スウェーデンのポップグループABBAによるヴァーチャル・コンサート体験「ABBA VOYAGE」をオーストラリアに招致する計画は、どうやら頓挫した模様です。
このプロジェクトは2022年5月に初演され、ビヨルン・ウルヴァース、ベニー・アンダーソン、アンニ=フリード・リングスタッド、アグネタ・フェルツクグの4人による、40年ぶりの“ステージ復帰”を果たしました――もっとも、それはデジタル・ABBAター(“ABBAター”)としての登場でした。
ABBAは1982年に活動停止して以降、数々の再結成のオファーを断り続けてきましたが、このヴァーチャルなライブ体験によって、現代の観客もABBAのステージを疑似的に体験できるようになりました。2022年にロンドンでスタートしたこの没入型のスペクタクルショーでは、1979年当時のABBAが10人編成の生バンドと壮大な照明演出をバックに代表曲を披露します。
現在のロンドン公演は2026年2月1日までの開催が予定されており、その後どこで上演されるのか、あるいは延長されるのかが注目されています。最近ではラスベガス公演の可能性も報じられていますが、実は2023年からオーストラリア版の交渉も進められていました。
当初はシドニーとメルボルンの両都市が開催地として名乗りを上げており、最終的にはビクトリア州政府が「高度な交渉」に入ったことにより、メルボルンが有力視されていました。
2024年5月には、メルボルンのフレミントン競馬場での上演が正式発表されるとの報道もありましたが、その後交渉が難航しているという報道に取って代わられました。ある匿名の政府関係者は、主催側(メルボルンを拠点とするクレイグ・ハーテンスタインCEOを含む)が「欲張りすぎた」と語ったとされています。
そしてこのたび、ヘラルド・サン紙が「交渉は決裂し、メルボルン公演は実現しない」と報じました。交渉決裂の理由は、公費支出の妥当性と経済効果をめぐる議論だったと見られています。
報道によれば、ABBA VOYAGEの上演には3,000席規模の専用会場の新設が必要で、総費用は1億豪ドル(約108億円)に上る見込みだったそうです。
1977年にABBAをオーストラリアに初めて招いた実績を持つ、プロモーターTEG Dainty社の社長兼CEOポール・デインティは、このニュースに対して「非常に残念だ」とコメント。
「長い道のりでしたが、『ABBA VOYAGE』は非常にコストのかかるプロジェクトなんです。いつかまた機会があれば再検討したいですね」と語りました。
ABBAヴォヤージュがオーストラリア経済にどの程度の恩恵をもたらすと予測されていたかは明らかではありませんが、2024年12月に発表された経済・社会的影響レポートによれば、2022年5月の開幕以来2年間でABBAヴォヤージュは英国経済に14億ポンド(約2,800億円)以上の経済効果をもたらしたとのことです。
https://www.yahoo.com/entertainment/articles/talks-reportedly-failed-efforts-bring-060253723.html