ちょうど1年前、クリスティーン・シェリルはウィスコンシン州ケノーシャで5年生にアメリカ史を教えていました。
そして今、彼女はブロードウェイの歴史を作っています。
54歳の女優であり教師でもあるシェリルは、現在ウィンターガーデン劇場で上演中の『マンマ・ミーア!』でドナを演じています。
彼女がこの役を獲得したという知らせを受けたのは、ちょうどアメリカ独立革命の授業を終えたときでした。その授業では『ハミルトン』というミュージカルを教材に使っていたのです。
「私のクラスにはスポーツ少年ばかりだったので、『ハミルトン』を紹介するときは『これは退屈に思われるだろうな』と思っていました。ところが彼らは夢中になったんです」とシェリルはニューヨーク・ポストに語っています。
*クリスティーン・シェリルは『マンマ・ミーア!』でブロードウェイデビューを果たしました。同作はウィンターガーデン劇場で2月1日まで上演されます。
「保護者の方々から『うちの子が歌っているのを初めて聞きました。夕食を作っていたら『ハミルトン』の歌詞を全部歌えるんです』というフィードバックをいただきました」。
そして、クラスにブロードウェイへ行くことを発表したとき、生徒たちは「えっ、『ハミルトン』に出るの?!」と驚いたそうです。
彼女が『マンマ・ミーア!』の主演ドナ役のオーディションを受けたのは3月。セント・ジョセフ・カトリック・アカデミーを木曜に休み、ニューヨークへ飛んで「当たって砕けろ」の気持ちで挑戦しました。
翌朝には「何事もなかったように」学校に戻り、心の中で「ものすごく才能ある女性たちが大勢いた。ウィスコンシンの教師が選ばれるわけない」と思い、気持ちを切り替えていたそうです。
けれども、その役は彼女のものになったのです。そしてそこには十分な理由がありました。
教育学の修士号を持つシカゴ出身のシェリルは、実は才能豊かで、2001年にシカゴ郊外のフェザント・ラン・ディナー・シアターで歌っていたときに、演出家マーク・ロビンに見出されました。この劇場は俳優ショーン・ヘイズもキャリアをスタートさせた場所です。
*この人気ミュージカルで彼女はドナを演じています。ドナはシングルマザーで、その娘(エイミー・ウィーバーが演じる)が、自分の結婚式に3人の“父親候補”を招待するという役どころです。
「私は夜に歌って少しでも収入を増やしていたんです。教師の給料がどれくらいかは皆さんご存知でしょう? そのとき彼が来て『どうして今まで君を知らなかったんだ?』って言ってくれたんです」と彼女は振り返ります。
「彼には本当に感謝しています。だからブロードウェイの初日にお花を贈りました」。
シェリルは8年間、教師を続けながら女優業も並行していました。日中の仕事をやめることにはなかなか踏み切れなかったのです。
「安定が必要だったし、教師をやめるのが怖かったんです。大学を出てからはずっと2つのキャリアの間を行ったり来たりしていました。シカゴでは定期的に俳優をしつつ、また教師に戻ったり、いつも家庭教師をしていました」と説明します。
「エージェントから何度も他のオーディションの話は来ていましたが、教師をやめるほどのものはなかったんです」。
その状況が一変したのは、『マンマ・ミーア!』がブロードウェイに戻ってくると知ったときでした。
*シェリルがブロードウェイのオーディション会場に到着したとき、彼女はすぐに自信を失いました。
「そこには何百人もの人がいました……その瞬間、『ああ、自分を本当に甘く見ていたんだな』って思ったんです」と彼女は振り返ります。
シェリルの『マンマ・ミーア!』との縁は2006年にまで遡ります。その時はツアー公演で別の役を演じました。
彼女が初めてドナを演じたのは2014年のツアーで、その後2023年にも再演しました。これまでに約3,000回も舞台に立ったと推定しています。
2008年の映画版『マンマ・ミーア!』ではメリル・ストリープがドナを演じましたが、彼女はまだ劇場に観に来ていません。シェリルのお気に入りのセレブ観客は別にいるそうです。
「ジーン・スマートです。彼女は2回も来てくれました。ロサンゼルス公演にも、そして今回も来てくれて。いつもメッセージを送ってくださるんです。本当にクールな方なんですよ」。