《ABBAのビヨルン・ウルヴァース、SXSWロンドンで「AIとミュージカルを制作中」と発言》
ABBAの ビヨルン・ウルヴァース は、昨日ロンドンで初開催された SXSW London に登壇し、現在 AIを使って新しいミュージカルを書いている と明かした。
ビヨルンは人工知能を「素晴らしいツール」と評し、SXSW Londonでのトークの中でそのプロジェクトについて語った。
「AIは、巨大な参照枠を持つ“もう一人のソングライター”が同じ部屋にいるようなものです」と彼は述べた。「これは本当に“自分の心の延長”なんです。自分では考えつかなかったものにアクセスできるようになる」。
またビヨルンは技術の限界についても触れ、AIは「歌詞がとても苦手」であり、最も有用なのは 作詞・作曲の行き詰まりを突破する助けになること だと語った。
「例えば、あなたが何かについて書いた歌詞があって、行き詰まり、ある特定のスタイルにしたいと思ったとします。そのとき、『この続きをどう書く? どこへ進むべき?』とAIに尋ねることができる」と説明した。「結果はたいてい“ゴミ”ですが、時には新しいアイデアのきっかけになるものが出てくる」。
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ビヨルンは以前、AIが音楽業界に突きつける “存在的脅威(existential challenge)” について警鐘を鳴らしていた。
彼は、世界中のソングライターや作曲家を代表し、放送やストリーミングで使われた音楽の使用料を徴収・分配する非営利団体 CISAC(国際著作権協会連合) の会長でもある。
CISACは音楽におけるAI利用に関する報告書を作成しており、最近の研究では 2028年までに音楽クリエイターの収入の約4分の1がAIに奪われる可能性がある と示唆している。
この報告に関してビヨルンは、政府がクリエイターを支援するために介入する力を持っていると述べた。
「ソングライターから映画監督、脚本家、映画音楽の作曲家まで、あらゆるクリエイターにとって、AIは新しく刺激的な機会を開く力を持っています——しかし、規制を誤れば、生成AIは人間のクリエイター、そしてそのキャリアや生活に大きな損害を与える力も持っているのです」。
「この二つのシナリオのどちらが現実になるのか?」。
ビヨルンは続けた。「それは、現在世界中で進行している立法見直しの中で、政策立案者が下す選択によって大きく決まります。私たちは、正しい規制を整備し、クリエイターの権利を守り、人間の創造性と文化を保護するAI環境を構築することが極めて重要なのです」。
*ABBAのメンバー、ビヨルン・ウルヴァース、アグネタ・フォルツコグ、アンニ=フリード・リングスタッド、ベニー・アンダーソンが、2022年5月26日にロンドンのABBAアリーナで行なわれた「ABBA Voyage」コンサートに到着した。
AP通信写真
SXSW Londonでのトークでは、ビヨルンが ホログラムを用いたABBA Voyageの続編の制作が“4分の3まで進んでいる” と述べたことも明かされた。
ABBAは、バーチャル・コンサート体験『ABBA Voyage』の3周年を記念し、セットリストに新曲を追加したばかりだ。
ABBA Voyageは 2022年5月 にスタートし、当初は 2024年11月 で終了予定だったが、圧倒的な需要を受けて 2026年1月まで延長 されている。
一方で、SXSW Londonは激しい批判にも直面している。
元英国首相の トニー・ブレア と デイヴィッド・キャメロン が、事前告知のない“サプライズ登壇者”として参加していたことが発覚したためだ。
共有されていなかったプログラムのスクリーンショットが流出し、ブレアが 「政府とAI」パネル で、テクノロジー担当大臣で労働党イスラエル友好議員連盟のメンバーであるピーター・カイルと共に登壇することが判明した。
ブレアは初日に登壇し、英国は公共サービスにおいてAIを完全に受け入れる必要があり、「AI家庭教師」「AI看護師」「AI医師」を導入できると語った。
この登壇は、観客にもアーティストにも告知されていなかったため、多くのアーティストが出演キャンセルを決断した。
Sam Akpro、Rat Party、Magnus Westwell、Saliah、LVRA などが出演を取りやめ、特にLVRAはフェスティバルを “アートウォッシング” と非難した。
LVRAは次のように述べている:
「音楽チームが多様で“クール”なラインナップを必死にまとめている一方で、カンファレンスチームは、現在進行中のパレスチナ人民に対するジェノサイドに深く関与している組織の人物をスピーカーとしてブッキングしていた」。
「アーティストとして、私たちに影響を与える事柄から目をそらすのではなく、関わっていくべきです。そして、世界で最も疎外された声を守るために努力すべきです」。
「私たちのコミュニティが、今日差し出された“残り物(scraps)”ではなく、もっと大きく、もっと良いことを考えていけるよう強く望みます」。


