ABBAの全アルバム、ワーストからベストまでランキング

1970年代、そして1980年代初頭にかけて、ABBAは世界中で非常に大きな存在でした。そして、1973年から1981年の間にほとんどのABBAのアルバムが発表されたにもかかわらず、その音楽は決して消えることがありませんでした。その後に出た唯一のアルバムは、2021年という意外な年に発表されましたが、彼らが生み出した最高の楽曲は今も生き続けています。ミュージカル(そして後に映画にもなった)『マンマ・ミーア!』がそれをさらに後押ししました。

主要メンバー4人は、アンニ=フリード・リングスタッド、ベニー・アンダーソン、ビヨルン・ウルヴァース、アグネタ・フェルツクグで、4人の名前の頭文字をこの順番に並べると……「アバカダブラ」になります。

ABBAの音楽は他の映画でも効果的に使われており、その結果「ABBAはもう聴き飽きた」と感じる人もいるかもしれません。しかし、良質なポップスはやはり良質なポップスであり、ABBAのディスコグラフィーの多くは実に素晴らしいポップで構成されています。ABBAはアルバムというよりもシングル曲で評価されるバンドですが、それでも全曲を聴く価値のあるアルバムも存在し、また隠れた名曲もあります。全体で9枚しかないため消化しやすいディスコグラフィーです。以下に、ワーストからベストへとランキングします。

9位 『リング・リング』(1973年)

『リング・リング』は、ABBAのディスコグラフィーの中では、後に続く傑作と比べて弱い「デビュー作シーズン」のようなアルバムです。例えるなら、全体的にはイマイチだけど、パイロット版(=タイトル曲「リング・リング」)は良かった、そんな印象です。
タイトル曲「リング・リング」はABBAの代表的なキャッチーさを持つ楽曲で、1960年代のガールズ・グループ(ロネッツやシュープリームス)に通じる優れたポップの雰囲気を漂わせています。しかし、それ以外の曲は微妙で、「ピープル・ニード・ラヴ」はやや過剰、「ニーナは、かわいいバレリーナ」は耳に残るけれど、心地よいというより鬱陶しい類のものです。

8位 『恋のウォータールー』(1974年)

『恋のウォータールー』は、ほとんどタイトル曲のためのアルバムですが、『リング・リング』よりも一歩進んでいます。もうひとつの注目曲「ハニー、ハニー」もあり、これが2曲目に配置され、アルバムの両面の冒頭を「恋のウォータールー」と「ハニー、ハニー」で飾る形になっています。
しかし、それ以外の曲は凡庸からまずまずといったところ。のちのアルバムでアイデアが洗練され、より良い形で実現されていきます。ちなみに、ベーシストのマイク・ワトソンがナポレオンの格好をして背中を向けて写っている、バンドで一番笑えるジャケットかもしれません。

7位 『ヴォヤージ』(2021年)

40年ぶりに登場したアルバム『ヴォヤージ』は、そもそも存在していること自体が驚きでした。ホログラムを使ったショーとの関連性など、その存在の特異さばかりが語られがちですが、音楽自体は「まあまあからなかなか良い」レベルです。
往年の全盛期と比べるとやはり見劣りしますが、決して惨敗ではなく、むしろ良い出来といえるでしょう。「ドント・シャット・ミー・ダウン」と「アイ・スティル・ハヴ・フェイス・イン・ユー」はしっかりとした楽曲であり、「キープ・アン・アイ・オン・ダン」は奇妙ながら記憶に残ります。その他の楽曲は印象が薄いものもありますが、ABBAファンなら十分に「乗る価値のあるヴォヤージ」です。

6位 『ABBA』(1975年)

アルバム『ABBA』の突出した楽曲は驚異的に素晴らしく、だからこそこの順位は低く感じるかもしれません。冒頭の「マンマ・ミーア」で幕を開けますが、その後に「エス・オー・エス」が登場し、当時のABBAにとって最高の曲でした。
他には「アイ・ドゥ・アイ・ドゥ」がややしつこいものの良質なポップで、「ロック・ミー」はチーズっぽいながら楽しい曲。結局このアルバムは「マンマ・ミーア」と「エス・オー・エス」の二大曲に尽きるといえます。

