1979年、ABBAは「チキチータ」の印税をユニセフに寄付。45年後、その累計額は500万ドルを超え、世界中の弱い立場にある子どもたちを暴力・虐待・搾取から守る支援に
1979年に世界的なポップ・ヒットとなった楽曲が、発売から数十年を経た今も、子どもたちを守る活動の資金を生み出し続けています。
国連児童基金(ユニセフ)によると、スウェーデンのポップ・グループ、ABBAの「チキチータ」がユニセフにもたらした収益は、2024年4月までに累計500万米ドルを超えました。この資金は、弱い立場にある子どもたちを暴力、虐待、搾取から守るプログラムに役立てられています。この節目は、ABBAが同曲の印税をユニセフに寄付すると約束してから45年に当たりました。
この曲が長年にわたり支援を続けられるのは、楽曲の購入や、スポティファイ、アップル・ミュージック、ユーチューブなどのプラットフォームでの再生によって、印税が発生するためです。一度限りの寄付とは異なり、この仕組みによって楽曲は数十年にわたり資金を生み出し、暴力の被害を受けた子どもたちの保護と回復を支援するユニセフの活動を支えてきました。
ABBAによる1979年の約束は、どのように始まったのか
物語は1979年1月9日、ニューヨークの国連総会議場で開催された「ミュージック・フォー・ユニセフ・コンサート:ア・ギフト・オブ・ソング」に、ABBAが出演したことから始まります。
この催しには、ビー・ジーズ、ドナ・サマー、ロッド・スチュワート、ジョン・デンバー、アース・ウインド&ファイアーなどの著名なミュージシャンが集結。子どもの権利についての理解を広め、支援資金を募りました。ユニセフの記録によると、参加アーティストたちは、コンサートで披露した楽曲に関する権利を同団体に提供しました。
このイベントは、世界の子どもたちの福祉と権利に関心を向けるための国連の取り組み「国際児童年」を記念して開催されました。
ABBAは、ベニー・アンダーソンとビヨルン・ウルヴァースが作詞・作曲し、アグネタ・フォルツコグがリード・ボーカルを務める「チキチータ」について、将来の収益を寄付すると約束しました。同曲はその後、1979年1月にシングルとして発売され、グループを代表する楽曲の一つとなりました。
曲名はスペイン語の愛称で、「小さな女の子」「小さな愛しい子」といった意味があります。ユニセフとの結び付きによって、この曲は時を重ねるにつれ、ヒット曲としての人気を超えた、慈善活動の足跡を残すことになりました。
印税が子どもたちの保護活動へ
「チキチータ」が生み出した資金は、虐待の防止や、暴力を受けた子どもたちの支援を目的とするユニセフのプログラムに役立てられてきました。2014年、ABBAは同曲の収益をすべて、グアテマラで少女たちの権利を守るユニセフの活動に充てることを決めました。
この資金は、政府機関や自宅での心理療法や保護サービスを支援しています。ユニセフによると、印税は、虐待を受けた子どもたちを支え、性的虐待を防ぐために活動する心理士やソーシャルワーカーの給与と研修費の負担にも役立っています。
ユニセフ・グアテマラが2024年4月2日に発表した報告書は、専門的な支援を受けることが難しい遠隔地の子どもたちに、こうした活動が届けられていることを紹介しています。心理士やソーシャルワーカーが家庭を訪問し、必要に応じてプライバシーに配慮しながら支援を行なうほか、適切な保健医療サービスや児童保護サービスにつなげています。
報告書によると、アルタ・ベラパス県とバハ・ベラパス県では、心理士19人とソーシャルワーカー11人からなるチームが活動していました。多くの貧しい地域では、言語の壁、貧困、サービスへのアクセスの制約があり、子どもたちが支援を求めることを難しくしています。
活動は、個別の心理療法にとどまりません。ユニセフは、性的虐待の被害者に対応する病院施設や、地域での啓発・教育活動も支援してきました。例えば、地域に暮らす多くの先住民の子どもたちにとって重要な言語であるケクチ語を使い、虐待を防ぐための人形劇などを行っています。
支援プログラムが数千人に届く
この資金による支援は、目に見える成果を上げています。
2024年6月、ユニセフは、「チキチータ」の印税によって、グアテマラの遠隔地で虐待を受けた1,000人に支援を提供できたと報告しました。また、1万人以上が虐待の防止や阻止を目的とした治療・支援を受けました。
これらの数字は、1曲が生み出す収益が、弱い立場にある地域社会への継続的な支援につながり得ることを示しています。このプログラムは、被害者への直接的な支援と、虐待を存続させてしまう環境そのものを変えるための予防活動を組み合わせています。
ユニセフの報告書は、子どもや家族と直接関わる地域の専門職の役割にも注目しています。地域の言葉を話し、共同体の事情を理解しているため、リスクにさらされている子どもを見つけ、法的な支援や保護サービスにつなぐうえで、より適した立場にあるのです。
ユニセフは、支援は子どもが虐待を受けた後に初めて始めるものであってはならないと強調しています。同団体は、子どもたちに長期的な改善をもたらすため、地域の支援サービス、予防活動、専門職の研修、地域の支援体制へのさらなる投資が必要だと訴えています。
今も続く、音楽が残した支援の歩み
ABBAのメンバーであるビヨルン・ウルヴァースは、長期的な視点で支援に取り組むことの大切さを語ってきました。
2024年6月のユニセフ・グアテマラの報告によると、ビヨルンは2022年、グループが当初、「チキチータ」がこれほど長く、多額の資金をもたらすとは予想していなかったと述べています。そして、この曲がABBAの音楽的な遺産を超える、より大きな意義を持つようになったと語りました。
グループはまた、2021年、子どもの権利を支援するため、ユニセフへの寄付を呼びかける活動を後押ししました。これらの取り組みは、特に暴力の防止と男女平等の推進を重視しながら、子どもの権利を守るユニセフの幅広い活動を支え続けるという、継続的な意思を示しています。
この二つの楽曲は、音楽が慈善活動のための継続的な資金源となり得ることを示しています。「チキチータ」は購入やストリーミングによって今も印税を生み出しており、その意義はヒットチャートを超え、ユニセフのプログラムを通じて支援を受ける子どもたちや家族のもとへと広がっています。
当初の約束から45年がたち、この曲による支援は、数十年にわたって続けられる慈善活動が、いかに長く影響を及ぼし得るかを示す一例となっています。
報告された500万米ドルを超える印税収入は、単なる懐かしのヒット曲の節目ではありません。それは、暴力、虐待、搾取から子どもたちを守る活動への、継続的な支援を表しています。
何世代ものリスナーを通じて、この曲は、ABBAの音楽と、子どもの権利を守り、弱い立場にある地域社会のより安全な未来を築くというユニセフの使命とを結ぶ、慈善の架け橋になってきました。
音楽を取り巻く環境は、当初の発売当時からデジタル配信やストリーミングの時代へと変化しました。それでも、善意を、支援を必要とする子どもたちへの持続的なケア、希望、援助へと変えていくという、この曲の根本的な目的は変わっていません。
このことは、国際的な知名度を、チャートでの成功や娯楽だけにとどまらず、基礎的な支援や継続的な社会貢献へとつなげられることを改めて思い出させてくれます。
こうして「チキチータ」は、ABBAを代表する名曲であり続けると同時に、世界中の子どもたちに今も届き続ける、生きた思いやりのメッセージでもあるのです。
※原文には「この二つの楽曲」とありますが、掲載された画像の本文では、もう1曲の曲名は示されていません。

