『マンマ・ミーア!』ブロードウェイの“故郷”へ――華やかな帰還の舞台裏

『マンマ・ミーア!』ブロードウェイの“故郷”へ――華やかな帰還の舞台裏

さあ、また始まるよ!
ABBAの楽曲で構成された大ヒット・ミュージカル『マンマ・ミーア!』が、ブロードウェイ史上9番目のロングラン作品として、ついに戻ってきます。そして、その舞台はまさに2001年に初演され、5,773回もの上演を果たしたウィンターガーデン劇場。その“原点の劇場”です。

*レナ・オーウェンズ、エイミー・ウィーバー、ヘイリー・ライトが『マンマ・ミーア!』に出演。写真:ジョーン・マーカス。

「ジョージ・クルーニーが降板して、私たちの番が来たの」――
そう語るのは、この10億ドル規模のミュージカル・フランチャイズを生み出したプロデューサー、ジュディ・クレイマー。ハリウッドスターの出演した舞台『グッドナイト・アンド・グッドラック』の公演終了後、理想の劇場であるウィンターガーデンを確保できたという巡り合わせを「すべては劇場の運命的な流れ。完璧だった」と振り返ります。

『マンマ・ミーア!』の公演は8月2日より再開、6か月間の限定上演となります。

物語は、ギリシャの島で結婚を控えた娘ソフィーが、自分の“本当の父親”を探すため、母ドナのかつての恋人3人をこっそり招待するというもの。物語はABBAの名曲「ハニー、ハニー」「スーパー・トゥルーパー」「ダンシング・クイーン」、そしてもちろんタイトル曲「マンマ・ミーア」に乗せて展開されます。

今回の出演者は以下の通り:
クリスティーン・シェリル(ドナ)
エイミー・ウィーバー(ソフィ)
カーリー・サコラヴ(ロージー)
ジャリン・スティール(ターニャ)
ロブ・マーネル(ハリー・ブライト)
ジム・ニューマン(ビル・オースティン)
ヴィクター・ウォレス(サム・カーマイケル)
グラント・レイノルズ(スカイ)

この作品の背景は、まさに“ミュージカル史”の1ページです。『マンマ・ミーア!』は1999年にロンドンで初演され(現在も上演中!)、その後トロント、オーストラリア、アメリカでのツアーを経て、2001年秋にニューヨークへと到達しました。

クレイマーは、「ブロードウェイ進出は当初の計画にはなかった」と語ります。当時『キャッツ』が長年の公演を終えたばかりで、ウィンターガーデン劇場が空いたことがきっかけでした。しかし、その直後に9.11同時多発テロが発生。
「こんな時期に開幕していいのか」と葛藤がありました。

当時のニューヨーク市長ルディ・ジュリアーニや劇場オーナーたちから後押しを受け、上演に踏み切ることに。
「本当に大変な時期でした。でもその分、この作品が多くの人の心に響いた。世界の出来事から一瞬でも気持ちを切り離す“息抜き”になったと思います」とクレイマー。

『マンマ・ミーア!』は常に“心が明るくなる作品”であり、家族や絆、再生、そしてコミュニティの物語です。すでに海外での公演も話題となっていたため、ニューヨークでも口コミで大きな“前評判”が生まれていたと彼女は語ります。
「当時はチケット売場にできた行列の長さで成功がわかったものよ」。

*ジャリン・スティール、クリスティーン・シェリル、カーリー・サコラヴが『マンマ・ミーア!』に出演。写真:ジョーン・マーカス。

そして四半世紀近く経った今、成功の指標は“行列”ではなく“オンラインの熱狂”へ。
2008年の映画版(メリル・ストリープ&アマンダ・セイフライド主演)と2018年の続編『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』によって、新しい世代にカルト的人気が拡大。2015年のブロードハースト劇場での千秋楽を見られなかった若者たちにとって、この復活は特別な意味を持ちます。

『ウィキッド』と同様、映画の成功が原作への再注目をもたらしました。
「みんなまた観たいって思ってくれてる。友達を誘ったり、グループで来たり。それが私たちに届いている“今の空気”です」とクレイマーは語ります。

*ジャリン・スティール、クリスティーン・シェリル、カーリー・サコラヴが『マンマ・ミーア!』に出演中。※写真提供:ジョーン・マーカス。

映画キャストの出演や一夜限りのコンサート、ゲスト出演などの予定はないとのこと。ただし、第3作目の映画は進行中。まだ台本読み合わせはしていないそうですが、「解決すべき結末がある。ソフィとスカイのその後を知りたいという声が多いし、島のみんなが10年後どうなっているのか、観客は関心を持ってる」とクレイマー。

また、2作目で亡くなった(という設定の)ドナ(ストリープ演じる)をどう復活させるか――「歌わせる方法は考えています」と彼女はほのめかします。どの曲を使うか、新曲をABBAが書くかどうかも議論中とのこと。

さらにクレイマーは、シェールの伝記映画の共同プロデュースにも取り組んでいます。『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』での共演がきっかけで親交を深めたとのこと。「脚本は完成してるけど、まだそこから先には進んでないわ」。この映画はブロードウェイの『シェール・ショー』とは異なる作品で、「これはあくまで映画。ミュージカルじゃないけど、もちろん彼女の楽曲は登場するし、演じる俳優は歌わなきゃいけない。でも映画には舞台とは違う自由度がある。きちんと描くには時間と労力が必要なの」と語ります。

今の最大の焦点は、10年ぶりのブロードウェイ復活
現在、『マンマ・ミーア!』は世界4か所で上演されており、そのひとつはロイヤル・カリビアンのクルーズ船「アリュール・オブ・ザ・シーズ」でも行われています。

「上演が終わったときも、どこかで“また戻ってくる”と思われていたはず。ツアーを経てブロードウェイに戻ることが“計画通り”だったわけじゃないけど、ちゃんと準備して、こうして戻ってこられたのは本当に嬉しいことです」とクレイマーは語る。

https://broadwaydirect.com/behind-mamma-mias-grand-return-to-its-original-broadway-home/

 

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