スウェーデンの音楽グループABBAの作詞家ビヨルン・ウルヴァースは、EUのAI法(AI Act)によってクリエイターの権利が弱体化することに懸念を表明している。
ビヨルンは5月20日、ブリュッセルで欧州議会の議員(MEP)たちに対し、「Big Tech(巨大IT企業)主導の提案は、クリエイティブ業界からの透明性要求を無視している」と述べた。
「AIを実現するためには著作権を弱めなければならない、という主張は誤りであり、危険です。
AIは盗用の上に築かれるべきではありません。 それは、原則を歴史的に放棄することになります」とビヨルンは強く語った。
「私はテクノロジー推進派だが…」
「私はテクノロジー推進派(pro-tech)ですが、現在の提案はテック業界主導で、クリエイターの権利を弱体化させようとしており、それに強い懸念を抱いています」と、ビヨルンは欧州議会の文化・教育委員会の公聴会で議員たちに語った。
ビヨルンは現在、国際著作権団体連合(CISAC)の会長を務めており、作家・作曲家の権利を国際的に擁護する立場にある。
「任意のAI行動規範」にも懸念
彼はまた、最近クリエイティブ業界――出版社や著作権者を含む――から出された懸念にも声を合わせ、
大規模言語モデル(例:ChatGPT)に関する汎用AI(GPAI)の「任意の行動規範(Code of Practice)」の草案作成プロセスに対しても問題提起している。
この件に関して、欧州委員会は2023年9月に13名の専門家を任命し、全体会合を通じて検討を進めている。