「Dancing Queen – The Music of ABBA」で観客総立ち!

― 音楽コラムニスト「まるで喜びとノスタルジーの雪崩に飲み込まれたようだった」。

♪ マンマ・ミーア、また始まるのね… どうしてあなたに逆らえるの?

そして土曜の夜、エコール・セコンデール・カトリック・テリオー校(École Secondaire Catholique Thériault)には満員の観客が集まり、その音楽に抗うことなど誰にもできませんでした。

*「Dancing Queen the Music of ABBA」は、Jeans ’n Classicsティミンズ交響楽団(Timmins Symphony Orchestra)の共演で、3月29日にエコール・セコンデール・カトリック・テリオー校で上演されました。
「ダンシング・クイーン」の演奏中には、観客がステージ前に殺到したとジョン・エムズ氏が報じています。
写真:ブライアン・ジョーンズ / ティミンズ交響楽団提供。

公演タイトルは『Dancing Queen – The Music of ABBA』。カナダのグループ「Jeans ’n Classics」がティミンズ交響楽団(Timmins Symphony Orchestra, 略称TSO)と共演したスペシャル・ステージです。

それはもはや当然のことです。
ABBAの音楽は世代を超えて愛され続け、その魅力は今もなお色あせることがありません。
キャッチーなメロディー、心に響く歌詞、忘れがたいハーモニー──それらが生み出す魅惑の空間は、観客の心をつかんで離しません。

その力は、まさにこの夜、実感できました。
4人の優れたボーカリスト(カタリン・キス、ドラマチックなポップの声を持つアンドレア・コジオルステファニー・マーティン、そして魅了する歌声のキャスリン・ローズ)が、バンドとTSOとともに登場した瞬間から会場は熱気に包まれました。

第一幕:幕開けから興奮の連続

コンサートが始まるとすぐに、観客は楽しく温かい雰囲気の中に引き込まれました。
オープニング3曲「マンマ・ミーア」「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」、そして金管楽器とバイオリンが高らかに鳴り響いた「アイ・ドゥ・アイ・ドゥ」では、音楽とともに空気もはじけました。

TSOとバンドはショーのダイナミクスを丁寧に築きあげ、観客をわくわくさせる展開を生み出していきました。
観客にとっては、過去を懐かしむ旅への招待状。私自身ブルースやロックのミュージシャンですが、ポップ全盛時代のABBAの輝きは今も覚えています。

ABBAの音楽は、ディスコ時代の高揚感とバラードの感情の深さが絶妙に共存しており、それは「黄金の心を持つ街」と呼ばれるティミンズでもしっかり響いていました。

会場を包むノスタルジーと一体感

第一幕の中盤では、「恋のウォータールー」の軽快なリズム、「SOS」の普遍的な魅力が爆発。
指揮者のジョシュア・ウッドとボーカリストたちとの温かい掛け合いが、さらにステージの魅力を高めました。

ABBAの魅力は単なるヒットメロディーだけではなく、緻密に作られたボーカルハーモニーにあります。
第1幕ではアンドレア・コジオルの力強い歌声が際立ち、カタリン・キス、キャスリン・ローズもそれぞれに深みのある表現で観客の心に訴えかけました。

第二幕:熱量はさらに加速

休憩後の第2幕では、ギタリストピーター・ミューラー、ドラマーデイル・アン・ブレンダン、ベーシストスティーブ・ホッグがより強い存在感を見せ、ギターソロやアカペラ、オーケストラとのインタープレイがさらに充実しました。

「ヴーレ・ヴ―」「サマー・ナイト・シティ」「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」「マネー、マネー、マネー」など、アップテンポでリズムの多様性に富んだ楽曲群が観客の体を自然に揺らしました。
ステファニー・マーティンのパワフルなボーカルが特に印象的でした。

ミッドテンポのバラード「ザ・ウィナー」や「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」(カタリン・キスの美声による)では、しっとりと心に沁み入るような時間が流れました。

ピアニストジョン・レーガンによる美しいイントロから始まる「A Song is a Song」は、失恋や喪失を描いた曲として観客の心を捉え、共感と静かな感動を生み出しました。
2025年という不安定な年にあって、こうした心のよりどころとなる瞬間は必要なのです。

感動のクライマックスとアンコール

アカペラから始まり、会場を沸かせた「テイク・ア・チャンス」「ギミー!ギミー!ギミー!」では、観客がステージ前に詰めかけ、踊り、歌い出しました。

そして最後、アンコールへの期待が高まる中、あのイントロが鳴り響きます──
「ダンシング・クイーン」

その瞬間、まるで喜びとノスタルジーの雪崩に会場全体が巻き込まれたようでした。
観客全員が合唱しながらステージ前に駆け寄り、まるで野外フェスのような熱狂が交響楽団のコンサートで起こったのです。

音楽の力、それは心をつなぐ

観客たちは会場を後にしながら、心に響くメロディーの余韻を携えて帰路につきました。
この夜は、音楽が持つ「人をつなぎ、癒し、魂を持ち上げる」特別な力を証明するものとなりました。

※École secondaire catholique Thériault(エコール・セコンデール・カトリック・テリオー校)とは

カナダ・オンタリオ州ティミンズにあるフランス語圏カトリックの公立中等学校(9〜12年生)です。

https://www.timminspress.com/opinion/dancing-queen-the-music-of-abba-gets-audience-dancing-in-the-aisles

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です