【連載220】熊本地震取材日誌(2016年の今日、熊本で何があったのか?

『臨時避難所も閉鎖!熊本地震避難所完全閉鎖!』

11月19日土曜日昼

【熊本地震・被災者生活・復旧復興情報】

*下記熊本情報はあらゆる箇所で重複しています。ご了承ください!

皆様こんにちは。熊本地震で設けられた避難所のうち、県内に唯一残っていた西原村の避難所が昨日18日で閉鎖され、最も多い時で850か所余りあった熊本県内の避難所はすべてなくなりました。

一連の熊本地震では、最も多いときで、熊本県内の855か所に避難所が開設され、およそ18万人が避難し、西原村でも6か所で1800人余りが避難生活を送りました。

18日、県内に唯一残っていた、西原村の避難所で生活を続けてきた住民2人が退去し、これで、熊本地震で設けられた県内の避難所はすべてなくなりました。

熊本県では、建設を計画していた仮設住宅4303戸が今月14日にすべて完成するなど、被災した人たちの住まいの確保が進んでいます。

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熊本地震で被災した熊本城の建物のうち、築城当時の姿をとどめるとされる、国の重要文化財「宇土櫓(うとやぐら)」の内部を写した映像が初めて公開されました。映像には壁や床が激しく壊れている様子が写っていて、地震による被害の大きさがうかがえます。

宇土櫓は、地上5階・地下1階の木造の建造物で、熊本城が築かれた400年前の姿をとどめているとされ、国の重要文化財に指定されています。

公開された映像は、熊本市の職員が16日に撮影したもので、このうち1階では壁に塗られたしっくいが至る所で崩れ落ち、中には壁ごと崩れた箇所も確認できます。

また、床も大きく傾いていて、職員が粘着テープのロールを床に置くと勢いよく転がり出す様子も写っています。

2階から上の部分も損傷を受けていますが、熊本市によりますと、上の階は比較的被害が少なく、階が下がるにつれて被害が大きいということです。

一連の地震で、熊本城では国の重要文化財に指定されている13の建物すべてに被害が出ましたが、こうした建物内部の映像が公開されたのはこれが初めてです。

熊本市の熊本城復旧復元プロジェクトの責任者を務める津曲俊博さんは、「解体して修理することも視野に入れながら復旧方法を検討していきたい」と話しています。

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11月18日気象庁発表、阿蘇山に関する情報です。

中岳第一火口では、噴火は観測されていません。

遠望観測では、噴煙が最高で300mに上がり、17日の夜間には高感度カメラで火映を観測しました。

16日に京都大学大学院理学研究科が実施した現地調査では、中岳第一火口内に緑色の湯だまりを確認しました。中岳第一火口底南西側及び南側火口壁から噴気が勢いよく噴出し、また、南側火口壁の一部に赤熱を確認しました。

16日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、1日あたり3300トン(前回9日2500トン)と引き続き多い状態でした。

火山性地震はやや多い状態で経過しています。火山性微動の振幅は概ね小さな状態で経過しており、孤立型微動は少ない状態で経過しています。

11月14日以降の火山性地震、孤立型微動の発生状況は以下のとおりです。なお発生回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。

(左から火山性地震回数、孤立型微動回数)

11月14日:90回、10回

11月15日:60回、9回

11月16日:80回、12回

11月17日:61回、13回

11月18日15時まで:38回、7回

傾斜計では、火山活動に伴う特段の変化は認められません。

GNSS連続観測では、山体の膨張の可能性が考えられるわずかな伸びの傾向が、2016年7月頃から認められています。

阿蘇山の火山活動は引き続き活発な状態となっており、今後も爆発的噴火が発生する可能性があります。

中岳第一火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では、火山灰だけでなく、風の影響を受ける小さな噴石が遠方まで風に流されて降るため注意してください。また、火山ガスに注意してください。

1.被災地情報

①熊本空港、国際線再開メド立たず!地震半年、2路線運休

熊本地震で休止した熊本空港の国際2路線が、7カ月たっても再開していません。観光客が戻らず、航空会社が再開に慎重なためです。観光客中心の国際線は、ビジネス客が主体の路線に比べ需要変動が大きく採算性も悪いため、そもそも維持が難しいのです。ただ、そこに頼らざるを得ないのが、九州の空港に共通の悩みです。

