「ビートルズ版ABBA Voyage」が実現すれば・・・

リバプールは“世界が選ぶ国際観光地”になれるかもしれない。

彼らは、何世代にもわたり音楽の世界を変えた4人のスーパースターだ。
何十年もの間、アルバムはチャート1位を獲得し、世界中で愛され続けている。
彼らの音楽を愛するファンは世界中から訪れ、その始まりの地を祝い、アイコニックな楽曲は今でも毎日のように歌われている。
映画、グッズ、そして文化的影響──そのすべてを再現できる存在はそう多くない。

もちろん、それは ABBA のことだ。
1982年に実質的に活動停止したにもかかわらず、その人気は衰えるどころか、40年後のロンドンで大規模なバーチャル・コンサート『ABBA Voyage』として“再集結”を果たした。
1979年当時の姿をデジタルで再現した「ABBAター(ABBAtars)」と10人編成バンドが共演する、1億4,000万ポンド規模のショーだ。

*1966年6月23日、ドイツへ向かい、その後日本へ向かう途中のロンドン空港でのビートルズ。左からジョージ、ジョン、ポール、リンゴ。|Wesley/Keystone/Hulton Archive/Getty Images より

コンサートはロンドンのクイーンエリザベス・オリンピックパークに建てられた専用施設「ABBAアリーナ」で開催され、首都で大成功を収めている。
一方、リバプールは1960年代に世界的な音楽現象を生み出した街として知られる。

ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ──その4人の名前は、もはや説明不要だ。
彼らビートルズが残した遺産は、世界中で影響を与え続けており、故郷リバプールにはピアヘッド、ストロベリーフィールド、彼らの旧宅などの名所が点在している。

しかし、この街でABBA Voyage に匹敵するような試みがビートルズで行なわれたことは、これまで一度もない。
とはいえ、市内のホテル宿泊料に数ポンドの追加課税をすれば、それが変わるきっかけになるかもしれない。

先週の予算発表に先立ち、政府は地域市長に「宿泊税」(観光税)を導入する権限を認めると発表した。
この仕組みを長年提唱してきたメトロ市長のスティーブ・ロザラムは、“控えめな”観光税で年間約1,700万ポンドの歳入が見込めると述べた。

ロザラム市長はリバプール市域広域連合(LCRCA)の委員会で制度導入への支持を表明した。
市長はこう述べている。

「“なぜやらないのか、やるべきではないか”と考える議員もいるはずです。
海外に旅行すれば、どこでも何らかの地域税があります。
これまで私たちには、国からの予算以上のことを、自前の収入で実現する手段がありませんでした。
これはそのための大切な一歩なのです」。

続けて市長は、この観光税がビジター経済へ直接再投資されると説明した。

「これは地元で管理される収入源であり、主要なプロジェクトにも使えますし、街をより魅力的にするための取り組みにも充てられます」。

*ビョルン・ウルヴァース、アンニ=フリード・リングスタッド、アグネタ・フォルツコグ、そしてベニー・アンダーソンが、2022年5月26日にロンドンのABBAアリーナで行なわれた『ABBA Voyage』初公演を前に、待ちわびるファンに挨拶する様子|Nicky J Sims/Getty Images

ロザラム市長は、観光税で得られる1ポンドごとが文化イベントの資金となり、ビジターセンターの拡充にも役立つと語った。

「現在、リバプールのビジター経済は62億7,000万ポンド規模です。
これを上限だと思う人がいるなら、それこそ“夢の世界(cloud cuckooland)”です。
私たちはもっともっと伸ばせる」。

現在、リバプールの宿泊者向け団体(ABID)は、2ポンドの宿泊税を市内の対象区域で運用している。
新制度は2028年にABIDが終了した後、LCRCAのもとで導入される見込みだ。

ロザラム市長自身、大のビートルズファンであり、今回の観光税導入をきっかけに音楽ファンを世界中から引き寄せるプランを描いている。

市長はこう述べた。

「2017年から、ロンドンのABBA Voyageに“似ているが同一ではない”ものをリバプールでも実現できないか模索してきました。
この地域で“まあまあ成功した”4人組ビート・バンドを題材にした何かを作れたら……想像してみてください」。

さらに続けた。

「没入型の体験を作れば、世界中の人が観に来るでしょう。
来場者は飛躍的に増え、リバプールは“世界が選ぶ国際観光地”になります。
今はロンドンへ行ってからこちらへ来る人もいますが、その流れを逆にしたいのです」。

観光税の導入は、2023年のユーロビジョン・ソング・コンテストのような大規模イベントの開催にも大きく貢献できるという。

リバプールには2028年の欧州選手権(EURO 2028)で、エヴァートンのヒル・ディキンソン・スタジアムに数千人のサッカーファンが訪れる予定だ。
観光投資は、近年観光客減少に苦しむサウスポートのビジター経済回復にも役立てられる。

記事は最後をこう締めくくる。
ロザラム市長は、もはや政府に「ギミー! ギミー! ギミー!」と頼るのではなく、
自らの地域が確実に「マネー、マネー、マネー」を得られる未来を望んでいる。

https://www.liverpoolworld.uk/news/hopes-for-beatles-style-abba-voyage-would-make-liverpool-international-destination-of-choice-5421018

 

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