およそ四半世紀ぶりに、『マンマ・ミーア!』がブロードウェイに戻ってきました。場所は、かつての本拠地ウィンターガーデン劇場(1634 ブロードウェイ)です。このミュージカルは、ABBAの楽しい音楽をふんだんに取り入れた魅力的な物語を描いています。「ダンシング・クイーン」「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」「マンマ・ミーア」「マネー、マネー、マネー」「SOS」「スーパー・トゥルーパー」「テイク・ア・チャンス」「きらめきの序曲」「ザ・ウィナー」といったABBAのヒット曲を、劇場で生で聴ける絶好の機会です。観客の中には、タイダイ柄のパンツや厚底の靴、レースのトップスを身につけ、作品の世界観を楽しむ人の姿も見られました。
*ウィンターガーデン劇場で上演中の『マンマ・ミーア!』の一場面。
ジャリン・スティール、クリスティン・シェリル、カーリー・サコローブ出演。(写真:ジョーン・マーカス)
物語の舞台はギリシャの島。ソフィは結婚を控えており、相手はスカイ。母親のドナは知らないのですが、ソフィは自分の父親が誰なのかを突き止めるため、母が自分を身ごもった年に関わりを持った3人の男性――ハリー、サム、ビル――を招待していました。彼らが島に到着し、ドナがその姿を見たとき、物語は一気に騒がしくなります。そこに漂うのは、ロマンスの香り――果たしてそれは誰に向けられているのでしょうか?
舞台にはユーモアと情熱、そして楽しさにあふれた多くの素晴らしいパフォーマンスが見られます。主役のドナを演じるのはクリスティン・シェリル。彼女の演技は、冒頭から第2幕の途中までは特に印象的ではなく、なかなか役に入りきれていないように見えました。しかし、終盤の「ザ・ウィナー」では、全身全霊で歌い上げ、その瞬間に彼女は真のドナとなりました。それまでの彼女の歌唱には少し無理が見えたのも事実ですが、この夜がたまたま調子の悪い回だったのかもしれません。
一方、彼女を囲むカンパニーは、登場した瞬間から完璧でした。アフリカ系アメリカ人のジャリン・スティール(ターニャ)とカーリー・サコローブ(ロージー)は、非常に魅力的な演技を見せてくれました。彼女たちのエネルギー、歌唱力、ダンスのすべてが素晴らしかったです。ソフィを演じるエイミー・ウィーバーも可愛らしく、スカイ役のグラント・レイノルズとの舞台上での相性も抜群でした。ただし、時折、音楽が大きすぎて彼らの歌声が聞き取りにくい場面もありました。
ソフィの「3人の父親候補」を演じる俳優陣も見事でした。サム役のヴィクター・ウォレスは、ドナの初恋の相手として魅力的で、落ち着いた魅力を放っています。ハリーを演じるロブ・マーネルは上品でチャーミング。ビル役のジム・ニューマンは、エネルギッシュでユーモラス、そして観客を惹きつける演技を見せました。
振付はアンソニー・ヴァン・ラースト、演出はフィリダ・ロイド。舞台美術はマーク・トンプソン、照明はハワード・ハリソン、音響はアンドリュー・ブルースとボビー・エイケンが担当し、衣装はルーシー・ゲイガーによる華やかなデザインです。
音楽と歌詞はベニー・アンダーソンとビヨルン・ウルヴァース、そして一部の楽曲にスティッグ・アンダーソンが参加。脚本はキャサリン・ジョンソンが手がけています。
ABBAの音楽を堪能できたこと自体が大きな喜びでしたが、何よりも最高だったのは、カーテンコールのあと。キャスト全員が再登場し、ABBAの名曲をミニコンサート形式で披露すると、観客は総立ちになって歌い、踊り出しました。その時のキャストのエネルギー――特にシェリルの熱演――はまさに圧巻でした。
チケット情報は mammamiabway.com で確認できます。

