レビュー: Theatre Royalでの「ABBA Forever Ireland」
今夜のABBAトリビュート公演は、これまでこの劇場で見た中で最高のトリビュートショーの一つです。このプロダクションにはすべてが詰まっています。2人の素晴らしいシンガー、2人の優れたプレイヤー、息つく暇もないショー、絶え間ないセットと衣装のチェンジ、オリジナルの振り付けを忠実に再現したダンスルーチン、そして圧巻のスコア。
そして、パフォーマンスで常に求められる「喜び」の感覚があふれています。
トリビュートアクトに求めているものがすべて揃っています。
*ABBA Foreverがシアター・ロイヤルで公演を行ないました。
スクリーンの後ろから映し出されるプロジェクションには、曲名や歌詞、アルバムカバー、バンドの驚異的な旅を辿る映像が流れます。ブライトンでのユーロビジョン・ソング・コンテストから始まり、『マンマ・ミーア!』の地へと続くABBAの写真が次々と映し出され、太陽が降り注ぎます。ジェームズ・ボンド(ピアース・ブロスナン風)がコーラスを率いる演出も見逃せません。
女性客が圧倒的に多い、華やかな夜です。きらびやかな装いが目立ち、ABBA風のグラムロックな衣装を身にまとった観客もちらほら見られます。劇場全体に「シアター・ロイヤル」の特有の高揚感が広がり、シンガーが「恋のウォータールー」を歌い始めると、1974年のユーロビジョンの観客が映し出された映像の前で、劇場が揺れるように盛り上がります。
気づけば、ABBAの名曲5曲がノンストップで披露されています。「ハニー、ハニー」「バング・ア・ブーメラン」「キッシィズ・オブ・ファイア」。
セリフは一切ありません。でも必要ないのです。この観客は音楽を楽しみに来ているので、つなぎのストーリーは不要です。ABBAの物語は、レコードジャケット、写真、映像を通じて自然に語られます。
スウェーデンのスーパーグループABBAは、1972年にストックホルムで結成されました。メンバーは、アグネタ・フォルツコグとビヨルン・ウルヴァース、ベニー・アンダーソンとアンニ=フリード・リングスタッドという2組の夫婦でした。グループ名「ABBA」は彼らの名前の頭文字から取られています。ABBAは1974年から1982年にかけて、世界的に最も人気があり成功した音楽グループの一つとなり、チャートのトップを独占しました。
しかし、名声は彼らの私生活に影響を与え、最終的に1982年にバンドは解散。夫婦もそれぞれ離婚しました。この時期に生まれた楽曲が、おそらくバンド史上最高の作品群でしょう。「S.O.S.」「ザ・ウィナー」「マネー、マネー、マネー」「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」。
ショーの鍵を握るのは、パワフルさとエネルギーです。出演者全員が全力を出し切り、ショーは止まることなく進行します。「ヴーレ・ヴー」「ギミー!ギミー!ギミー!」「ホール・イン・ユア・ソウル」「ダンシング・クイーン」…次から次へとヒット曲が続きます。
「サマー・ナイト(シティ)」では、スクリーンに東京の風景が映し出され、若者の都会的な恋が描かれます。劇場は揺れ、鼓動し、観客はそのビートに身を任せ、続く驚異的なギターソロに心を奪われます。
バンド解散から10年後、ベスト盤『ABBAゴールド』が発売され、世界中で大ヒットしました。1999年には、ABBAの音楽を基にしたミュージカル『マンマ・ミーア!』が登場し、世界中でツアーが行なわれました。ブロードウェイとウェストエンドでは今なおロングラン公演を続け、トップ10に入っています。
2008年には『マンマ・ミーア!』の映画が公開され、英国で年間最高興行収入を記録。2018年には続編『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』が公開されました。
ABBAのレコード総売上は1億5000万枚から3億8500万枚と推定されており、英国、オーストラリア、米国、アイルランド、カナダ、ニュージーランド、南アフリカなどで大成功を収めました。事実、ABBAはスウェーデンでボルボに次ぐ輸出企業でした。
では、彼らの成功の秘密は何だったのでしょうか?
彼らはグラムロックバンドの先駆けであり、彼らの音楽は中毒性があるほどキャッチーでした。今でも、ほとんどの曲の歌詞はあまり覚えていませんが、ディスコビートと繰り返しのリズムが観客をノリノリにさせ、楽しくてたまらない夜を演出してくれます。
マンマ・ミーア!なんて素晴らしい夜だったことでしょう!
※Theatre Royal(シアター・ロイヤル):イギリス各地に存在する歴史的な劇場の名称です。多くの場合、都市名とセットで使われます(例:Theatre Royal Drury Lane、Theatre Royal Bathなど)。これらの劇場は長い歴史を持ち、多くが18世紀から19世紀にかけて建設されました。