大人気ミュージカル『マンマ・ミーア!』の新演出版が、再びブロードウェイの舞台に登場した。
ジュディ・クレイマーが企画し、キャサリン・ジョンソンが脚本を手がけたこの作品は、
スウェーデンの伝説的グループ ABBA の楽曲をもとに構成され、
2001年から2015年までブロードウェイでロングランを記録した大ヒット作だ。
この人気作は、2008年にメリル・ストリープとアマンダ・セイフライド主演の映画化、
そして2018年の続編映画を生み出し、現在も世界各地でツアー公演を続ける
“史上最も愛されるミュージカルのひとつ”である。
10年以上の歳月を経て、『マンマ・ミーア!』 は再びニューヨークのウィンター・ガーデン劇場に戻ってきた。
物語の中心となるのは、若き花嫁ソフィ(エイミー・ウィーバー)。
彼女は「結婚式で父親と一緒にバージンロードを歩きたい」という思いから、
自分の本当の父親を探し始める。
母・ドナの日記を読んだソフィは、
父親候補が3人いることを知り、
真相を確かめるため、3人全員をギリシャの架空の島「カロカイリ島(意味は“夏”)」の結婚式に招待する。
やがて3人の男性が島に現れると、ドナ(新プロダクションではクリスティン・シェリルが演じる)は動揺。
かつての恋人たちと再会し、感情の渦に巻き込まれていく。
親友であり元バンド仲間のターニャ(ジェイリン・スティール)とロージー(カーリー・サコローヴ)の助けを借りながら、
ドナは過去と向き合い、ソフィは恋人スカイ(グラント・レイノルズ)との結婚を本当に望むのか葛藤する。
『マンマ・ミーア!』でターニャ、ドナ、ロージーを演じる
ジェイリン・スティール、クリスティン・シェリル、カーリー・サコローヴの“ダンシング・クイーン”たち。
(撮影:ジョーン・マーカス)
物語はABBAの名曲「ダンシング・クイーン」「ギミー!ギミー!ギミー!」「マンマ・ミーア」などを中心に紡がれ、
誰もが最後には“自分が探していたもの”を見つける、
明るく感動的なストーリーとして観客を魅了する。
ブロードウェイへの道のり
今回、TODAY.comは新キャストのドナ(クリスティン・シェリル)、
ターニャ(ジェイリン・スティール)、
ロージー(カーリー・サコローヴ)の3人にインタビューを行ない、
ブロードウェイへの道、好きなABBAの曲、
そして『マンマ・ミーア!』の魅力について語ってもらった。
クリスティン・シェリル(ドナ役)
長年舞台で活躍してきたが、新型コロナのパンデミックで生活が一変。
当時、最年少の息子が新しい学校に通い始めたことをきっかけに、
5年生の代数教師として働くことにしたという。
「2年間教職に就いていました。オーディション活動はしていなかったし、教えることがすごく好きだったんです」
とシェリルは語る。
しかし『マンマ・ミーア!』のオファーを受けて心が動いた。
「この作品には以前から関わりがあったので、“やってみようかな”と思えたんです」。
2023年秋、彼女は全国ツアー版に参加することを決意。
「学年の終わりに教師の仕事を終え、そのままツアーに出ました」。
*『マンマ・ミーア!』でドナ・アンド・ザ・ダイナモスを演じる
ジェイリン・スティール、クリスティン・シェリル、カーリー・サコローヴ。
(撮影:ジョーン・マーカス)
ジェイリン・スティール(ターニャ役)
経験豊富なパフォーマーで、2019年の『The Lightning Thief: The Percy Jackson Musical(パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々)』でブロードウェイデビュー。
その後ユタ州の円形劇場Tuacahnで『メリー・ポピンズ』に出演していたところ、
『マンマ・ミーア!』への出演が決まった。
カーリー・サコローヴ(ロージー役)
彼女は以前、北米ツアー版『マンマ・ミーア!』やロイヤル・カリビアンのクルーズ船での公演にも出演。
その後、3人は約2年間にわたり全米を巡るツアーを共にした。
そして2024年2月、運命の知らせが届く。
「ツアーの最中に“ブロードウェイに行くことになったよ”と言われたんです。
みんな“えっ?本当に!?”って驚きました」
とスティールは笑う。
6か月後の8月14日、伝説のウィンター・ガーデン劇場で彼女たちは開幕を迎えた。
『テイク・ア・チャンス』とお気に入りの楽曲たち
*(左から右へ)
ジェイリン・スティール、カーリー・サコローヴ、クリスティン・シェリル。
『マンマ・ミーア!』にて。
長年『マンマ・ミーア!』の各バージョンに出演してきた3人。
それでも特に愛着のある曲をそれぞれ挙げた。
スティール:
「『ダンシング・クイーン』をこの仲間たちと歌うのが大好き。
舞台上で本当に友情でふざけ合っているような感じで楽しいんです。
