木曜夜、満員のモスギール・コロネーション・ホールにて、『CHESS:ザ・ミュージカル』が開幕。大人数かつ熱意にあふれるキャスト陣が、情熱的かつエンターテインメント性に富んだパフォーマンスを披露しました。
演出・舞台美術・衣装デザインを担当したグレッグ・マクラウド、音楽監督ブリジット・テルファー=ミルン、振付担当オリヴィア・ラーキンス、制作マネージャーハイディ・ヘイワードから成る制作チームは、才能豊かなキャスト陣とともに素晴らしい舞台を作り上げました。
1980年代にティム・ライスとABBAの作曲家ベニー・アンダーソン&ビヨルン・ウルヴァースによって生み出された『CHESS:ザ・ミュージカル』は、冷戦時代を背景に、アメリカ人グランドマスターのフレデリック・トランパー(ベン・トーマス)、彼のセカンドで恋人のフローレンス・ヴァッシー(アンナ・ラングフォード)、ロシア人グランドマスターのアナトリー・セルギエフスキー(マックス・ビール)による三角関係を中心に描かれます。
この三人は、終始素晴らしい歌声を披露し、特にビールとラングフォードによるラブソング「ユー・アンド・アイ」、トーマスがリードするヒット曲「ワン・ナイト・イン・バンコク」は本公演のハイライトのひとつです。
また、彼らは他の主要キャストやアンサンブルと協力して、主に楽曲を通じて物語を伝えます(『CHESS』はセリフが非常に少ない作品です)。
脇を固めるキャストとしては、ソ連のスパイマスター:アレクサンダー・モロコフ役にジャック・アーチボルド、アメリカ側の対抗者ウォルター・ド・コーシー役にアレックス・ゴーディ、審判役アービターにジョシュア・ラーキンス、セルギエフスキーの妻スヴェトラーナ役にソフィー・ウィブリーが登場し、見事なサポートを見せています。
22名から成る合唱・ダンス・アンサンブルは非常に多忙で、何度も素早い衣装替えをこなしながら、複雑な舞台演出の中でしっかりと歌い踊りきっています。
音楽面では13人編成のバンド/オーケストラが、テルファー=ミルンの指揮のもとで見事な演奏を披露し、舞台を力強く支えています。
衣装は幅広いスタイルを取り入れ、時代背景を的確に表現しており、舞台セットもシーン転換がしやすい柔軟な構造で、2台の大型可動スクリーンが視覚的演出のハイライトとして活躍しています。
総じて、ミュージカル・シアター・ダニーデンによる『CHESS:ザ・ミュージカル』は、冷戦時代と国際チェスの黄金期を振り返る、複雑でエネルギッシュかつ魅力的な舞台に仕上がっています。
ブラボー!
※モスギール・コロネーション・ホール(Mosgiel Coronation Hall)とは、ニュージーランド南島・ダニーデン市のモスギール地区にある歴史的な多目的ホールです。
https://www.odt.co.nz/the-star/talented-cast-put-spirited-performance-%E2%80%98chess%E2%80%99