オーストラリアのミュージシャンで作家の ジョー・マテラ は、
『The Making Of ABBA – The Story Behind The Band’s 1975 Breakthrough Album(ABBA制作秘話:1975年の飛躍的アルバムの物語)』 を、2025年10月30日に発売する予定である。本書は、スウェーデンの4人組をヨーロッパの人気バンドから世界的ポップ・イノベーターへと押し上げたこのアルバムを、詳細に探究する一冊となっている。
本書は、ABBAのセルフタイトルによる 3作目のアルバム が持つ創作的、音楽的、そして歴史的な歩みをたどる内容となっており、バンドのサウンドを決定づけ、1970年代後半にかけての国際的躍進への道筋を切り拓いた重要作であることを描いている。
マテラの書籍は、このアルバムに参加した複数のミュージシャンへの 新たに実施されたインタビュー をもとに構成されている。また、最初期の作曲セッションから、スウェーデン国外での本格的ツアー開始期に至るまでの、アルバム制作過程に関する 広範なリサーチ も収録されている。このプロジェクトは、発売から50年近くが経過した今なお人々の心に響き続ける作品群に、新たな視点を提供するものとなっている。
イアン・コール がジョー・マテラにインタビューを行なっており、その全文インタビューはこちらで読むことができる。
マテラは本書について、長年のリスナーとして、また現役ミュージシャンとしての両面からアプローチした と語っている。
彼は10歳のときに、テレビ番組『Countdown』で「マンマ・ミーア」を聴き、その後、地方のビクトリア州のラジオや、メルボルンのマーケットのレコード店でこのアルバムを購入したことを振り返っている。
彼は 6.99ドルで購入したそのレコードを、今もまったく同じ現物として所有している。この幼少期の体験が、彼の生涯にわたるABBAへの情熱と、作品を音楽的に細部まで分析する力の両方を形作ったという。
マテラはまた、自身の創作における人間関係 も取材に活かしている。ABBAの複数の録音作品に参加したギタリスト ヤンネ・シャファー は、以前マテラとともに「Take A Look」や「Continental Meeting」といった楽曲で共演しており、この縁によって、ABBAのレコーディング・セッションに関する シャファーの詳細な回想に直接アクセスすることができた。
さらにシャファーを通じて、ギタリストの フィン・ショーベリ にもインタビューを実施し、彼からも当時の記憶、音楽的洞察、スタジオでのエピソードが語られている。
ベーシストの マイク・ワトソン も本書に登場し、グループ初期の代表的ヒット曲を生み出したセッション当時の視点を提供している。
マテラは、このアルバム制作と並行して行なわれていたABBAのツアー活動の重要性 も強調している。レコーディングは 1974年8月から1975年3月まで 続き、その期間中、ABBAはヨーロッパ各地のみならず、さらに広い地域を巡るツアーも行なっていた。この時期が、グループの結束力と、最終的なアルバム・サウンドの成熟に大きな影響を与えたという。
マテラはコールに対し、1974年11月に行なわれたヨーロッパ・ツアーの詳細など、これまで知られていなかった新情報を発掘した と語っている。このツアーでは、当時ヨーロッパ最大級のPAシステムのひとつを使用しており、それはスウェーデンのメーカー Hagström(ハグストロム) によって製造されたものだった。
このシステムは 40基のスピーカー、出力1万ワット にも及び、世界的スーパースターになる遥か以前から、彼らがいかに大きな野心を抱いていたかを物語っている。
ギタリストでもあるマテラは、ABBAの楽曲の作曲構造や技術的側面を何十年にもわたって研究してきた。今回の著書について語る中で、彼は 2026年に予定されている自身の著者トークイベントで、「マンマ・ミーア」と「SOS」の主要なギター・パートの構造を実演で解説する予定である ことも明かした。
これらのセッションでは、「SOS」をシンガー・ソングライター風にアレンジしたソロ・アコースティック演奏 も披露され、その旋律構造の美しさを際立たせながら、観客の参加も促す構成になる予定だという。
彼は、学術的な分析と実演パフォーマンスを融合させる点こそが、自身のブックイベントを特別なものにしている と考えている。
なお、マテラは 別のABBAアルバムについて執筆することにも前向きだが、それは本書の反響次第になる と語っている。もしシリーズを継続するなら、次の候補は『Arrival(アライヴァル)』になるだろう とも述べている。
Abba’s Landmark 1975 Album Receives New Spotlight In Joe Matera’s Definitive New Book

