『CHESS』リバイバルがブロードウェイのインペリアル劇場で開幕 スター力と賛否入り混じる評価

長年の期待と複数のワークショップを経て、カルト的な人気を誇るミュージカル 『CHESS』初の本格的ブロードウェイ・リバイバル が、11月16日にインペリアル劇場で正式に開幕した。

新演出のこの作品では、

  • 気性の荒いアメリカ人チャンピオン フレディ・トランパー にアーロン・トヴェイト
  • そのソ連のライバル アナトリー・セルゲイフスキー にニコラス・クリストファー
  • 二人の間で戦略的役割を担う フローレンス・ヴァッシー にリア・ミシェル
    が出演している。

このリバイバルは、ABBA のメンバーによる高揚感ある楽曲とティム・ライスの歌詞のおかげで根強いファンを持ちながらも、“上演がほぼ不可能” と言われる複雑なストーリーでも有名な作品 にとっての大きな挑戦となる。

『ワン・ナイト・イン・バンコク(One Night in Bangkok)』や『アイ・ノウ・ヒム・ソウ・ウェル(I Know Him So Well)』などの名曲で知られる一方、物語の理解しづらさで悪名高かった『CHESS』。
今回の新バージョンは、

  • マイケル・メイヤーの新しい演出
  • 俳優・脚本家ダニー・ストロングによる改訂台本
    によって、物語の明確化を図りつつ、スペクタクルやライバル関係、冷戦の緊張感を強調している。

視覚的には、大胆で現代的な仕上がりとなっている。
巨大なプロジェクション、多彩な照明環境、そして劇的な物語とポップコンサートのエネルギーを融合させた振付が取り入れられている。
観客からは、特に主演陣の圧倒的な歌唱に高い評価が集まっており、彼らの存在が作品の興行力を押し上げている。

しかし、批評家の評価は一枚岩ではない。
The Guardian は今回のリバイバルを「散漫」と評し、
「魅力的なABBAの曲を生かし切れていない」 と指摘。
洗練された演出と力強い演技がありながら、ドラマの流れは依然として追いづらく、部分的につながりを欠くとする声もある。

それでも、一部の劇評家は過去のバージョンに比べて改善がみられると認めている。
特に、厳密な「ブックミュージカル」としてではなく、
“感情を爆発させる音楽劇的コンサート”
として捉えることで、ブロードウェイ史上もっとも楽しめる『CHESS』になっていると評価する人もいる。

キャストにとっても、このリバイバルには個人的かつ象徴的な意味がある。
リア・ミシェルは、子役時代に出演していた インペリアル劇場 に帰還した形となった。
アーロン・トヴェイトは、数々のブロードウェイ作品を成功させた勢いのまま、激しい気性を持つフレディを魅力的に演じている。
ニコラス・クリストファーは、精密な歌唱と感情の深みで作品を支えている。

レビュー以上に、この作品の上演は、
“懐かしさと再発明のバランス” を取ろうとする現在のブロードウェイの潮流を象徴している。
有名俳優や歴史的スコアを取り入れたリバイバルは、ニューヨークだけでなく全米、さらには海外の観劇客も引きつけ続けている。

ホリデーシーズンが近づく中、『CHESS』はブロードウェイの来場者が増える重要な時期に突入している。
この作品がロングランとなるのか、短期間の話題作にとどまるのかは、口コミやファンの熱意、そして初期の反応をどう乗り越えるかにかかっているだろう。

今のところ、『CHESS』は再びスポットライトの中心に立っている。
音楽は忘れられない。
舞台上の戦いは激しい。
そして観客の反応が、それを証明している。

https://www.ibtimes.com/chess-revival-opens-broadways-imperial-theatre-star-power-mixed-reviews-3790797

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