◆県、視察ツアー不発

11月上旬の熊本空港国際線ターミナル。台湾・高雄から中華航空の旅客機が到着すると、降りてきた団体客が次々とバスへと乗り込みました。折り返しの出発便客も交じりロビーはにぎわいました。ただ、隣にあるアシアナ航空(韓国)などのカウンターの照明は消えたままです。熊本地震前、熊本空港には高雄に加え、ソウル(アシアナ)と香港(香港航空)を結ぶ3路線が就航していました。高雄は6月に再開しましたが、残りは運休が続いています。

熊本県は、熱心に国際線誘致を進めてきました。その活動が実り、香港と高雄の2路線が就航したのは、昨年末。複数路線の運航は熊本空港にとっては初めてのことでした。3路線とも利用は外国人観光客が大半。香港便は阿蘇など九州を巡るツアーが人気で、ソウル便はゴルフ客も多かったそうです。昨年度の利用率は香港便で74%、ソウル便は63%で、今年度はさらなる増加が期待されていました。

そんな矢先、熊本地震が発生し、運航が止まりました。熊本県では、観光客を呼び戻すため、現地の旅行会社や雑誌社などを熊本に呼んで視察ツアーも実施しました。しかし、地震への警戒感も強く、観光客需要も戻っていないとして、航空会社側は県に対し再開時期のメドも示してはいないとのことです。県の担当者も「振り出しに戻った。再開して欲しいが、航空会社のビジネスとしての判断」と落胆しています。

熊本地震の影響で、九州では佐賀や大分空港でも、国際線の一部が一時運休しました。主に空路で九州に入国した外国人は、2月は21万4千人でしたが、5月には12万6千人に激減しました。

◆観光頼み、撤退のリスクも

九州の各空港は、今年に入って新国際路線の就航が相次いでいます。鹿児島は7月、長崎は10月に就航しました。北九州は10月に続き、12月には釜山とソウルの2路線が加わります。ただ路線はアジアに偏っていて、九州発着の北米・欧州線は、北欧ヘルシンキと福岡を結ぶフィンランド航空だけです。しかも、搭乗客は観光目的の割合が多いのです。キャセイパシフィック航空の福岡~香港便は50年超の歴史がありますが、観光客の比率は8割に上り、成田や羽田便に比べて高いそうです。

ビジネス客は正規料金で搭乗する割合も多く、需要も安定しています。一方で、団体など割安料金の利用が多い観光客が占める路線のもうけはあまりありません。さらに、観光は災害や為替といった外部要因で需要が変動する可能性も高く、撤退リスクも抱えまています。かつて福岡発着の国際線を飛ばしていた全日本空輸の幹部は、「ビジネス客が少ない福岡では国際線は正直採算がとれない」と打ち明けます。1月まで福岡に就航していたKLMオランダ航空は、欧州からの観光客が増えない上に、為替が円安に振れて日本人客の採算が悪化し、運休に追い込まれました。

福岡空港では新たな滑走路の増設計画が進み、九州の各地方空港も新路線の誘致に力を入れています。財界関係者は「空港を強化するだけでなく、欧米の観光客や、アジアとの取引を拡大してビジネス客を増やすなど、実需を育てる必要がある」と指摘します。

②大手損保3社、増益!9月中間

損害保険大手3社が昨日18日発表した2016年9月中間決算は、最終的なもうけを示す純利益が3社ともに増益でした。熊本地震がありましたが、地震保険は個人向けでは国の枠組みで保険金が支払われるなど、保険会社の収益への影響は僅かでした。他の自然災害による影響も比較的少なく、保険金支払いが減りました。

売上高にあたる正味収入保険料は、買収した英損保の売上高が上乗せされたMS&ADホールディングス(HD)をのぞき、前年同期より減りました。前年は、値上げ前の火災保険の駆け込み需要があり、その反動が出ました。

