ABBAはどこにでもいる。『マンマ・ミーア!』だけの話ではない。
『This Is Pop』というシリーズにも、実質ABBAがテーマの回がある。
ユーロビジョンの文化的イメージを支配しているのも、ほぼABBAだ。
*アトランティック・レコード提供
「ダンシング・クイーン(Dancing Queen)」は、何百人もの女子の17歳の誕生日インスタ投稿のキャプションに使われてきた。
そして大学フラタニティ――そう、あの“フラット”たちはABBAが大好きだ。
外出すると、ほぼ毎回ABBAを耳にする。
先週末も例外ではなかった。
ある夜は「ギミー!ギミー!ギミー!〈Gimme! Gimme! Gimme!(A Man After Midnight)〉」、
別の夜はタイトル曲の「ヴーレ・ヴー(Voulez-Vous)」。
そして言わせてほしい。私はそれを聞けて嬉しい。
ABBAは称賛されるべきだ(解散から40年経っていても)。
彼らに花束を贈ることができるなら喜んでそうする。
今回の Test Spin は1979年のアルバム『ヴーレ・ヴー(Voulez-Vous)』を取り上げる。
これこそ彼らの最高傑作の一つと言ってもいい。
そして読み終える頃には、最低1曲のABBA曲が数日間にわたり脳内でリピートされるはず。
✅ アルバムの楽曲
アルバムは「アズ・グッド・アズ・ニュー(As Good As New)」で幕を開ける。
『ブリジャートン家』に出てきそうな壮大なクラシック風のイントロから、
ラッセ・ウェランダーによるファンキーなギターリフへと切り替わる。
次は「ヴーレ・ヴー(Voulez-Vous)」――これは毎回完璧に決まる曲。
部分的にマイアミで録音されているため、ABBAのスタジオアルバムの中で唯一スウェーデン以外で録音された作品になった。
強烈なベースラインは、ルトガー・グンナルソンではなくアメリカ人アーノルド・パセイロの演奏。
「アイ・ハヴ・ア・ドリーム(I Have A Dream)」はフォーク調で心温まる曲で、
コーラスには子どもたちの合唱、そしてヤンネ・シャッファーによるエレクトリックシタールも加わっている。
✅ アルバムのハイライト
「エンジェルアイズ(Angeleyes)」は間違いなく大きな目玉。
キャッチーで、ABBA4人の完璧なハーモニーが響く。
これが警告の歌であることを忘れそうになるほどだ。
「ザ・キング・ハズ・ロスト・ヒズ・クラウン(The King Has Lost His Crown)」もファンキーで、
恋の終わりを描いた曲。
「ダズ・ユア・マザー・ノウ(Does Your Mother Know)」は、数少ないビヨルンがリードボーカルの曲。
ポップロックの魅力が溢れている。
✅ 「イフ・イット・ワズント・フォー・ザ・ナイツ」と「チキチータ」
「イフ・イット・ワズント・フォー・ザ・ナイツ(If It Wasn’t For The Nights)」は筆者のお気に入り。
ビヨルンががアグネタとの離婚について書いたと言われ、
「ダンシング・クイーン」を思わせる勢いと華やかさがある。
「チキチータ(Chiquitita)」はアルバムのリードシングルに選ばれた曲。
サイモン&ガーファンクル版「コンドルは飛んでいく」から影響を受けている。
✅ 後半の楽曲
「ラヴァーズ(リヴ・ア・リトル・ロンガー)〈Lovers (Live A Little Longer)〉」は
ファンクとディスコが混ざり合った楽しい曲。
「キッシィズ・オブ・ファイア(Kisses of Fire)」では、
アグネタとフリーダの声が溶け合う美しいハーモニーが際立つ。
「サマー・ナイト・シティ(Summer Night City)」は
『サタデー・ナイト・フィーバー』のような世界観で、重厚なベースが魅力。
「ラヴライト(Lovelight)」は軽やかでポップな曲。
そして最後は永遠の名曲
「ギミー!ギミー!ギミー!(真夜中の男)〈Gimme! Gimme! Gimme!(A Man After Midnight)〉」。
誰でも一緒に歌ってしまうあの曲だ。
✅ 結論
ABBAはどこにでもいる。
だが、筆者はまだ飽きていない。
これからもずっとプレイリストに居続けるだろう。
✅ Test Spinsとは
昔の名盤や隠れた名作を紹介する隔週(金曜)連載コラム。
筆者:シドニー・レヴィントン(コーネル大学)
連絡先:slevinton@cornellsun.com
https://www.cornellsun.com/article/2025/11/test-spins-abba-voulez-vous

