ABBAの作詞家が世界一有名な少女をミュージカルとサーカスで蘇らせる
ABBAのビヨルン・ウルヴァースが脚本と作詞を担当したミュージカル・サーカス作品 『ピッピのサーカス(Pippi at the Circus)』 が、北欧で大きな注目を集めている。
この作品は、スウェーデンを代表する児童文学作家 Astrid Lindgren が生み出した不朽の名作『長くつ下のピッピ』を原作とし、現代サーカス界のトップ集団である Cirkus Cirkör が制作した壮大なファミリー向け舞台作品である。
ビョルン・ウルヴァースにとっても、『チェス』『クリスティーナ』『マンマ・ミーア!』に続く重要な舞台作品のひとつとして位置付けられている。
世界中で愛される『長くつ下のピッピ』
『長くつ下のピッピ』は1945年に出版されて以来、80年以上にわたって世界中で読み継がれてきた児童文学の金字塔である。
主人公ピッピ・ロングストッキングは、
- 真っ赤な三つ編み
- 左右違う靴下
- 怪力の持ち主
- 大人に縛られない自由な精神
を持つ少女として知られている。
作品は80以上の言語に翻訳され、累計発行部数は7000万部を超えるとされる。
スウェーデンではABBAと並び、最も世界的に知られた文化的シンボルのひとつである。
サーカスを訪れたピッピの冒険
物語は、ピッピが親友のトミーとアニカを連れてサーカスを訪れるところから始まる。
そこで彼女たちは、
- サーカスのスター「ミス・カルメンシータ」
- 綱渡り師エルヴィラ
- 怪力男ストロング・アドルフ
- 個性豊かな曲芸師たち
と出会う。
しかし、普通の子どもなら驚くようなサーカスの芸も、ピッピにとってはまったく恐れるものではない。
むしろ彼女はサーカス団員たちを驚かせるほどの力と勇気を発揮し、次々と予想外の出来事を巻き起こしていく。
ビヨルン・ウルヴァースの思い
ビヨルン・ウルヴァースはこの作品について、
「何百万人ものスウェーデン人と同じように、私も子どもの頃からピッピが大好きだった」
と語っている。
さらに、
「アストリッド・リンドグレーンが描いた世界の行間に音楽を与えたかった」
とも説明している。
ビヨルンは脚本をマリア・ブロム、ティルデ・ビョルフォシュと共同執筆し、作品全体のストーリー構築にも深く関わった。
ベニー・アンダーソンも参加
ABBAファンにとって見逃せないのは、ビヨルンだけでなく Benny Andersson の音楽も使用されていることだ。
作品では、
- ベニー・アンダーソンの楽曲
- 新たに書き下ろされた歌詞
- 生演奏によるオーケストラ
が組み合わされている。
ABBA時代から続くビヨルンとベニーの創作パートナーシップが、児童文学の世界でも生かされているのである。
サーカスとミュージカルの融合
『ピッピのサーカス』最大の特徴は、ミュージカルとサーカスを完全に融合させている点だ。
舞台では、
- 空中ブランコ
- ワイヤーアクション
- 綱渡り
- ジャグリング
- トランポリン
- アクロバット
などが次々と登場する。
出演者たちは歌うだけでなく、宙を舞い、回転し、跳躍する。
そのため一般的なミュージカルとはまったく異なる迫力を生み出している。
制作を担当するシルクス・シルケールは、世界30か国以上で公演を行ってきたスウェーデン最大級の現代サーカス団体であり、その技術力の高さは国際的にも高く評価されている。
ストックホルムで世界初演
作品は2022年7月1日、ストックホルムの歴史ある劇場 Cirkus で世界初演された。
初演は大成功を収め、
- 家族連れ
- ピッピファン
- ミュージカルファン
- ABBAファン
から高い評価を受けた。
その後も再演が行われ、現在では北欧を代表するファミリー向け舞台作品のひとつとなっている。
ABBAファンにとっての特別な作品
ABBAファンにとって『ピッピのサーカス』は単なる児童向け作品ではない。
ABBAの黄金コンビであるビヨルン・ウルヴァースとベニー・アンダーソンが、スウェーデンを代表する文学作品に新たな命を吹き込んだ作品だからである。
『マンマ・ミーア!』がABBAの楽曲を通して世界中の観客を魅了したように、『ピッピのサーカス』はスウェーデンが誇るもうひとつの国民的ヒロインを通じて、自由や勇気、そして想像力の大切さを伝えている。
ABBAと同じく世界中で愛され続ける「ピッピ」の魅力を、音楽とサーカスの力で現代によみがえらせた作品として、今後も長く語り継がれていくことだろう。
*記事編集済み