17年3月期の見通しは、円高で海外事業の売上高が目減りするため、3社ともに売上高を下方修正しました。SOMPOHDの辻伸治副社長は「トランプ氏が次の米大統領に決まり先行き不透明感は拭えない」そうです。

③震災経験の教諭が熊本から帰県、癒やし癒やされる

熊本地震の支援で長期派遣されていた養護教諭の遠藤幸(ゆき)さん(28)=南三陸町立志津川中=が、県庁で報告会を開きました。自身も町内の実家が津波で流され、多くの親戚や友人を失いました。「被災地を目にして自分がどうなるか心配だった」という不安を払ってくれたのは、同じ立場に置かれた子どもたちでした。

遠藤さんは6月から約5カ月間、被害の大きかった熊本県益城町から南に10キロほど離れた御船町立小坂小へ派遣され、保健室で児童の心のケアを任されました。

初めて訪れた校舎は大きな被害を受け、施設の半分が利用できない状態でした。体育館は避難所に。教室も使えず、一部の学年は普通の授業を理科室や家庭科室などで行っていました。震度5弱以上の余震が襲ってくることもありました。

接した子どもは様々でした。登校すると、まず保健室で1時間仮眠する児童。車中泊が続いていて、まともに寝ていませんでした。放課後の教室で宿題を終わらせてから帰る児童は、半壊した自宅に勉強できる場所がありませんでした・・・・・・。

余震で家が崩れるかも、という恐怖感で睡眠不足に陥った子どもがたくさんいました。「直接話さないと分からないことが多かった。各家庭の事情を受け入れてあげることが大切」と振り返ります。こうした大災害後は、子どもたちに何が起きたのか1人ずつ記録していき、担当者が代わっても教員全員で支えられる態勢づくりが大事だとも感じました。

熊本に派遣される前は、まだ自分の中で被災体験を整理できておらず不安でした。でも、自分の体験を話すと「先生も同じ思いをしたんだ」と共感してくれました。ある児童は「将来、先生みたいに被災地に駆けつけられる大人になりたい」と言ってくれました。

子どもたちをケアするなかで、自分も一緒に癒やされていました。「今回学んだことを同僚にも伝えていきたい」と前を見据える遠藤さん。震災以来立ち止まっていたけれど、一歩進めた気がしています。

➃澄んだ空へどこまでも!大崎でバルーンフェス

宮城県大崎市岩出山の河川敷で昨日18日、大崎バルーンフェスティバルが始まり、熱気球が澄んだ空を彩りました。

競技フライトは、16機が参加して午前7時に始まりました。「ゴーッ、ゴーッ」とガスバーナーをふかしながら、次々と離陸。先頭機が着地した約20キロ先の地点に、どれだけ近く砂袋を落とせるかを競いました。

土手の観客が「行ってらっしゃい」と手を振った。しま模様や市松模様の赤や緑、黄色の気球は、見る見る小さくなって東へ。

熊本県のチームは、「復旧の途中ですが、熊本の元気を東北の皆さんにお伝えしたく……」というメッセージとともに加わりました。20日まで続く催しには、全国から27機が集まる予定。地元有志でつくる実行委員会が主催し、31回目となります。

⑤南阿蘇で学生が復興祭

東海大農学部の学生たちが、地震で閉鎖されている阿蘇キャンパスがある南阿蘇村を元気づけようと、明日20日、同村久石の道の駅「あそ望の郷くぎの」で「南阿蘇大復興祭」と題したイベントを開きます。

昼の部は午前10時から、学生や卒業生、地元商工会などによる20以上の露店が新ソバなど地元食材を使った料理を出します。ステージではソバの早食い競争や餅つき大会などがあります。夜の部は午後17時に阿蘇山をイメージしたイルミネーションが点灯し、熱気球の搭乗体験や花火大会もあります。

学生と卒業生のグループ「東海大学阿蘇復興への道」が実行委員会をつくり主催します。学生たちは12日、村役場であった復興まちづくりのワークショップに参加して「キャンパスを再開してほしい」「アパートを再建してほしい」「南阿蘇に戻りたい」などと口々に訴え、会議後に復興祭への参加を呼びかけました。

