悲しみを巧みに隠す3つの名曲

偉大なアーティストの証のひとつは、ひとつの作品に複数の側面を持たせることができる点にある。音楽の世界では、その目的を歌詞と音楽の対比によって実現することが多い。たとえば、悲しいメロディーに幸せな歌詞を乗せることもできるが、ここではその逆——明るく楽しいメロディーの裏に隠された悲しみ——に焦点を当ててみよう。
では、「華やかなメロディーで憂鬱な意味を覆い隠す3曲」を紹介しよう。

「マンマ・ミーア」/(ABBA)

すべての人がそうだとは言わないが、ABBAの名曲「マンマ・ミーア」を知る多くの人々は、祝祭や喜びの象徴としてこの曲を思い浮かべるだろう。1975年に発売されたこのシングルは、結婚式、カラオケ、そして人々が陽気に盛り上がるイベントで欠かせない定番ソングとなっている。
音楽的には非常に明るく陽気だが、歌詞の内容はまったく異なる

この喜ばしいメロディーの下には、浮気した元恋人に再び恋をしてしまう女性の物語が隠れている。彼女は、その恋が再び悲劇に終わることを分かっていながら、抑えきれない愛情に身を任せてしまうのだ。
このABBAのシングルが描くのは、喜びではなく、後悔と切ない愛の渦なのである。

「ヘイ・ヤ!」/アウトキャスト(OutKast)

アウトキャストの2003年のシングル「ヘイ・ヤ!」も、「マンマ・ミーア」と同様に誕生日パーティーやカラオケバーなど、楽しく無邪気に歌い踊る場でよく流れる曲だ。
この曲のメロディーは軽快でノリが良く、深く考えずに楽しめるようにできているため、多くの人はその本当の意味を知らない。

しかし、この曲が語る物語は、孤独を恐れ、体裁を保つためだけに一緒にいる恋人たちの話である。
つまり、この曲は表面的にはダンスと歓声の象徴だが、実際には「形式的な愛」や「愛の儚さ」への批判が込められているのだ。

「ハード・タイムズ」/パラモア(Paramore)

パラモアの2017年のシングル「ハード・タイムズ」は、2010年代のポップロックを象徴する曲だ。アップテンポで聴きやすく、歌詞に注意を払わなくても自然にノッてしまうタイプの楽曲である。
だが、そのキャッチーでポップなメロディーとは裏腹に、歌詞は決して軽いものではない

ヘイリー・ウィリアムスとパラモアの歌詞は、うつ状態、内面の葛藤、生きる意味、そしてその喪失について歌っている。
メロディーはチャートでのヒットを狙って作られたかもしれないが、歌詞はむしろ人間の心の闇と向き合っているのだ。

https://americansongwriter.com/3-songs-that-mask-their-melancholic-meaning-with-a-marvelous-melody/

 

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