが大事だし、みんな時間軸は違うんです」。

彼は、エロンの学生たちに“できるだけ多くの授業を取って、幅広い教育を受けてほしい”と勧めている。
卒業から20年近く経った今、ようやく自分の仕事と経験に自信が持てるようになってきたという。

「自分の履歴書には誇りがありますし、安心感もあります。プロとして追い続けてきた中で得た知恵に感謝しています。それを当然とは思いません。この業界の仕組みを理解し、できる限り準備して、現場で楽しむだけ。そしてもしパズルのピースにぴったりはまれば最高。でも、はまらなくても“自分に価値がない”という意味ではありません」。

*ニューヨークのウィンターガーデン・シアターで上演されている、ブロードウェイ版リバイバル『マンマ・ミーア!』のキャスト。
写真提供:ジョーン・マーカス

Rob Marnell ’06 learns ‘the name of the game’, finding his moment in Broadway’s ‘Mamma Mia!’

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