⑥薬草栽培強化へ!あさぎり町、加工所建設

あさぎり町が、町内の旧深田中学校の跡地に薬用植物(薬草)の加工施設を新たに建設します。漢方薬の原料になる薬草の産地化をめざしており、来秋から本格稼働する予定です。

人吉球磨地域の生産農家らでつくる「あさぎり薬草合同会社」がこの施設で薬草の洗浄や乾燥などの加工処理をし、全量を漢方薬大手のツムラ(東京)に出荷します。町を含む三者がこのほど立地協定を結びました。

国内の製薬会社は薬草の国産化の動きを進めており、町が誘致したそうです。町農業振興課によりますと、人吉球磨地域では、根に解熱・鎮痛作用がある生薬として風邪などの漢方薬に配合されるミシマサイコを、193戸が計53ヘクタールで栽培しています。今後も生産農家は増える見込みとのことです。

加工施設は鉄骨平屋建てで約960平方メートル。建設費は約2億5千万円。県と人吉球磨10市町村も一部を負担します。12月に着工し、来年5月に完成、同11月から操業を本格化する予定です。年間に33トンを処理でき、地元からの新規雇用も見込むようです。合同会社による使用料はツムラが負担します。

8日にあった立地協定の調印式で、愛甲一典町長は「念願だった。人吉球磨での薬草の生産拡大のため、品質の高い薬草を継続的に生産することが課題」とあいさつ。合同会社の愛甲恵・代表社員は「TPPなど農業は厳しい環境だが、薬草栽培は各地で注目されており、ミシマサイコ以外の栽培にも取り組みたい」と語っていました。

ツムラによりますと、同社が国内に持つ6カ所の産地の中で人吉球磨が最新。60歳以下の比較的若い生産者が多く担い手が確保できることなどを評価しており、戸田光胤(こういん)・生薬本部長は「薬草はマイナーな作物で手間もかかる。機械化による効率化など、国内産地のモデル地域にしたい」と語りました。20121年度には出荷量42トン(15年度は22トン)、出荷額2億5千万円(同1億5千万円)をめざすそうです。

リーダーの原田健汰さん(22)は「村と学生のつながりを守りたい。人が来てくれることが復興の一歩になる」と話していました。

⑦「かっぱの本屋さん」7カ月ぶり再開!上通に活気

「かっぱの本屋さん」として親しまれる熊本市中央区上通町の老舗書店「金龍堂まるぶん店」が昨日18日、熊本地震による休業から約7カ月ぶりに営業を再開しました。名物のかっぱ像との“再会”を待ちわびた客たちが続々と訪れ、アーケードが活気づいていました。

午前10時の開店前、約20人が店の前に並びました。先頭で入店した熊本市西区の丸山歳之さん(75)は、同店の元店長。かっぱ像の無事を確認し、「うれしい」と目を細めていました。

店は復旧を機に改装し、現在地に出店した1970年から入り口に設置しているかっぱ像の台座も一新しました。離れて座っていた大小3体が、横に並ぶ形となりました。通り沿いには仕切りを設けましたが、開放的なガラス張りで、外からも明るい店内が見渡せます。

近くに住む自営業の松本智子さん(60)は「寂しく感じていた上通に活気が戻った。以前と変わらず、入りやすい雰囲気がいい」と声を弾ませていました。

インターネット通販の普及や活字離れで、書店の経営環境は厳しいですが、同店は老若男女に向けて幅広い本をそろえ、学習参考書や児童書が充実した従来の店づくりを貫きます。

荒川俊介店長(43)は「再開を待ち望む声をたくさんいただいたのは、うちが普通の店だったから。これからもとことん“普通”にこだわりたい」と力を込めていました。

改装で医学書の売り場を新設したため、熊本大医学部近くの本荘店は13日に閉店し、金龍堂の店舗数は県内4店となりました。

⑧5地区の集団移転検討へ将来像!西原村

西原村は熊本地震で甚大な被害を受け、集団移転を検討している5地区について、住民の意見を踏まえた将来像をまとめ、大切畑地区(27世帯)の住民に昨日18日、提示しました。県内の被災自治体が集団移転を念頭に置いた将来像を示すのは初めて。これを皮切りに、村は他の4地区にも具体案を示します。移転の可否を検討するたたき台となるだけに今後、議論が加速しそうです。

