レビュー：『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック – ザ・ABBAショー』、ブリスベンで輝いた一夜
7月下旬、ブリスベンのトゥエルフス・ナイト・シアター（※）は、ABBAの魔法に包まれました。
『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック – ザ・ABBAショー』は、単なるトリビュートではなく、全身で体感するエンターテインメント。開演前から漂う高揚感に、客席のあちこちで期待の笑顔がこぼれていました。
舞台が暗転し、最初の一音が響いた瞬間、観客は一気に1970年代のディスコ黄金期へタイムスリップ。
「ダンシング・クイーン」「マンマ・ミーア」「恋のウォータールー」「ギミー！ギミー！ギミー！」「ザ・ウィナー」など、誰もが口ずさめる名曲が、情熱的なボーカルと躍動感あふれる振付、そして鮮やかな照明とともに次々と繰り広げられました。
特筆すべきは、出演者全員がブリスベン出身という点。プロフェッショナルな歌手・ダンサー・ミュージシャンが、地元の誇りを胸に全力で魅せるステージは、エネルギーと温かさに満ちていました。豪華な衣装と生バンドの迫力が加わり、観客は自然と手拍子をし、曲によっては総立ちで踊るほど。
この公演を制作したのは、サマンサ・パターソン率いるパターソン・プロダクションズ。地元の才能を舞台上でも舞台裏でも輝かせるという理念を見事に体現し、質の高い音楽劇として完成させていました。
終演後、観客の表情は皆一様に輝き、「また観たい」という声があちこちから聞こえてきました。
ABBAファンにとってはもちろん、初めてその楽曲に触れる人にとっても、心躍る忘れられない一夜となったはずです。
※ブリスベンのトゥエルフス・ナイト・シアター（Twelfth Night Theatre）は、オーストラリア・クイーンズランド州ブリスベンにある歴史ある劇場で、地元発の演劇やミュージカル、コメディ、音楽イベントなど幅広い公演を行なっている文化施設です。