5位 『スーパー・トゥルーパー』(1980年)

アルバム全体として安定感に欠ける部分があるものの、突出した曲の存在が光ります。「ザ・ウィナー」と「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」は、ABBA嫌いを自認する人でも心を揺さぶられる可能性がある名曲です。
タイトル曲「スーパー・トゥルーパー」も知られていますが、ディスコグラフィーの中では弱めの部類。ただし他の曲と比べても埋もれてはいません。全体を通すと、「ザ・ウィナー」と「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」の2曲が圧倒的です。

4位 『ヴーレ・ヴー』(1979年)

『ヴーレ・ヴー』では、ABBAは本格的にディスコ路線に突入しました。タイトル曲や「イフ・イット・ワズント・フォー・ザ・ナイツ」がその代表で、同時期の「サマー・ナイト・シティ」や「ギミー!ギミー!ギミー!」もディスコ色の強い曲です。
後者がアルバム本編に含まれていないのは不思議ですが、それはABBAがシングル中心のバンドであったことの証左でもあります。それでも『ヴーレ・ヴー』は完成度が高く、特に「エンジェルアイズ」など、今も愛される曲を含んでいます。

3位 『ジ・アルバム』(1977年)

『ジ・アルバム』は、ポップながら少しプログレッシブな要素を持ち込んだ作品です。最後の3曲を組曲的に扱えば、アルバム全体は長尺の楽曲で占められ、通常の3分前後のポップの枠を超えた冒険が感じられます。
それでもポップの魅力を失わず、アルバム全体として力強く、最初から最後まで満足できる一枚です。ABBAの典型的なポップ感と同時に、少し大胆な一面も味わえる作品といえます。

2位 『ザ・ヴィジターズ』(1981年)

『ザ・ヴィジターズ』は、『ヴォヤージ』が登場するまでの40年間、最後のABBAアルバムとして存在していました。エネルギッシュなポップで知られるバンドが暗いトーンに挑戦した作品で、それがむしろ評価につながっています。
冒頭3曲「ザ・ヴィジターズ」「ヘッド・オーヴァー・ヒールズ」「ホエン・オール・イズ・セッド・アンド・ダン」は特に印象的で、ラスト2曲「スリッピング・スルー」「ライク・ア・エンジャル~夢うつろ~」も不思議な余韻を残します。
メンバー間の離婚劇が影響したとも言われ、フリートウッド・マック的な人間関係の反映が音楽に現れています。全体的に一貫性があり、聴きやすいアルバムです。

1位 『アライヴァル』(1976年)

『アライヴァル』がABBAの最高傑作とされるのは当然でしょう。このアルバムには「ダンシング・クイーン」が収録されていますが、これはABBAにとって、そしてポップ史においても最高の一曲です。そして「ノーイング・ミー、ノーイング・ユー」も次点に並ぶ名曲です。
しかし、『アライヴァル』の真価はこれらハイライトだけに頼らない点にあります。タイトル曲「アライヴァル」は過小評価されており、「ホエン・アイ・キスト・ザ・ティーチャー」は音楽的に素晴らしい(歌詞はやや問題あり)。「マネー、マネー、マネー」は言うまでもなく名曲。さらに「ダム・ダム・ディドル」や「タイガー」といった軽妙な曲も楽しめます。
「マイ・ラヴ、マイ・ライフ」はやや弱いものの、「ダンシング・クイーン」の後に置かれたために相対的にそう感じられるだけです。もしベスト盤から始めないのであれば、『アライヴァル』こそABBAのディスコグラフィーを掘り下げる最初の一枚に最適です。げることもできますが、いかがいたしますか?

https://collider.com/every-abba-album-ranked/

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