『マンマ・ミーア!』シリーズは、母の日後に観るのに最適な作品

母の日は年に一度だけですが、この陽気で軽やかなドラマが描く「母の過去の恋愛模様」を観るには、今がまさにベストなタイミングです。

母の日は終わってしまいましたが、その精神を称える映画やショーのおかげで、「お母さんへの感謝」は決して時代遅れになりません! とはいえ、お祝いが終わった今、スイーツよりもその気分を見事に再現してくれるフランチャイズがひとつだけあります。それが――**『マンマ・ミーア!』**です。

2008年に公開された第一作は、人気舞台ミュージカルを基にした作品で、全世界でおよそ6億1100万ドルの興行収入を記録しました。その2018年の続編、『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』も、全世界で3億9500万ドル以上のヒットとなりました。つい最近まで、『マンマ・ミーア!』は「全世界興行収入で最も成功したブロードウェイ原作映画」としても記録を保持しており、この偉業は今なお色あせていません。

このシリーズの成功の核には、状況的なドタバタ劇、エネルギッシュなミュージカルナンバー、そして誠実なキャラクター同士の関係が絶妙に組み合わさっている点が挙げられます。しかし、「神は細部に宿る」とも言うように、『マンマ・ミーア!』が母の日の再鑑賞に最適な理由を、ここでは3つに分けて見ていきましょう。

1. 最初の数分で心をつかむ魅力

『マンマ・ミーア!』ほど陽気でお祝いムード満点の映画が他にあるでしょうか? たとえ存在していたとしても、真っ向から勝負できる作品はなかなかありません。本作は冒頭から視聴者を惹きつけ、ABBAの楽曲をドラマチックな場面に巧みに織り交ぜています。

例えば、ソフィ(アマンダ・セイフライド)が「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」を静かに歌いながら、結婚式に招く可能性のある“父親候補”たちへ招待状を郵送する場面は、彼女の希望と愛らしさを象徴的に示しています。この瞬間から、視聴者の期待はソフィのものと重なり、彼女の選択にワクワクしたり、不安になったりする感情を自然と共有することになります。

続く、サム(ピアース・ブロスナン)、ビル(ステラン・スカルスガルド)、ハリー(コリン・ファース)の登場シーンでは、「ギミー!ギミー!ギミー」のインストゥルメンタルが流れ、物語のテンポがさらに加速します。カットの切り替えもテンポよく、視聴者の期待感を煽る演出が見事です。

このように、映画の冒頭数分だけでも、なぜこの作品が何度でも繰り返し観たくなるのかが理解できます。ABBAの楽曲は作品全体に散りばめられており、歌唱の有無に関わらず、すべての音楽がキャラクターの感情をより深く伝えてくれます。たとえソフィの結婚式やドナ(メリル・ストリープ)の心境がどう変化するのかを既に知っていたとしても、音楽が加わることで、何度見ても心を動かされるのです。

2. 母と娘の関係がリアルで温かい

『マンマ・ミーア!』シリーズで最も印象的なのは、ソフィと母ドナの母娘関係です。美しい風景や楽しい音楽が明るいトーンを保っている一方で、母娘のやり取りはリアルで温かみがあり、心に残ります。

ドナがソフィの結婚式の準備を手伝う場面で、ストリープが歌う「スリッピング・スルー」は、母と娘の絆を静かに、しかし力強く描いた名シーンです。大げさな演出はありませんが、その分、誰もが自身の母との思い出に胸を締めつけられるはずです。

3. 続編は感情へのご褒美のような作品

もしも第一作があなたの涙腺に届かなかったとしても、続編『ヒア・ウィー・ゴー』がその役目をきっと果たしてくれるでしょう。この作品では、若き日のドナ(リリー・ジェームズ)がソフィの父親候補たちと出会う姿が描かれ、前作とは異なる角度から彼女の人生が浮き彫りになります。

若きドナの物語を通して、観客は彼女を新たに理解し、より共感できるようになります。そして、ストリープ演じる現在のドナが再登場し、「マイ・ラヴ、マイ・ライフ」を母親となったソフィに向けて歌うラストでは、第一作から続く母娘の絆が見事に引き継がれ、涙を誘います。このような“立場の逆転”は、視聴者にとっても新しい感情を呼び起こしてくれるでしょう。

おわりに:このシリーズは完璧じゃないからこそ愛される

率直に言えば、『マンマ・ミーア!』とその続編は、オスカーを狙ったり、辛口批評家を唸らせたりすることを目的とした作品ではありません。実際、第一作のRotten Tomatoesスコアは55%であり、その「低評価」こそがこのシリーズの魅力でもあるのです。

突飛な展開や、続編でシェールがドナの母親役として登場するなど、予測不能な演出がユニークな個性を加えています。まるで『スター・ウォーズ』の前日譚が、CGや奇妙なセリフでカルト的人気を博したように、『マンマ・ミーア!』シリーズも“キャンプ(過剰で突飛なスタイル)”な作風で知られるようになりました。

だからこそ、母の日が終わった今こそ、お母さんと、そして彼女の中の“ダンシング・クイーン”を讃える2作品を再生してみてはいかがでしょうか。

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