村内では布田の2地区と下小森、畑・風当、大切畑、古閑の計6地区の住民が集団移転も視野に、集落再生を模索。コミュニティーの維持が課題となっています。

村は国の協力を得て住民の意見を聞き取り、移転する場合の場所や土地の広さ、住民の生活習慣など基礎的な調査を実施。畑・風当地区を除き議論が進んでいる5地区の将来像をまとめました。

このうち急傾斜地にある大切畑地区は、現在地を活用したA案と、隣接地に移転するB案の2パターンを作成。経済的に新築が難しい人のための公営住宅も盛り込んだほか、防災面も考慮し生活道路は車がすれ違える程度に拡幅するとしました。

同地区は昨日18日夜、住民の代表8人が将来像について議論。「(地震を起こした)断層の上だとしても集落に残りたい」「安全な所に移るべきだ」といった意見のほか、「一部が残っても虫食い状態になり土地が荒れる」などの懸念が出ました。

大谷幸一区長(51)は「移転する場合、元の土地をどうするかなど課題は大きい。合意点を見いだせるよう、少しずつ議論を進めたい」と話しました。

残る4地区も順次提案を受け、それぞれ年内に方向性を固める方針。村は「住民の意思が決まれば積極的に支援し、来年度予算にも反映させたい」としています。

⑨熊本城のいま、「文化財」の認識あった陸軍

明治22(1889)年に発生した、マグニチュード6.3の熊本地震による熊本城(熊本市中央区)の被害をまとめた「震災ニ関スル諸報告」。当時お城を管理していた陸軍第六師団が被害を詳細に明記した史料で、宮内庁が所蔵しています。熊本城調査研究センターは史料の存在は知っていましたが、調べる前に平成の熊本地震が発生。9月に熊本市と熊本大が共同で調査し、初めて公表しました。

史料の前半は軍医部が病院や医療機器、薬品の被害を記録。後半は監督部が城内の陸軍施設、江戸時代から残る櫓・門・塀、石垣の状況を記しています。

明治天皇への報告目的だったこともあってか、他の史料にはない熊本城の知られざる被害が並びます。特に石垣は、明治の地震で被災した部分の77.1%が、今回の地震でも崩落・緩みが発生したことが分かりました。

加藤神社北側の「北大手門東側石塁外面」は、今回の地震で大きく被災しましたが、一部の崩落を免れた石垣をよく観察すると、ある境目が見えてきます。積み方と石材の形が明らかに異なる、加藤清正時代の石垣と、明治の地震後に陸軍が積み直した石垣です。

清正時代の石垣は、石材の形が多様で、面がそろっていません。一方、陸軍の石垣は、「控え」(奥行き)が細くなっていて「面(つら)」(正面)が四角の間知石(けんちいし)を使っており、整然と積まれているのが分かります。

間知石は江戸時代から使われ始め、高い技術を必要としない、だれでも積める石とされています。しかし石垣の強度は「控え」で維持するため、高く積むのが難しいのです。同センターは「簡単にするか、丈夫にするかの選択はあっただろう」。

明治の地震で、70カ所、約8800平方メートルの石垣が崩落・緩みの被害を受けた熊本城は、わずか6年で修復されたそうです。ただし、それは「外見」だけ。史料に「中途」と記されている7カ所の石垣は、積み直しは外側だけで内側は途中だったことを指します。

なぜ第六師団は積み直しを急いだのか?天皇も知る高い評判を持ち、西南戦争で薩摩士族に勝利し「軍の誇り」だった熊本城。その“勇ましさ”の一方で、同センター主幹の鶴嶋俊彦さん(61)が指摘するのは、当時の文書に残る『保存修築』という言葉。「熊本城は文化財、という認識を陸軍は持っていた。六師団は偉いんです」。

