『CHESS』ショーン・アラン・クリルは、かつて迫られたことがある

『CHESS』出演俳優ショーン・アラン・クリルはかつて『ジャグド・リトル・ピル』と『ディア・エヴァン・ハンセン』のどちらを選ぶか迫られたことがある

トニー賞ノミネート俳優が、インペリアル劇場で上演中のABBA×ティム・ライス作品のヒット・リバイバルで「悪役」を演じる喜びを語る

グラフィック制作:ヴィ・ダン

ここ数年、ショーン・アラン・クリルは、複雑で、しばしば欠点を抱えた男性を演じることに長けた“キャラクター俳優”として、ミュージカル界で最も引っ張りだこの存在の一人となっている。

この10年が始まって以来、彼は『ジャグド・リトル・ピル』でポルノ依存の不在がちな夫スティーヴ・ヒーリーを演じトニー賞ノミネートを獲得し、『パレード』のトニー賞受賞リバイバルでは、死刑を終身刑に減刑するルイジアナ州知事スレイトンを演じ、さらにリンカーン・センター・シアターの『フロイド・コリンズ』ブロードウェイ初演では、傲慢な技師H・T・カーマイケルを演じてきた。

そして現在、クリルは新シーズン最大級のヒット作のひとつ、長らく待ち望まれていた『CHESS』のリバイバルでブロードウェイに戻ってきている。本作は、1980年代にロンドンでは成功したものの、1988年のブロードウェイでは短命に終わったミュージカルの大幅改訂版だ。インペリアル劇場で上演中のこのプロダクションは、エミー賞受賞作家ダニー・ストロングによる新脚本、トニー賞受賞演出家マイケル・メイヤーの演出によるもの。8年以上このバージョンの『CHESS』に関わってきたクリルは、CIAの策略家ウォルター・デ・コーシーを演じ、リア・ミシェル、ニコラス・クリストファー、トニー賞受賞俳優アーロン・トヴェイトらと共演している。

クリルはブロードウェイで『ハネムーン・イン・ベガス』『オン・ア・クリア・デイ・ユー・キャン・シー・フォーエヴァー』『マンマ・ミーア!』に出演。オフ・ブロードウェイでは『ブラザー/シスター・プレイズ』『シヴィル・ウォー・クリスマス』『ヒット・ザ・ウォール』などに出演し、地方公演では『リーガリー・ブロンド』『分別と多感』『サイドウェイズ』『ホット・エル・ボルチモア』『ブリガドーン』『ハムレット』『間違いの喜劇』などに参加してきた。テレビ・映画では『Jentry Chau vs. The Underworld』『Dopesick』『FBI: Most Wanted』『ゴッドファーザー・オブ・ハーレム』『サーチ・パーティ』『Dr. Death』『Mr. Robot』『ブラックリスト』『ブルー・ブラッズ』『Song Sung Blue』『Intermedium』などで知られている。

以下はPlaybillのインタビューシリーズ「How Did I Get Here」(俳優だけでなく、演出家、デザイナー、音楽家など舞台を作るすべての人に光を当てる企画)でのインタビュー。クリルは、ニューヨークに戻ることを迷わせた人生の困難な時期、悪役を演じることへの愛、そして「良い芝居はどんなに冷え切った心も溶かす」という思いを率直に語っている。

マーク・ジェイコビー、ショーン・アラン・クリル、ブラッドリー・ディーン、ハンナ・クルーズが、ミュージカル『CHESS』初日のカーテンコールで挨拶している様子。
(撮影:ショーン・サリー)

■ どこで演技を学びましたか?

ショーン・アラン・クリル: ミシガン州デトロイトのウェイン州立大学で演技を学びました。

■ 特に影響を受けた先生は?

ウェイン州立大学の演技の教授、ダイナ・リンチです。19歳で世間知らずで心を閉ざしていた“俳優志望”の私の殻を破ってくれました。壁を壊し、罠を避けること、強い選択をすること、勇気を持つことを教えてくれた。あの頃の私はきっと相当抵抗していたと思いますが、彼女が諦めずにいてくれたことに心から感謝しています。

■ 何年もこの『CHESS』に関わっていますが、最初はいつから?

