2026年トニー賞:『マンマ・ミーア!』リバイバルは、最初の資格審査会議を経て、有権者に “Here we go again(また始まる)”と言わせる可能性
トニー賞運営委員会は、2025–26年のブロードウェイ・シーズンにおける最初の資格審査会議を開催した。
*ブロードウェイ版『マンマ・ミーア!』のキャスト
(撮影:ジョーン・マーカス)
トニー賞運営委員会は、2026年トニー賞を前に、2025–26年のブロードウェイ・シーズンに上演された9作品の資格を判断するため、今シーズン最初の会議を行なった。
今回審議の対象となった作品は以下の9作である:
Call Me Izzy、Mamma Mia!、Art、Waiting for Godot、Punch、Ragtime、Liberation、Little Bear Ridge Road、The Queen of Versailles
委員会は、以下の判断を下した:
- クリスティーン・シェリルは、『マンマ・ミーア!』で ミュージカル主演女優賞の審査対象となる。
- アンドリュー・ブルースとボビー・エイケンは、『マンマ・ミーア!』で ミュージカル音響デザイン賞の審査対象となる。
- ウィル・ハリソンは、『Punch』で 演劇主演男優賞の審査対象となる。
- リアン・ピンダー(ムーブメント・ディレクター)は、『Punch』で 振付賞の審査対象となる。
- ケイシー・レヴィ、ブランドン・ウラノヴィッツ、ジョシュア・ヘンリーは、『ラグタイム』でそれぞれ ミュージカル主演女優/主演男優賞の審査対象となる。
- 『ラグタイム』の アダム・オノレー、ドナルド・ホルダー(照明デザイン) および 59 Studio(プロジェクション・デザイン)は、共同で ミュージカル照明デザイン賞の審査対象となる。
- スザンナ・フラッドは、『Liberation』で 演劇主演女優賞の審査対象となる。
- その他の資格は、オープニングナイトのクレジットに基づき従来どおりとなる。
『マンマ・ミーア!』の資格に関する疑念はこれで解消
今回の決定は、『マンマ・ミーア!』のトニー賞資格について残っていた疑問を完全に払拭するものである。
現在の『マンマ・ミーア!』は ナショナルツアーの延長版であり、2001年のオリジナル・ブロードウェイ版のほぼ再現となっている。
しかしトニー賞は、再現的なリバイバルがリバイバル部門で競うことを、過去に前例として認めている。
■ その前例とは
2014年にラウンドアバウト劇場会社が、トニー受賞歴のある1998年版『キャバレー』のリバイバルを再上演した際、
- 主演のアラン・カミング → 過去に同役で受賞しているため ノミネート不可
- しかし作品自体は ミュージカル・リバイバル賞の対象 と判断
- さらに 「新しい要素(new elements)」 を担当したスタッフ陣はノミネート可能とされた
結果、2014年版『キャバレー』はリバイバル賞ノミネートは逃したが、
俳優のダニー・バースティンとリンダ・エモンドが助演賞にノミネートされている。
今回の『マンマ・ミーア!』もその恩恵を受ける
この前例により、『マンマ・ミーア!』は
今季のミュージカル・リバイバル部門でのノミネート獲得を目指す道が正式に開かれた。
競合となるのは:
- リンカーン・センター版『ラグタイム』
- リア・ミシェル主演の『CHESS』
- 今後上演予定の『キャッツ:The Jellicle Ball』
- 『ロッキー・ホラー・ショー』
また、今回の『マンマ・ミーア!』の出演者は、誰一人として2001年オリジナル公演の出演者ではないため、全員がノミネート対象となる。
興味深いトリビア:音響デザイン賞
アンドリュー・ブルースとボビー・エイケンが、
『マンマ・ミーア!』で 初めて音響デザイン賞の審査対象となるのは、実は2001年当時、
トニー賞に音響デザイン部門が存在しなかったためである。
この賞が導入されたのは 2008年の授賞式からである。
主演女優賞(演劇)の最激戦区が確定
『Liberation』の スザンナ・フラッドが主演女優賞の審査対象となったことで、
今年の 演劇主演女優賞部門は“最激戦区”であることが決定的となった。
一部の評論家は、彼女を競争の激しい主演部門ではなく、あえて助演部門に入れて
“激戦回避”を狙うのではないかと予想していたが、結局は主演扱いとなった。
彼女が競うことになるスターたち:
- ローリー・メトカーフ(Little Bear Ridge Road)
- ジーン・スマート(Call Me Izzy)
- レスリー・マンヴィル(Oedipus)
- アイオ・エデビリ(Proof)
- ケリー・オハラ(Fallen Angels)
- タラジ・P・ヘンソン(Joe Turner’s Come and Gone)
- ジューン・スキッブ(Marjorie Prime)
ただし、フラッドにも十分チャンスはある
『Liberation』は業界内で非常に高い評価を受けており、
彼女はこの超激戦区の中でも 春にはノミネート入りできる可能性が高いと見られている。
※🎭 トニー賞(Tony Awards)とは
トニー賞(Tony Awards)とは、
アメリカのブロードウェイ演劇界で最も権威のある賞で、いわば「舞台版アカデミー賞」とも呼ばれる大きな賞です。
🌟 基本情報
- 正式名称: アントワネット・ペリー賞(Antoinette Perry Award)
- 通称: Tony Awards(トニー賞)
- 創設: 1947年
- 主催:
- アメリカ演劇翼協会(American Theatre Wing)
- ブロードウェイ・リーグ(The Broadway League)
🗽 どんな賞?
■ ブロードウェイ作品を対象にした賞
ニューヨークのブロードウェイ地区で上演された作品の中から、
演劇やミュージカルの優れた成果を表彰します。
対象は非常に限定されており、
「ブロードウェイで正式に上演された作品」が対象のため、非常に格式が高い賞です。
🎼 受賞カテゴリー
演劇・ミュージカルのさまざまな分野から選ばれます。
主なカテゴリー
作品賞
- ミュージカル作品賞
- 演劇作品賞
- ミュージカル・リバイバル作品賞
- 演劇リバイバル作品賞
演技部門
- 主演男優/主演女優
- 助演男優/助演女優
演出部門
- ミュージカル演出
- 演劇演出
技術部門
- 舞台美術
- 衣装デザイン
- 照明デザイン
- 音響デザイン
- オーケストレーション
など多数。
🏆 授賞式
毎年6月頃に開催され、
CBSテレビで全米生中継されます。
ミュージカル作品からの豪華ライブパフォーマンスが見どころで、
ミュージカルファンにとっては一年で最も熱いイベントです。
🌍 世界的な影響
トニー賞の受賞は、その作品の評価、売上、知名度を大きく押し上げます。
例:
- 『マンマ・ミーア!』
- 『レ・ミゼラブル』
- 『オペラ座の怪人』
- 『ハミルトン』
- 『ライオンキング』
こうした作品もトニー賞が後押しして世界的な人気になりました。
🎶 ABBA関連(参考)
『マンマ・ミーア!』のサウンドデザインやリバイバル版の扱いについても
トニー賞の規定が関連しており、今回のニュースでも触れられています。
https://www.goldderby.com/theater/2025/2026-tony-awards-mamma-mia-eligibility/