⑩地元美容室が月1回訪問!熊本市の塚原仮設住宅団地

熊本市南区城南町の塚原仮設住宅団地(96世帯)で月1回、特設の“美容サロン”が開かれています。近くの美容室「ルーチェ」が10月から始めた、入居者への訪問カット。熊本地震の影響で営業は厳しいが「地元の店として被災者の生活を支えたい」と笑顔ではさみを握ります。

同店の原口隆太代表(28)が、団地の支援相談員から「移動の足に困り、散髪にも行けない入居者がいる」と聞いたのが開設のきっかけ。毎月第3木曜日、営業時間前の午前8時~同10時に全従業員3人が鏡やドライヤーを団地集会所に持参。通常の3分の1程度の料金でカットや頭皮マッサージを提供しています。

昨日17日朝は、順番待ちが出るほどの盛況ぶり。マッサージをしてもらった山内悦子さん(67)は「すっきりしてとても良い気分。団地を訪れてくれる気持ちがうれしい」と笑顔で話していまし。従業員の村田由衣さん(29)は「ひいきの店が被災し、解体されたという人もいる。少しでも皆さんの力になりたい」。

地震では店が一部損壊。客足も震災前の7割程度ですが、入居期限の2年間は仮設訪問を続けるそうです。原口さんは「サロンが団地の憩いの場になってほしい。苦しい時こそ支え合いたい」と力を込めています。

⑪八代市の国史跡「古麓城跡」、防御の遺構追加指定

国の文化審議会は昨日18日、八代市の国史跡「八代城跡(しろあと)群」の三つの城跡のうち、古麓(ふるふもと)城跡の一部5万1482平方メートルを追加指定するよう松野博一文部科学相に答申しました。来年春に指定される見通し。

古麓城は球磨川右岸の丘陵部に、南北朝~戦国時代に名和(なわ)氏と相良氏が築いた山城。1587年には九州征伐に訪れた豊臣秀吉が滞在するなどしました。

今回追加が答申されたのは、現在指定されている古麓城跡の範囲の東側。敵を防ぐため尾根筋に溝を掘った「堀切(ほりきり)」と、堀切から麓へさらに溝を伸ばした「竪堀(たてぼり)」、味方の出撃や撤退のため堀切の中央に細い道を残した「土橋(どばし)」の遺構があります。中世城郭の特徴的な防御施設で、全体の構造を明らかにする上で重要そうです。

八代城跡群は球磨川河口部に築かれた三つの城跡を中心に構成。古麓城のほか、小西行長が築城した麦島城跡、加藤・細川藩政期の八代城跡、麦島城の瓦を焼いた平山瓦窯跡を含む。中世から近世にかけての肥後南部の権力と築城技術の変遷が一体的に理解できる点が評価され、2014年に一括して国史跡に指定されました。中村博生市長は「古麓城跡周辺には、八代妙見祭が行われる八代神社がある。それぞれの文化財の保存と活用、連携を行いながら、歴史と文化のまちづくりを進めたい」とのコメントを出しました。

⑫女性らへの暴力根絶を!紫のツリー「森都心」に

熊本市西区春日のくまもと森都心プラザ1階の広場に、紫色に輝く高さ4.2メートルの「パープルツリー」がお目見えしました。25日まで毎日午後17時~同22時に明かりがともされます。

女性らに向けられる暴力の根絶を目指す国際的な運動「パープルリボンプロジェクト」の啓発として、ボランティア団体「国際ソロプチミスト熊本すみれ」が毎年設置。暴力根絶の象徴パープルリボンと、紫のLEDで彩られています。

熊本すみれの福田邦子会長(73)は「暴力に我慢している弱い立場の人は勇気を持って相談してほしい」と話していました。

⑬新米「森のくまさん」初出荷!JAかみましき

上益城地域で収穫した新米「森のくまさん」の初出荷が昨日18日、嘉島町のJAかみましき嘉島支所でありました。

同地域は、熊本地震で農地や用水路に大きな被害を受けました。同JAの梶原哲(さとる)組合長は出発式で、「一時は各地で田植えが危ぶまれたが、地域を挙げた復旧活動で無事に収穫を迎えられた。中山間地は来季も影響が残りそうだが、一日も早い復旧を願いたい」とあいさつ。県の独自基準で最高のSランクの評価を得た玄米10トンを積んだトラックを見送りました。

