長い乗り継ぎと高額なクリーニング代:セックス・ピストルズとABBA初対面の舞台裏

セックス・ピストルズの最大の才能は、音楽そのものではなかったかもしれない。むしろ、人々の記憶に焼き付くほどの強烈な存在感だったと言えるだろう。どんな場面でも、彼らは音楽や態度を通じて派手に登場した。彼らは一切謝らず、常に自分たちに忠実であり続け、その結果、個人の記憶にも大衆の記憶にも深く刻み込まれていった。セックス・ピストルズはおそらく史上最も下品で唯一無二のバンドであり、それを証明したのが、ABBAと初めて出会ったときだった。

セックス・ピストルズとABBAは文字通り「昼と夜」のように正反対だった。明らかに異なる特徴はさておき、ピストルズはダークで、ABBAはその真逆だった。こうした違いと、思想的な食い違いの余地がありながらも、セックス・ピストルズはスウェーデンのポップグループABBAの大ファンだった。特にシド・ヴィシャスがそうだった。しかし、ABBAの方はといえば、この出会いの後、ピストルズをあまり好意的には見なかったようだ。

乗り継ぎでセックス・ピストルズがしたこと? もちろん泥酔だ!

1977年、セックス・ピストルズは初めてスカンジナビアでのツアーを行なった。デンマーク、ノルウェー、スウェーデンを回る12公演のツアーである。イギリス以外の国で悪名を広める機会となっただけでなく、論争を巻き起こす伝説的フロントマン、シド・ヴィシャスにとっては、大好きなバンドに会うチャンスでもあった。そう、ABBAはシド・ヴィシャスのお気に入りのバンドのひとつだったのだ。

しかしツアーの最中、セックス・ピストルズのスカンジナビアでのフライトがいくつかキャンセルになった。そのため、ロックスターらしく、多くの人が乗り継ぎでやることをやった。つまり空港で酒を浴びるように飲んだのだ。残念ながら、それがシド・ヴィシャスにとっては後悔すべき選択となった。

その時の出来事を、ジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)はアイルランド・インディペンデント紙にこう語っている。
「フライトがキャンセルになったから、俺たちはスカンジナビアで一日中酒を飲んでたんだ。でもシドは酒に弱かったんだ」。
「ABBAを見かけた瞬間、彼らが全員お揃いの白い毛皮のコートを着て、まるでシロクマみたいに見えたら、シドは駆け寄って行ったんだ。『アバ!』ってね。そして吐いたんだよ」とライドンは続けた。

当然のことながら、「彼ら(ABBA)は恐怖におののいて」「連れ去られた」。そして「パトカーが出動することになった」とジョニー・ロットンは結んだ。セックス・ピストルズを知っているなら、この出会いが礼儀正しい賛辞や握手だけで終わるはずがないことは容易に想像できるだろう。むしろ、そうではなかったからこそ、より良いエピソードになったとも言える。そしてセックス・ピストルズの伝説は、今までも、そしてこれからも決して退屈なものではないのだ。

https://americansongwriter.com/a-lengthy-layover-and-a-pricey-dry-cleaning-bill-behind-sex-pistols-first-interaction-with-abba/

 

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