オランダの裁判所、ABBAに着想を得たカーニバル曲のパロディー抗弁を退ける

カーニバル・バンドの「C.V.デ・カポッテ・カッヘルス」(以下、カポッテ・カッヘルス)は一か八かの勝負に出ましたが、成功しませんでした。

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7月29日、オランダのミデン・ネーデルラント地方裁判所は、カポッテ・カッヘルスとユニバーサル・ミュージック・パブリッシングB.V.(以下、ユニバーサル)との紛争について、注目を集めていた判決を言い渡しました。

裁判所は、楽曲「ディッケ・ペンス」(「太鼓腹」)について、オランダ著作権法上のパロディー例外には該当しないと判断しました。また、ストリーミング・プラットフォーム上で同曲を商業的に利用することを正当化するために、パロディー例外を援用することはできないと認定しました。

ABBAの「テイク・ア・チャンス」のパロディー

カポッテ・カッヘルスは、ABBAの「テイク・ア・チャンス」のメロディーを使用し、原曲の歌詞をすべて新しい歌詞に置き換えて「ディッケ・ペンス」を録音しました。

この曲は肥満を称賛し、太っていても幸せな人生を送ることを題材にした冗談を歌っています。Spotifyをはじめとするストリーミング・サービスで配信されたほか、バンドはライブでも演奏しています。

ABBAの音楽作品に関する権利を管理するユニバーサルは、「テイク・ア・チャンス」の著作権を侵害しているとして、オンライン・プラットフォームから同曲を削除させました。

これに対し、カポッテ・カッヘルスは削除措置に異議を申し立て、「ディッケ・ペンス」はオランダ著作権法第18b条に基づく合法的なパロディーであると主張しました。バンドは、ストリーミング・プラットフォームで同曲を再配信できるようにするため、法律上のパロディー例外に該当することを確認する判決を裁判所に求めました。

両当事者は、「ディッケ・ペンス」が実際に「テイク・ア・チャンス」のパロディーであることについては合意していました。

争点となったのは、この曲がオランダ著作権法上、許容されるパロディーに該当するかどうかでした。裁判所は、この問いに否定的な判断を示しました。

オランダのパロディー例外

オランダ著作権法第18b条は、著作物の使用がパロディーに該当し、かつ、社会通念上の基準に照らして合理的に許容できる場合、その使用は著作権侵害には当たらないと定めています。

オランダのパロディー例外は、欧州連合司法裁判所による「デックメイン判決」に照らして解釈しなければなりません。同裁判所が示した次の3つの要件が満たされれば、パロディー例外を有効に援用できます。

  1. 既存の著作物を想起させながらも、その著作物とは明確に異なるものであること
  2. ユーモアまたは嘲笑を表現していること
  3. 著作権者の権利とパロディー制作者の表現の自由との利益衡量が、パロディー制作者側に有利となること

両当事者は、最初の2つの要件が満たされていることについては合意していました。しかし、3番目の要件については、裁判所が利益衡量を行って判断する必要がありました。

なぜ利益衡量はユニバーサル側に有利となったのか

裁判所は、パロディー例外が適用されないと結論づけるにあたり、次のような要素を検討しました。

  • 「テイク・ア・チャンス」のメロディーが、「ディッケ・ペンス」の全編を通じて使用されており、同曲の実質的かつ容易に認識できる要素になっていること。ABBAは世界的に有名であるため、このメロディーは一般の人々にも即座に認識されるものでした。
  • カポッテ・カッヘルスには、この作品を利用する明確な商業的利益があること。ストリーミング・サービスで同曲を配信すれば、直接的な収益が得られるだけでなく、バンドの知名度も高まります。それによってバンドが宣伝され、ライブ出演の機会が増えるため、間接的な収益にもつながります。
  • オンライン配信が一時的でも付随的でもなかったこと。世界中のストリーミング・プラットフォームで期間を限定せずに配信することにより、バンドは原曲を継続的に商業利用していました。
  • ABBAには、自らの音楽と第三者のコンテンツとの関連づけを管理する利益があること。裁判所によると、「ディッケ・ペンス」は「テイク・ア・チャンス」およびABBAとの永続的な結びつきを生じさせます。一方、ABBA側は、この曲の歌詞やメッセージと関連づけられることを望んでいないと明確に示していました。

重要な点として、裁判所は、カポッテ・カッヘルスの表現の自由が全面的に制限されたわけではないとも認定しました。ABBA側は、「ディッケ・ペンス」をオンラインではなく、ライブで演奏することについては異議を唱えていませんでした。

裁判所は、この点によって同曲のオンライン配信を制限することによる影響が軽減されると判断しました。

最後に裁判所は、カポッテ・カッヘルスが主張した、より広範な社会的観点からの議論も退けました。

ほかに多数のパロディー作品が存在することは、この事件を個別に法的評価するうえでは関係がないと判断しました。また、今回の判決が将来のパロディー制作を萎縮させる可能性についても、今回の利益衡量の結果に影響を与えるものではないとしました。

結論と判決の重要なポイント

今回の判決は、オランダ著作権法のもとでは、パロディーとしての基本的な要件を満たしているだけで、著作権侵害の主張から自動的に保護されるわけではないことを強調しています。

既存の著作物を明確に想起させ、ユーモアや風刺を目的としている作品であっても、裁判所は著作権者の利益とパロディー制作者の利益を比較衡量しなければなりません。

今回、裁判所は次の事情を重視しました。

  • 「ディッケ・ペンス」が商業目的で利用されていたこと
  • 世界中で配信されていたこと
  • 配信期間に制限がなかったこと
  • ABBAの広く知られたメロディーが大幅に使用されていたこと
  • ABBAには、この曲との関連づけを避ける正当な利益があったこと

これらの事情は、バンドが主張した表現の自由よりも重いと判断されました。その結果、パロディー例外を有効に援用することはできませんでした。

カポッテ・カッヘルスが敗訴したため、裁判所はバンドに対し、ユニバーサルの訴訟費用を支払うよう命じました。

バンドはクラウドファンディングで集めた2万5,000ユーロを、ユニバーサルへの支払いと、自分たちの訴訟費用のごく一部に充てることができます。

一か八かの勝負が報われることもありますが、結局、自分自身を傷つける結果になることもあるのです。

https://www.winstontaylor.com/insights/dutch-court-rejects-parody-defense-for-abba-inspired-carnival-song

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