それに『ダズ・ユア・マザー・ノウ』も最高!ジャスティン(サダース)と掛け合うのがすごく楽しい」。
サコローヴ:
「私のお気に入りは『テイク・ア・チャンス』。
子どもの頃に知っていた唯一のABBAの曲なんです。
ロージー役のコールバック(再オーディション)を待っていた時、
この曲をいろんな場所で耳にして、“これはきっといい兆しだ”と思いました」。
そして微笑みながらこう続ける。
「あの曲は私にとって“天使の歌”なんです」。
シェリル:
「『チキチータ』が好きです。あの曲で“3人組として観客の心をつかんだ”と感じるんです」。
そして彼女が歌うラストの大バラード「ザ・ウィナー」も特別な一曲だ。
*ブロードウェイ版『マンマ・ミーア!』で
「ザ・ウィナー」を歌うクリスティン・シェリル。
(撮影:ジョーン・マーカス)
「この曲は一番難しい。最初はプレッシャーが大きかったけど、
ある時気づいたんです──この曲は“自分のため”じゃなく“人々のため”なんだって」。
シェリルは、観客やSNSのメッセージを通じて、
それぞれの人がこの曲に自分の人生を重ねていることを知ったという。
「どう歌うかより、どれだけ心で伝えられるかを大切にするようになりました。
どんな音で歌うかじゃなく、“この瞬間、観客が必要としている物語”を届けることを意識しています」。
観客との“ロマンス”
*ブロードウェイ版『マンマ・ミーア!』のキャスト。
『マンマ・ミーア!』の中心にあるのは、観客と登場人物が共に歩む“心の旅”だ。
笑い、涙、ダンス、そして歌が溢れている。
「私たちは文字通り、観客と“ロマンス”をしているんです」
とシェリル。
「最初から彼らは私たちと一緒に物語に入り込みます。それが本当に素晴らしい」。
サコローヴ:
「まるで薬みたいなんです」。
スティール:
「本当にパーティーなんですよ。“さあ、一緒に盛り上がろう!”という感じ。
観客が立ち上がって踊ってくれるとき、そのエネルギーが会場全体に伝わる。
『マンマ・ミーア!』はまさに“祝祭”そのものなんです」。
観客が総立ちになり、歌いながら手を振るその瞬間──
それこそが3人にとって最高の時間だという。
「友情と愛と喜びの物語を伝えているんです。
それを観客から感じ取れるとき、本当に嬉しい。
『どうかそのまま続けて!』って言いたくなるんです」。
『マンマ・ミーア!』は現在、ニューヨーク・ウィンター・ガーデン劇場で上演中。
公演は2026年2月1日までの予定。
※ウィンター・ガーデン劇場(Winter Garden Theatre)とは、
アメリカ・ニューヨーク市マンハッタンのブロードウェイにある、
世界的に有名な歴史あるミュージカル専用劇場です。
🎭 基本情報
- 所在地: 1634 Broadway(ブロードウェイ通り1634番地)
- 場所: 50丁目と51丁目の間(タイムズスクエアのすぐ北)
- 収容人数: 約1,526席
- 開場: 1911年
- 所有者: The Shubert Organization(シューバート・オーガニゼーション)
🏛 歴史と特徴
- 元々は馬車の展示場(Winter Garden Riding Academy)として建てられた建物を、1911年に劇場へ改装。
- 長年にわたり、ブロードウェイを代表する大作ミュージカルを上演してきた伝統ある劇場です。
- 内装は、名前の通り「冬の庭園」をイメージした豪華で温かみのあるデザイン。
赤と金を基調とした劇場内には、オールド・ブロードウェイの雰囲気が色濃く残っています。
🌟 主な上演作品
この劇場は数々の名作の舞台となってきました。
特に以下の作品が有名です。
- 『キャッツ(Cats)』(1982〜2000)
👉 約18年間にわたり上演され、当時のブロードウェイ最長ロングラン記録を樹立。 - 『マンマ・ミーア!(Mamma Mia!)』(2001〜2015)
👉 ABBAの楽曲をもとにした大ヒットミュージカル。
世界中の観客に愛され、ブロードウェイでも14年間のロングランを達成。 - 『スクール・オブ・ロック(School of Rock)』(2015〜2019)
- 『ビートルジュース(Beetlejuice)』(2019〜2020)
- そして2025年現在、再び『マンマ・ミーア!』が上演中!
🎶 象徴的な存在
ウィンター・ガーデン劇場は、単なる劇場ではなく、
ブロードウェイの歴史と文化の象徴として親しまれています。
- 「夢が始まる場所」
- 「ミュージカルの聖地」
とも呼ばれ、ニューヨークを訪れる観光客や演劇ファンにとって憧れの場所です。
https://www.aol.com/articles/dancing-queens-mamma-mia-stars-194347604.html?guccounter=1