「耳栓を持ってきて!ティッシュも持ってきて!心の準備をしろ!」と ワシントン・ポスト のナヴィーン・クマールは書いた。
ミュージカル『CHESS』が1988年の失敗以来、初めてブロードウェイに戻ってきた。そして、作詞家ティム・ライスとABBAの2人のメンバーによって書かれた「張り上げ系&シンセ爆発スコア」は、おそらくこれまでで最も大音量かつ最も情熱的なパフォーマンスを享受している。
*アーロン・トヴェイト、リア・ミシェル、ニコラス・クリストファー
— 2025年11月16日、ブロードウェイのミュージカル『CHESS』カーテンコールにて
(画像提供:Bruce Glikas / WireImage / Getty Images)
リア・ミッシェル、アーロン・トヴェイト、ニコラス・クリストファーの3人が物語の中心となる恋の三角関係の3頂点を演じ、観客が最も期待している「髪が吹き飛ぶような1980年代スタイルのロック・バラード」の数曲をしっかりと届けている。
とはいえ、『CHESS』は常に「脚本を探すコンセプト・アルバム」だった。そのスコアは、舞台化の試みが始まる前の1984年にすでに2つのポップヒット曲を生んでいる。ライスによる「明らかに奇妙な」コンセプトは、どれだけ頑張っても理にかなった舞台化に抗い続けるだろう。
冷戦下のソ連とアメリカのCHESS世界選手権が、同じ女性を愛する2人の男の物語であることに困惑する?
「『CHESS』はそんなこと気にしない」と デイリー・ビースト のティム・ティーマンは言う。
「この作品は、高い緊張感の激情、地球規模の破滅の可能性、燃えさかるような過剰感情であなたをねじ伏せるために存在しているのだ」。
ダニー・ストロングによる改訂版は、この設定の欠点を抱きしめるように受け入れ、先へ進んでいく。物語はCHESSというより、むしろ核戦争の可能性へと焦点が移る。CIA職員とKGBエージェントによる八百長の試みが頓挫すると、物語は恋の三角関係へと移行するが、そこでは「どの組み合わせにも化学反応がまったくない」ために停滞してしまう。
それでもなお、このショーは断続的に機能する。
「多くのスペクタクルと同じように、良くて、悪くて、過剰に主張が強くて、そして遠慮なく疲れさせてくる作品だ」。
ショーの一部は「絶対的にスリリング」である一方、他の部分は「攻撃的なほど馬鹿げている」と ニューヨーク・タイムズ のエリザベス・ヴィンセントリは書く。
語り役を務めるブライス・ピンカムは、ジョー・バイデンやロバート・F・ケネディJr. に関する冗談めいたツッコミを入れるが、
「三流コメディアンですら恥ずかしがるようなレベル」
だという。
それでも、全体に嫌気がさしてきたタイミングで、
「また別の素晴らしい曲が現れる」
のだ。
スコア最大の1980年代のヒット曲「ワン・ナイト・イン・バンコク」の演出は、NYMag.com のサラ・ホルドレン曰く、
「あまりにも馬鹿らしいほどの快感で、この作品全体を正当化してしまうほどだ」。
たしかに、このショーは最良の瞬間ですら常に奇妙だ。
だがその奇妙さこそが、
「今のブロードウェイの大半よりずっと楽しい」
のだという。
https://theweek.com/culture-life/theatre/chess-broadway-new-york

