音楽プロデューサーでありサイエンスライターでもあるデイヴィッド・ダーリング氏は、AI(人工知能)が進化し、伝説的スウェーデンのポップグループABBAが制作したような楽曲を、わずか30秒で生成できると明かしました。
*ベニー、アグネタ、フリーダ、ビヨルンが「ABBA Voyage」のワールドプレミアに出席(画像:Dave Benett/Getty Images)。
ダーリング氏は、AIの急速な進化により、数年後には「創造性は人間に特有のものではなくなるかもしれない」と懸念を示し、これから音楽の世界に挑もうとしている若者たちはこの状況を深刻に受け止めるべきだと述べました。
同氏は、「非常に懸念すべき事態」だとし、キャリアを始めたばかりの若手ミュージシャンたちの将来を心配していると語ります。
ダーリング氏はポッドキャスト『インスタント・ジーニアス』で次のように語りました:
「この技術は常に進化しています。どこに向かうのか、私たちには分かりません」。
*彼は、新進ミュージシャンたちはAIに対して懸念を抱くべきだと考えている(画像:AFP/ゲッティイメージズ経由)。
「でも、もし私が今、ミュージシャンとしてキャリアを始める立場だったら、あるいは他のクリエイティブな職業を目指す人だったとしても、非常に心配になるでしょうね。
だってもう、AIシステムに『ABBA風のポップソングを作って』と頼んで、いくつかのガイドラインを与えれば、それなりの曲を作ってくれるんです。
そして、それがちゃんとした曲に聞こえるんですよ。
ボーカルだって合成できるんです」。
また彼は、「AIが30秒で絵を描けるのに、誰がアーティストにお金を払うのか?」という疑問も投げかけました。
ダーリング氏はさらにこう続けます:
「政府は今こそ決断すべき時です。AIが他人のオリジナル作品を利用して新しい作品を生み出すことを、どこまで許容するのかを明確にしなければなりません」。
「将来的には、人間がまったく関わっていないのに美しい交響曲をAIが作曲する時代が来るでしょう。あるいは、誰の手も加わっていない新曲がAIによって生まれ、それがチャート1位になる可能性だってあるのです」。
「でもそれは、本当に私たちが望んでいる世界でしょうか?
それとも、AIによって作られたものには必ずラベルを付けて、聴く人がそれと分かるようにすべきでしょうか?」。
*AIが支配し始めている(画像:ゲッティイメージズ)。
「私たちはいつも、『創造性とは人間だけのもの』と考えてきました。
しかし、それも数年後には真実ではなくなるかもしれません。
今こそ判断すべき時なのです」。
「それに、これは経済的な問題でもあります。
なにせ、AIがほとんどコストをかけずに楽曲を作れるようになれば、企業は“空気から金を生み出す”ような利益を得ることができてしまうんです」。
「私たちは一人ひとりが決断しなければなりません。
AI作品を買うのを控えて、オリジナルのミュージシャンを応援するのか?
それとも、この流れを止めず、AIにすべてを任せるのか?
それはまだ未定です。私たちには、答えが分かっていないのです」。
https://www.dailystar.co.uk/news/latest-news/ai-good-can-now-knock-35323329