このバージョンの最初のワークショップ・リーディングは2017年夏でした。それ以来ずっとウォルターを演じています。ケネディ・センター、ブロードハーストでのコンサート版なども含めて。ダニー・ストロングは、CIA(ウォルター)とKGB(モロコフ)が冷戦の駒として恋人たちを操っている、という構図を強めました。初期バージョンのウォルターはテレビ・プロデューサーで、もっと歌っていました。でも新脚本ではCIA要素が強くなり、既存の楽曲の多くが合わなくなった。私が「歌を減らした方がいい」と言ったら、ダニーとマイケルは「本当に?唯一の歌を削るんだよ?」と驚いていました(笑)。でも今のウォルターは“ほぼ歌わない役”の方が自然で、しかもダニーがそれをネタにしたメタなセリフまで書いてくれた。この8年半で役を育て、ついにブロードウェイで結実させられたことは、本当に喜びであり達成感があります。

■ 「悪役」を演じることについて

大好きです。悩みを抱えた複雑な人物は、俳優にとって最高のご馳走です。ただ、舞台では何らかの救済性が欲しい。長期公演で純粋な悪を演じ続けるのは魂に堪えるから。『Mr. Robot』で白人至上主義者を演じましたが、作品自体がその行為を断罪していたからこそ意味があった。
ウォルターは「世界を救う」という明確な目的を持っている。恋愛沙汰やCHESSの試合よりも重要なんです。冷酷で人を操るけれど、根本は“世界を守ろうとする男”。しかもCHESSが大嫌い(笑)。ある時、オーケストラ・メンバーの息子さんが私に会いに来て、「ウォルターには本当に子どもがいるの?」と聞いたので、「彼の言っていることは一つは本当、もう一つは嘘」と答えたら、その子が「ほらね、彼は仕事してるだけなんだよ」と言ったんです。子どもの口から真理が出るものですね。

ブロードウェイのヴィヴィアン・ボーモント劇場で行なわれた『フロイド・コリンズ』初日に出席したショーン・アラン・クリル。
(撮影:ミカエラ・レイノルズ)

■ 2025年はとても忙しかったですね。『フロイド・コリンズ』での思い出は?

何十年も前からこの作品のファンでした。1999年のツアーで私のパートナーだったガイ・アドキンスが出演していて、その時にティナ・ランドウやアダム・ゲッテルと知り合った。今回OBCの一員になれたのは夢でした。お気に入りの思い出は、テイラー・トレンシュが再びスキーツを命を吹き込む姿を袖で見ていたこと、そして私が演じたH.T.として彼と最後の場面を共有できたことです。

■ 『CHESS』以外で特に印象深いブロードウェイ作品は?

『ジャグド・リトル・ピル』です。新作の役をオリジナルキャストとして作る経験は特別でした。欠点だらけのスティーヴを多面的に描けたことを誇りに思っています。

■ 夢の役は?

ずっと『レ・ミゼラブル』のジャベールを演じたいと思ってきました。それ以外は大きな「バケットリスト」はありません。成長し続けたい、それだけです。

『ジャグド・リトル・ピル』より。セリア・ローズ・グッディング、デレク・クレナ、エリザベス・スタンリー、ショーン・アラン・クリル。
(撮影:マシュー・マーフィー)

■ あなたの「大きな転機」は?

大学時代からずっとプロとして働いています。最初はデトロイトとシカゴでした。最初に高校で配役された時が転機だったと言ってもいいくらいです。

■ 本当はやりたかったけど叶わなかった仕事は?

2018年、『ディア・エヴァン・ハンセン』全米ツアーに決まっていましたが、『ジャグド・リトル・ピル』のブロードウェイ移行と重なり、どちらかを選ぶしかなかった。結果的にJLPを選びましたが、DEHに出られなかったことは今も少し心残りです。

■ あきらめかけたことは?

2009年、13年間連れ添ったパートナー、ガイ・アドキンスが大腸がんステージ4と診断されました。私は『マンマ・ミーア!』でブロードウェイ・デビューしたばかりでしたが、2010年に彼は亡くなりました。二度とニューヨークに戻れないと思った。でも2011年、少しずつ戻り、再出発しました。人生で最もつらい時期でしたが、続けてきて本当に良かった。

■ 今の時代における演劇の役割とは?

最高の演劇は、私たち自身の美しさと弱さを映す鏡です。SNSで怒りが氾濫する今だからこそ、演劇はより大切。共感や複雑さを受け入れる場所です。私は「良い芝居は、どんなに冷えた心も溶かす」と信じています。『CHESS』でウォルターが言う「我々は誰でも好きな時に追放できる」という台詞は恐ろしく、今も現実ですが、この作品は「それは間違っている」と観客に問いかけています。

https://playbill.com/article/chess-actor-sean-allan-krill-once-had-to-choose-between-jagged-little-pill-and-dear-evan-hansen

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