ウィンターガーデン劇場の外に40本以上のピンクのボアがずらりと並んでいたら、それが意味することはただひとつ。『マンマ・ミーア!』が正式にブロードウェイに帰ってきたということ。そして、まったくもってありがたいことだ。
私の中の“調査報道記者魂”は、2023年初頭に芸術ジャーナリストのバズ・バミグボイ(※)が「今年『マンマ・ミーア!』が再演されるかもしれない」と報じて以来、ずっと待ち続けてきた。この27か月間、私はじっと辛抱強くその時を待ち続けていた。そしてついにその週末、ミッドタウンにABBAの美しい旋律が響き渡った瞬間、そのすべてが報われたのだった。
*『マンマ・ミーア!』の出演者たち|写真:ジョーン・マーカス
この愛すべきジュークボックス・ミュージカルが初めて登場したのは1999年のロンドン。演劇プロデューサーのジュディ・クレイマーが、スウェーデンのポップグループABBAの楽曲をもとに、キャサリン・ジョンソンに脚本執筆を依頼したのが始まりだった。演出にはフィリダ・ロイドが参加し、そこから歴史が始まった。このミュージカルはロンドンでは今も上演が続いており、昨年夏には通算10,000回目の公演を迎えた。
ブロードウェイでは2001年10月にウィンターガーデン劇場で初演。2013年にブロードハースト劇場へと移り、約14年間のロングランを果たし、ブロードウェイ史上最長のジュークボックス・ミュージカルとなった。
そして土曜の夜、その初プレビュー公演に入場するためウィンターガーデン劇場へ足を踏み入れたとき、開演前には不思議と静寂の波が流れていた。まるで観客全員が「本当に『マンマ・ミーア!』がブロードウェイに戻ってくるのだ」という事実を内心で噛みしめていて、まだ現実として実感できていないかのようだった。
*ブロードウェイ版『マンマ・ミーア!』の全キャスト|写真:ジョーン・マーカス
序曲の最初の一音が鳴った瞬間、会場はメットライフ・スタジアムの大規模コンサートにも匹敵するような大歓声に包まれた。ミュージカルはそのまま勢いよく進行し、舞台上の俳優たちと観客の間に、演劇ならではの特別な絆が生まれていた。俳優たちはすべてを注ぎ込むような演技を見せてくれたし、私たち観客もそれに全力で応えていた。
土曜がこれほどまでに特別だったのは、この公演で25人もの俳優がブロードウェイデビューを果たしたという事実があったからだ。その多くが土曜夜のステージで正式にデビューを迎えたのだ。カーテンコールのメガミックス(フィナーレでのダンスパーティー)は、いつだって最高に盛り上がる場面だが、この夜は特に、俳優たちの目に涙が浮かび、「夢が叶う瞬間」を目の当たりにしているその特別さを誰もが感じていた。
休憩中、私は母娘のペアを見かけた。彼女たちは、そしてこれは冗談ではなく、大量のグッズが詰まったバッグをいくつも抱えて席に戻ってきた。目的はグレイシー・エイブラムスのマディソン・スクエア・ガーデンでのライブだったが、『マンマ・ミーア!』の再演を知って予定を延ばし、いち早く観るためにチケットを取ったのだという。彼女たちはABBAの大ファンで、グッズ売り場で「全種類をひとつずつ」購入したとのこと——本当に!
この作品はまさに世界的な巨大ミュージカルだ。世界中のあちこちで、毎日どこかで上演されている。その音楽はあまりにもキャッチーで、素晴らしい夜を過ごさずにはいられない。劇場ジャーナリストとして私がよく聞かれる質問は「どこへ行けば楽しい気分になれる?」というものだが、その答えはいつだって『マンマ・ミーア!』だ。
このショーは8月14日にウィンターガーデン劇場で正式オープンを迎え、現在は2026年2月までのチケットが販売中。正直に言えば、もし私に決定権があるなら、この作品は二度とブロードウェイから去ってほしくない。
だから、女友達を誘って、あるいはボーイフレンドでもいい。いや、誰でもいいから連れて行って、『マンマ・ミーア!』を観に行ってほしい。今ブロードウェイで体験できる、最高に楽しい夜が、そこに待っているのだから。
※バズ・バミグボイ(Baz Bamigboye)とは、イギリスを拠点とする著名なエンタメ・芸能ジャーナリストです。特に舞台・映画業界の内部情報に精通しており、信頼性の高いスクープ記者として広く知られています。
https://www.theatrely.com/post/mamma-mia-bursts-back-onto-broadway-on-the-scene-report