ストックホルムのABBAミュージアムに入ると、最初に目に入ったのは「Walk In, Dance Out(入場して、踊りながら退場しよう)」というサインでした。
これこそが、エネルギッシュでエンターテインメント性に富んだABBAミュージアムの体験を要約する言葉です。私は子供の頃からスウェーデンのポップグループABBAの音楽を聴いて育ち、ずっと彼らの熱烈なファンでした。このミュージアムは私の「行ってみたい場所リスト」に入っていたので、夢が叶ったこの訪問は時間と労力をかける価値がありました。
世界で最もよく知られている頭字語のひとつであるABBAは、スウェーデンポップの象徴としてよく語られます。1974年の第19回ユーロビジョン・ソング・コンテストで「恋のウォータールー」を披露し、見事優勝を果たしたことで、彼らは一躍人気を博しました。
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1972年に結成されたこのバンドには、感動的な結成秘話があります。そして、そのポップスターたちの物語を語る最適な場所が、スウェーデンの首都ストックホルムのユールゴーデン島にあるABBAミュージアムです。
◆情報の宝庫
このミュージアムには、写真、衣装、オリジナルの記念品、楽器など、ABBAに関する情報が豊富に展示されています。特に素晴らしいのは、音楽をミックスしたり、一緒に歌ったり、自分だけのヒットソングを作ったりできる、非常にインタラクティブな体験ができる点です。世界で唯一の公式ABBAミュージアムであるこの施設は、2013年5月にオープンし、以来、魅力的な展示で世界中のABBAファンを惹きつけています。
ミュージアムは年代順に構成されており、バンド結成前のアグネタ、ビヨルン、ベニー、フリーダのそれぞれの人生から始まります。バンド結成前から4人全員が優れたシンガーであり、ミュージシャンであったことがよくわかる展示です。彼らが最初に出会った場面も記録されています。結成直後にユールゴーデンの公園のベンチで撮影された有名なABBAの写真は必見です(訪問後、公園を散歩するのもおすすめです)。
◆ユーロビジョン・ソングコンテスト
ミュージアムでは、ABBAが優勝した1974年のユーロビジョン・コンテストの詳細を鮮やかに再現しています。そこには、ベニー・アンダーソンが優勝前の1週間を記録した1974年の日記の抜粋も展示されています。メンバーが着用した衣装や、輝く装飾、大胆な色使い、ボリューム感のある袖のデザインについての説明もあります。ユーロビジョン決勝でベニーが履いたブーツや、バンドが受賞したメダルも展示されています。
ミュージアムには、ABBAが多くの楽曲を制作したポーラー・ミュージック・スタジオや、バンドとマネージャーのスティッグ・アンダーソンが夏を過ごしたヴィッグソ島が再現されています。海を見渡す小さなコテージの窓辺に置かれたピアノの展示もあります。そこは「ダンシング・クイーン」や「悲しきフェルナンド」といった数々のヒット曲が生まれた場所であり、バンドとマネージャー全員が家を所有していたプライベートな聖域でもありました。現在でも「ABBAの島」として知られています。
◆コンサートと衣装の記録
ABBAは10年間で4億枚以上のレコードを売り上げ、当時の最も有名なポップスターの一組でした。ミュージアムでは、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、日本などでのツアーが記録されており、テレビプロモーションやインタビューの詳細も紹介されています。メイクアップキットやコンサートで使用された衣装、音響システムやマイクも展示されています。
ABBAの衣装は常に目を引く存在であり、それ自体が見どころです。ミュージアムによると、バンドの有名な衣装のほとんどはオーヴェのスタジオで制作されました。アグネタが着用した白いジャンプスーツは、ミュージカル『マンマ・ミーア!』でドナの衣装のモデルにもなっています。実はフリーダ自身がファッションデザインの学位を持ち、自作の衣装を作っていたこともあるそうです。
◆没入型体験
ミュージアムには、ABBAのアルバムと収録曲が展示されており、訪問者は好きな曲を選んで聴くことができます。ミュージアム内の音楽は大きな魅力で、ホログラムのステージで「5人目のメンバー」として踊ることもできます。衣装からベニーのピアノ、ビョルンのギターまで、すべての展示物がオリジナルであり、ABBAの承認を受けています。メンバーの等身大シリコン像は、訪問者にとって最高の記念写真スポットです。
*ファンからの手紙。写真:ラシュミ・ゴパル・ラオ。
映画『マンマ・ミーア!』の製作過程も丁寧に記録されており、映画に登場したランドローバーの模型も展示されています。バンドの解散に至るまでの詳細も、興味深い形で紹介されています。
ファン専用のセクションもあり、ファンからの手紙や写真、プレゼントが展示されています。38年前に設立されたABBA公式国際ファンクラブや、定期的に発行されていたファンクラブ誌についても紹介されています。ABBAをテーマにした様々な記念品も展示されています。
次にストックホルムを訪れる際は、ミュージアムを見逃さないでください。「チャンスを掴んで(Take a Chance)」入場し、「ダンシング・クイーン」となって踊りましょう。最後には「ありがとうミュージック(Thank you for the Music)」と心から感謝すること間違いありません。
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