同JAは森のくまさんを、化学肥料や農薬の使用を抑えた「特別栽培米」として生産。地震で大豆への転作が進んだため、ことしの作付面積は前年より46ヘクタール少ない533ヘクタールでした。米穀卸の「熊本パールライス」(菊陽町)などを通じて約3200トンの出荷を見込んでいます。

2.ここ一週間の地震

2016/11/19 11:52 19日 11:48頃 和歌山県南部 4

2016/11/19 09:36 19日 09:31頃 秋田県内陸北部 1

2016/11/18 12:43 18日 12:40頃 茨城県北部 2

2016/11/18 12:13 18日 12:07頃 鹿児島県大隅地方 1

2016/11/18 11:50 18日 11:45頃 鳥取県中部 1

2016/11/18 10:23 18日 10:19頃 福岡県北西沖 3

2016/11/18 09:18 18日 09:15頃 熊本県阿蘇地方 2

2016/11/17 21:46 17日 21:42頃 鳥取県中部 2

2016/11/17 16:32 17日 16:29頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/17 15:53 17日 15:50頃 岩手県沖 1

2016/11/17 15:07 17日 15:04頃 熊本県熊本地方 2

2016/11/17 12:03 17日 12:00頃 奄美大島近海 1

2016/11/17 11:04 17日 11:00頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/17 07:42 17日 07:38頃 山梨県東部・富士五湖 1

2016/11/17 01:52 17日 01:49頃 徳島県南部 1

2016/11/17 01:06 17日 01:02頃 千葉県北西部 2

2016/11/16 23:25 16日 23:22頃 鳥取県中部 1

2016/11/16 18:58 16日 18:55頃 宮城県沖 2

2016/11/16 17:20 16日 17:17頃 鳥取県中部 2

2016/11/16 15:23 16日 15:19頃 鳥取県中部 1

2016/11/16 11:28 16日 11:24頃 鳥取県中部 2

2016/11/15 23:30 15日 23:27頃 山梨県東部・富士五湖 1

2016/11/15 22:50 15日 22:47頃 釧路地方中南部 2

2016/11/15 22:44 15日 22:41頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/15 19:43 15日 19:36頃 釧路地方中南部 1

2016/11/15 17:48 15日 17:44頃 熊本県熊本地方 2

2016/11/15 17:33 15日 17:30頃 熊本県熊本地方 2

2016/11/15 10:57 15日 10:54頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/15 08:18 15日 08:15頃 鳥取県中部 1

2016/11/15 01:49 15日 01:46頃 石川県能登地方 2

2016/11/15 01:19 15日 01:15頃 茨城県沖 3

2016/11/15 00:21 15日 00:16頃 和歌山県北部 1

2016/11/14 23:55 14日 23:52頃 宮城県北部 1

2016/11/14 02:51 14日 02:48頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/13 23:05 13日 23:02頃 福島県浜通り 1

2016/11/13 06:35 13日 06:32頃 熊本県熊本地方 2

2016/11/13 04:56 13日 04:49頃 熊本県熊本地方 1

2016/11/13 01:36 13日 01:33頃 熊本県阿蘇地方 1

2016/11/13 00:49 13日 00:46頃 宮城県沖 1

2016/11/12 23:40 12日 23:37頃 長野県北部 1

2016/11/12 21:23 12日 21:19頃 神奈川県西部 2

2016/11/12 16:04 12日 16:01頃 宮城県沖 1

2016/11/12 09:34 12日 09:30頃 トカラ列島近海 1

2016/11/12 07:30 12日 07:25頃 与那国島近海 2

2016/11/12 06:53 12日 06:43頃 宮城県沖 4

2016/11/12 06:48 12日 06:43頃 宮城県沖 4

2016/11/12 02:58 12日 02:55頃 熊本県熊本地方 2

2016/11/12 02:45 12日 02:41頃 栃木県南部 2

(続く)

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