冷戦ミュージカルを現代的な視点で再構築!
ミュージカル『CHESS』の新演出版がブロードウェイで開幕した。プレビュー公演は 11 月 16 日、インペリアル劇場で始まった。主演は アーロン・トヴェイト、リア・ミシェル、ニコラス・クリストファー の3名である。
演出家 マイケル・メイヤー は、従来の作品を大きく再構成した大胆なバージョンを提示している。今回のリバイバルでは ダニー・ストロング(Danny Strong) による新しい脚本を用い、冷戦時代の物語を現代の観客に向けて再解釈している。
新しい脚本と演出が“メタ演劇”的な体験を生む
この演出版では、アービター(The Arbiter) と呼ばれる語り手が登場する。演じるのは ブライス・ピンカム(Bryce Pinkham)。
彼は物語の行動に直接コメントし、1980年代の地政学と現代の問題を結びつける役割を担う。
このアプローチにより、舞台には常に二重構造の「せめぎ合い」が生まれる。
スター俳優たちは真摯な熱意でナンバーを歌い上げる一方、演出はしばしば皮肉を込めた自己言及的なコメントで、その真剣さをずらしてみせるのだ。
誠実なパフォーマンスと、皮肉を帯びた演出の“衝突”
主要キャストの演技は力強く、ストレートだ。
- ニコラス・クリストファー は、心に深く響く迫真の「アンセム(Anthem)」を披露。
- リア・ミシェル は、その代名詞とも言える圧倒的な歌唱力でソロ曲を歌い上げる。
- アーロン・トヴェイト の「かわいそうな子(Pity the Child)」は、ロックコンサートさながらの圧巻の瞬間となっている。
しかし、こうした誠実なパフォーマンスは、ときに作品全体の“アイロニックな枠組み”と衝突する。その緊張感が、ユニークでありながらも複雑な観劇体験を生み出している。
このブロードウェイ版『Chess』は、対照性の面白い研究対象のようだ。問題点の多かったミュージカルを見事に現代化し、誠実さと風刺の間にある魅力的な緊張関係を提示している。
知っておくと役立つ「CHESS」Q&A
● ミュージカル『CHESS』の物語は?
アメリカ人とロシア人、2人のCHESS王者が世界選手権でぶつかり合う。
そして同時に、同じ女性をめぐって恋愛でも争う物語。
● 音楽を作ったのは?
音楽は ABBA のベニー・アンダーソンとビヨルン・ウルヴァース。
歌詞は ティム・ライス(Tim Rice)。
オリジナルのコンセプトアルバムは 1984 年に発売された。
● 今日のリバイバル版は何が違う?
- ダニー・ストロングによる完全な新脚本
- 語り手(アービター)の追加
- より自己言及的で“メタ”な演出
● ブロードウェイ版のキャストは?
- アーロン・トヴェイト
- リア・ミシェル
- ニコラス・クリストファー
- ブライス・ピンカム(アービター役)
このほか、経験豊富なブロードウェイの俳優が多数出演。
● 上演劇場はどこ?
ブロードウェイの インペリアル劇場(Imperial Theater)
所在地:ニューヨーク、ウェスト45丁目
プレビュー開始:2024年10月
Chess Broadway Revival Reimagines Cold War Musical With Modern Twist

