ABBAの名作が5月20日開幕、出演はクレアモント高校の生徒およそ100人
今月、クレアモント高校のミュージカルシアタープログラムが『マンマ・ミーア!』を上演するにあたり、舞台の華やかな歌声やポップヒットの背後には、指導・成長・そして世代交代という、より深い物語が込められています。
5月20日から25日まで、同校の生徒たちはABBAの名曲の数々を舞台で再現します。これは「帰郷」であり、「別れ」であり、そして「バトンの受け渡し」でもあります。4年間共に歩んできたキャストとスタッフ、そして新たにその指揮を執ることになったディレクターによる特別な公演です。
*左から:エラ・ノーマン=タール、デイヴィッド・マグヌッソン、ジゼル・ブレトン、ブレンダン・ドーズ、カイル・クラーク、ヘイデン・パックスマン――彼らは『マンマ・ミーア!』のキャストです。
撮影:トニー・トロッツォ/Saanich News。
演出を手がけるのは、クレアモント高校の卒業生でもあるローラ=ジェーン・トレシダーさん。彼女は現在休職中の長年の教師コリン・プラント氏に代わって、このミュージカルプログラムを率いています。
「『マンマ・ミーア!』の演出をすることで、10代の力がいかに大きく、過小評価されがちであるかを改めて実感しました」とトレシダーさんは語ります。
「『高校で教えています』と言うと、よく苦笑されたり、気の毒そうな目を向けられます。若者と過ごすのは大変、という先入観があるのでしょう。でも、確かに疲れる日もありますが、それ以上に笑いがあり、刺激があり、深く満たされる仕事なんです」。
その「刺激と感動」こそが、今年の舞台の中心テーマ。舞台上のストーリーだけでなく、舞台裏のコミュニティにも共通しています。
*クレアモント高校の生徒95名が、『マンマ・ミーア!』全8公演に向けて準備を進めています。
撮影:トニー・トロッツォ/Saanich News。
トレシダーさんにとって、ABBAの時代を超えた音楽と『マンマ・ミーア!』に描かれる世代を超えたテーマは、生徒たちが自分自身を見つめ、つながりを深め、成長するのに最適な題材でした。
「この作品は、単なるギリシャの島での結婚式を描いた話ではありません」と彼女は言います。「それは、愛や記憶、母娘や友人、家族の絆についての物語なのです。そして、17歳の生徒が『ザ・ウィナー(勝者がすべてを得る)』を、まるで心のすべてをかけて歌う姿を見ると、感情に年齢は関係ないのだと気づかされます」。
12年生のブレンダン・ドーズさんは、高校1年の時からこのプログラムに参加してきました。今回が最後の公演となる彼にとって、この舞台は感慨深いものです。
「僕はこのプログラムと一緒に成長してきたようなものです」とドーズさん。「振付師や音楽監督、そして仲間たちと築いてきたコミュニティは、このプロセスを本当に個人的なものにしてくれました。お互いを支え合う方法を学べました」。
この「支え合い」と「継承」の精神は、プログラム全体に深く根付いています。
ドーズさんは、9年生のときに憧れた先輩のような存在になれるよう努力してきたと話します。
「上級生として、皆を支える“年長者”になるって、すごくやりがいがありますし、楽しいんですよ」。
同じく最上級生のジゼル・ブレトンさんも、その思いを共有しています。彼女もこのプログラムに4年間関わってきましたが、今回が初の主演。入団当初はアンサンブル(脇役)として参加しており、今回の役はずっと目指していた夢の役でした。
「演劇に関わる全員が、自分の味方なんです」とブレトンさん。「大変なときも、自分が努力していれば、先生や仲間たちが支えてくれるネットワークがあると信じられました」。
来年、ブレトンさんはモントリオールのコンコルディア大学に進学し、演技を学ぶ予定です。彼女はこの進路を、クレアモントで培った自信と支えのおかげだと語っています。
「もし9年生の私に“主演やるよ”って言ったら、飛び跳ねて喜んだと思います」と彼女は笑いながら語ります。「この役は私の夢のひとつでしたし、最初から一緒に頑張ってきた仲間たちと演じられるなんて、本当に幸せです」。
2人の生徒が共に語るのは、こうした思いです――『マンマ・ミーア!』は、華やかなナンバーや派手な衣装、笑いあふれる場面が満載の作品です。けれど、その舞台裏には友情、成長、そして「自分の声」を見つけていく過程という、かけがえのない物語があるのです。
公演は6日間で8回開催されます。
毎日午後7時開演、マチネ(昼公演)は土曜(5月24日)と日曜(5月25日)に行なわれます。
チケットは学校のウェブサイト claremont.saanichschools.ca にて購入可能です。
※クレアモント高校(Claremont Secondary School)は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州サーニッチに位置する公立高校で、サーニッチ教育区(School District 63 Saanich)に属しています。1962年に設立され、約1,100人の生徒が在籍しています 。