現・名古屋四季劇場のファイナル公演『マンマ・ミーア!』
ドナ・シェリダン役・岡村美南さんインタビュー!!
*撮影:下坂敦俊
世界中を熱狂させたミュージカルの最高傑作『マンマ・ミーア!』が、現・名古屋四季劇場でのファイナル公演として、10月19日(日)より開幕します。
『マンマ・ミーア!』は、スウェーデンのポップグループ「ABBA」のヒットナンバーで構成された作品です。エーゲ海に浮かぶ小島を舞台に、シングルマザーとして娘を育て上げた母・ドナと、結婚式を目前に控えた娘・ソフィを中心とした物語が展開されます。ソフィが父親探しを目論み、母の元恋人3人に招待状を送ったことから始まる大騒動が、時にコミカルに、時に感動的に描かれてまいります。
日本では2002年に初演を迎えて以来、全国10都市で上演されてまいりました。「ダンシング・クイーン」「マネー、マネー、マネー」「チキチータ」など、耳馴染みのある世界的ポップグループ・ABBAの楽曲に乗せて描かれる、母娘の絆や友情に、多くの観客が魅了されてまいりました。
このたびの名古屋公演に先駆け、7月末に報道メディア向けの合同取材が実施され、ドナ・シェリダン役の一人である岡村美南さんにインタビューを行ないました。
――岡村さんは5年前にも『マンマ・ミーア!』にご出演され、ドナ役を演じていらっしゃいましたが、前回の思い出についてお聞かせください。
5年前に出演させていただいた『マンマ・ミーア!』横浜公演は、ちょうどコロナ禍の時期で、国や行政からの要請を受けて公演が中止となり、3か月半ほど上演できない期間がありました。その後、座席の間隔をあけ、お客様にはマスクを着用していただいた上での上演となりましたが、そのような大変な状況の中でもご来場くださったお客様の熱量に、非常に感動したことを覚えております。
――この5年間で、ドナや作品への向き合い方に変化はありましたか?
5年前にドナを演じた際は、設定年齢よりも自分の年齢が若かったこともあり、ドナという人物とどこか距離があるように感じていました。自分なりに試行錯誤しておりましたが、どうしても年齢を重ねないと出てこない感情や表現があって、その部分が埋まらず、とても苦戦した記憶がございます。それから5年が経ち、日々の生活の中で実感として理解できる言葉が増えたことで、ドナとの距離も近づいてきたように感じています。今回、ゼロから役作りができることが楽しみです。また、今回は海外からクリエイティブチームの方々が来日され、初演以来となるお稽古をご一緒させていただけるとのことで、非常に楽しみにしております。新たな導きに出会うことで、新しいドナ像を発見できるのではないかと期待しております。
――ドナという女性像については、どのように捉えていらっしゃいますか?
この作品は、娘ソフィの結婚式前夜と当日の2日間を描いていますが、母として娘を想う一面、青春時代を共に過ごした仲間との一面、そして女性として男性と楽しくもほろ苦い思い出を重ねてきた一面など、さまざまな側面を持つキャラクターです。ご覧になるお客様も、色々な視点から共感していただけると思いますし、私自身も憧れや共感を持って演じさせていただいております。
――役作りにおいて意識されていることがあればお聞かせください。
先ほども申し上げましたが、この作品では2日間の物語を通じて、ドナに共感していただける場面がたくさんあると思っております。ただ、その中心には常にソフィがいて、どれだけあたたかく送り出し、祝福できるかがドナの心の軸になっています。ですので、どのシーンにおいてもソフィを心の中心に据えながら、物語を紡いでいけるよう心がけております。
――岡村さんが初めてミュージカル『マンマ・ミーア!』をご覧になったのは、いつ頃でしたか?
高校生の頃だったと思います。その時に、カーテンコールで客席から立ち上がって、まるでコンサートのように踊ったことを覚えております。この作品の魅力の一つは、年を重ねるごとに心に響く言葉が変わってくる点だと感じておりまして、初めて観た高校生の頃は、ソフィがとてもかわいらしく見えて、ウェディングドレスを着た明るく楽しいミュージカルという印象でした。年齢を重ねた今では、また別の視点から共感できる作品だと感じております。
――親子関係や、青春時代を過ごした仲間との友情など、女性同士のつながりもこの作品の大きな魅力ですね。
はい、そう思います。実はこの作品は、初演時のプロデューサー・脚本家・演出家が全員女性で構成されており、女性の多いチームで制作されました。女性ならではの視点で書かれたセリフも多く、忙しい社会をたくましく生きる女性たちへエールを送りたい、という思いからプロジェクトが始まったと聞いております。登場人物それぞれが葛藤を抱えながらも「私はこの人生を生きる」と選び、その人生を謳歌している姿は、多くの方にエールを届けられるのではないかと思います。観劇後には「私も大丈夫な気がする」と思っていただけるのではないでしょうか。
――どのような世代の方にご覧いただきたいとお考えですか?
このミュージカルの魅力は、親子2世代のストーリーが同時に進行していく点にあります。若い世代の皆さまにも作品のエネルギーを感じていただけますし、ご年配の方々にはご自身の歩んできた人生と重ねて、ノスタルジーを感じていただけると思います。もちろんABBA世代の方々には音楽そのものを存分に楽しんでいただけるので、幅広い世代の皆さまにぜひご覧いただきたいです。名古屋公演にお越しくださるお客様に、この作品を通じて、明るさとパワー、そして未来への希望を感じていただければ幸いです。
劇団四季『マンマ・ミーア!』名古屋公演
期間:2025年10月19日(日)~2026年2月23日(月・祝)
会場:名古屋四季劇場(名古屋市中村区名駅南2-11-11)
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2560727
公式サイト:
https://www.shiki.jp/applause/mammamia/
*撮影:野田正明