リア・ミシェル、ブロードウェイに帰還し、「Stand Up for Heroes」に参加

リア・ミシェル、ブロードウェイに帰還し、退役軍人支援イベント「Stand Up for Heroes」に参加

リア・ミシェルの華麗なるブロードウェイ復帰 ― 原点への回帰

この秋、ニューヨークのインペリアル劇場(Imperial Theatre)の舞台にリア・ミシェルが立つとき、それは単なる公演ではありません。
30年の時を経て実現した“帰郷”の瞬間です。

ブロードウェイとテレビの両方で躍動的な存在感を示してきたミシェルは、8歳のときに初めて芝居への情熱に火をつけた、まさにその劇場に戻ってきます。
その初舞台――『レ・ミゼラブル』での役――は、単なる子供時代の思い出ではなく、彼女の人生の方向を決定づけた「原点」でした。

現在39歳となったミシェルは、これまでの激動の日々を振り返ります。

「これが大好き。この仕事を一生続けたいって思ったの」。

観客席から初めて自分の出演した舞台を見たとき、彼女はそう感じたと言います。
歴史と感情が染みついたインペリアル劇場は、ミシェルにとって単なる舞台ではなく、「物語の登場人物のひとり」のような存在です。
最近劇場に到着した際、スタッフのひとりが彼女にかけた言葉はこうでした。

“Welcome home(お帰りなさい)。”

その一言に、彼女が今この瞬間に感じている全てが凝縮されていました。
それはまさに、芸術の原点との再会 なのです。

『CHESS』という復活作に主演

ミシェルの復帰は、同劇場で1988年に初演されたミュージカル『チェス(Chess)』の新演出版の開幕と重なります。
冷戦時代を舞台に、アメリカとソ連の2人のCHESS・グランドマスター――アーロン・トヴェイトニコラス・クリストファー――のライバル関係と愛の葛藤を描いた作品です。

ミシェルは、2人の均衡を揺るがす女性フローレンス役を演じます。
彼女にとってこの役は、これまでのキャリアから大きく踏み出した挑戦です。

「彼女は大人の女性で、強い人。これまでのようにコメディに頼ることはできないの」。

そう語るミシェルは、今回の役に求められる深いドラマ性と複雑な感情表現に真っ向から向き合っています。

本作の演出を手掛けるのは、トニー賞受賞演出家であり、ミシェルの長年のコラボレーターであるマイケル・メイヤー(Michael Mayer)
彼らの創作関係は『スプリング・アウェイクニング』や『ファニー・ガール』まで遡り、かつての師弟関係は、今や信頼し合う芸術的パートナーへと進化しています。

メイヤー自身も、この作品に個人的な思い入れを持っています。
彼が初めてブロードウェイを観たのは、1976年、このインペリアル劇場で上演された『ピピン(Pippin)』だったのです。

音楽に刻まれた歴史 ― 『CHESS』の歩み

『チェス』は、1984年にABBAのビヨルン・ウルヴァースベニー・アンダーソンが構想したコンセプト・アルバムから始まりました。
作詞はティム・ライス(Tim Rice)
1986年にロンドン・ウエストエンドで舞台化され、1988年にブロードウェイへ進出します。

代表曲「ワン・ナイト・イン・バンコク(One Night in Bangkok)」がビルボード・チャート入りするヒットとなった一方で、
舞台版は批評的には賛否が分かれ、ブロードウェイで長く定着するには至りませんでした。

その後も様々なコンサート版再構成版が上演され、作品の魂は受け継がれ続けてきました。
今回の新演出版では、脚本家・俳優のダニー・ストロング(『ハンガー・ゲーム:モッキングジェイ』)が新たな脚本を手掛け、
原作の壮大なスケールを保ちながらも、現代の観客に響く新たな視点を加えています。

ミシェルとメイヤーのパートナーシップは、
時代とともに進化しながらも創造への信頼関係を保ち続けてきました。
今回の『チェス』は、彼女たちにとってプロとしての節目であり、個人的な再会の物語でもあります。

ミシェルはこう語ります。

「30年経って、またインペリアルに戻ってきたなんて、本当に信じられない」。

「Stand Up for Heroes」で見せたもう一つの顔 ― 社会貢献への思い

舞台だけでなく、ミシェルは社会的な活動にも積極的です。
2025年11月、ニューヨークのリンカーン・センターで開催された第19回「Stand Up for Heroes」に出演し、
退役軍人とその家族を支援するためのチャリティイベントに参加しました。

このイベントはニューヨーク・コメディ・フェスティバルの一環として行なわれ、
コメディアンや音楽家たち――ジム・ガフィガンイディナ・メンゼルレスリー・オドム・ジュニアジョン・スチュワート、そしてリア・ミシェル――がステージに立ちました。
笑いと感動のストーリーテリングを織り交ぜた夜は、退役軍人とその家族を支援するBob Woodruff Foundation(ボブ・ウッドラフ財団)への寄付を募るものでした。

財団の創設者であるボブ・ウッドラフ(ABCニュース記者)は、
戦地取材中に重傷を負った経験から、退役軍人支援の活動を始めました。

コメディアンのジム・ガフィガンは次のように語っています。

「退役軍人とその家族を少しでも支援できるなら、そんなの迷うまでもないよ」。

ウッドラフ自身も、コメディの力についてこう述べました。

「僕たちが日々直面するテーマを笑いで扱ってくれる。それ自体が“癒し”なんだ」。

このイベント「Stand Up for Heroes」はこれまでに1億ドル以上の資金を集め、
全米の退役軍人支援プログラムを支えています(出典:ABC13、ABC11)。

芸術と社会貢献の交差点

ブロードウェイでの復帰と、退役軍人支援イベントへの参加。
これらはリア・ミシェルの持つ芸術性と社会意識の両立を象徴しています。

彼女のステージは、単なるエンターテインメントではなく、人と人を結びつけ、心を動かす場です。
演劇の感情の力を通しても、チャリティのステージを通しても、ミシェルは真心と誠実さをもって観客に語りかけます。

その歩みは、原点に戻りながら新たに生きる力を見出す旅のようでもあります。
インペリアル劇場は彼女にとって、単なる建物ではなく、成長と郷愁、そして生涯をかけた使命を象徴する場所。

新たな挑戦を受け入れつつ、過去を敬い、未来へと進む――。
ミシェルはその姿で、観客と社会の両方にインスピレーションを与え続けています。

このシーズンのリア・ミシェルの物語は、
単なる「アーティストの復活」ではありません。
それは、自らの影響力を善のために使う力の証明なのです。

夢が始まった場所を再訪し、意味ある活動に声を上げる――
リア・ミシェルは、個人の歴史と社会的奉仕が融合する生き方を体現しています。
そしてそれが、彼女の芸術と人生の双方を、いっそう豊かにしているのです。

Lea Michele Returns to Broadway and Supports Veterans at Stand Up for Heroes

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です