現代ミュージカルにおいて、『マンマ・ミーア!』が現象的な作品であることは言うまでもありません。
スウェーデンの作曲家レジェンド、ベニー・アンダーソンとビヨルン・ウルヴァースによる、忘れがたく魅力的で心に残るヒット曲の数々に、誰が抗えるでしょうか。
*『マンマ・ミーア!』UKツアー2025–26
(画像:ブリンクホフ=モーゲンブルク)
そして今回、ヴェニュー・カムリで幕を開けたこの最新プロダクションは、まさに圧巻の一言に尽きます。
ギリシャの登場人物たちを演じるキャストの中心には、素晴らしいリディア・ハントがいます。彼女は、結婚を目前に控え、自分の父親の正体を探す心優しいソフィ・シェリダンを見事に演じています。
その父親候補として登場するのは、魅力的なルーク・ジャズタル演じるサム、子どものような純真さが印象的なリチャード・ミークのハリー、そして大胆で風変わりな旅行作家ビルを生き生きと演じるマーク・ゴールドソープです。
かつて彼らはそれぞれのアフロディーテともいえる存在、ドナ・シェリダン(圧巻のジェン・グリフィン)に夢中になっていましたが、21年の時を経てもなお彼女に心を奪われ、そして自分が父親である可能性に驚きと期待を抱いています。
この元恋人たちに加え、ドナの元バンド仲間であるターニャ(サラ・アーンショー)とロージー(ロージー・グロッソップ)が加わり、女性パワー全開のコミカルな魅力で、観客は「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」の冒頭から「恋のウォータールー」のアンコールまで、すっかり彼らの虜になりました。
青と白を基調としたシンプルな舞台装置と、「スーパー・トゥルーパー」に匹敵するほど印象的な照明が、力強く繊細でありながら見どころ満載のパフォーマンスを見事に引き立てています。
思わず声を出して笑ってしまう名場面も数多くありました。例えば、アーンショーが自信満々な若い求婚者エディ(イーサン・ケイシー=クロシアー)を「ダズ・ユア・マザー・ノウ」で見事にやり込める場面、アーンショーとグロッソップが「チキチータ」でドナを慰めようとするユーモラスなシーン、そして何よりもグロッソップとゴールドソープによる「テイク・ア・チャンス」でのドタバタしたキス追いかけシーンは圧巻でした。
一方で、心に響く感動的な場面も用意されています。ハントとグリフィンによる「スリッピング・スルー」、そしてグリフィンとジャズタルによる「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」と「ザ・ウィナー」は、切なくも生々しい感情を見事に表現していました。
さらに驚きだったのは、あまり知られていない楽曲「アンダー・アタック」に合わせた幻想的でやや不気味なサイケデリック・ドリームシーンです。これは結婚前夜のソフィと、婚約者スカイ(ジョー・グランディ)を巡る印象的な演出でした。
キャスト全員が海辺のこの劇場でのデビューを心から楽しんでいるようで、最後のカーテンコールまで終始ハッピーな雰囲気を保ち続けました。
ランドゥドノの観客は、プラットフォームシューズなど必要ないほど立ち上がり、ふさわしいスタンディングオベーションを送りました。
この魅力的で楽しいショーにぜひ挑戦してみてください。きっと後悔はしないでしょう。
『マンマ・ミーア!』は今週、4月25日(土)までヴェニュー・カムリ(※)で上演中です。
※ヴェニュー・カムリとは
ヴェニュー・カムリ(Venue Cymru)は、
イギリス・ウェールズのリゾート地ランドゥドノにある大型の劇場・コンサートホール複合施設です。
■ 基本情報
- 所在地:ランドゥドノ(ウェールズ北部・海沿い)
- 施設種別:劇場+コンサートホール+会議施設
- 特徴:海辺に面した文化施設
■ 特徴
🎭 大規模な舞台公演が可能
- ウエストエンド作品のツアー公演
- 『マンマ・ミーア!』などの有名ミュージカル
- コンサートやバレエなど多彩な公演
🌊 ロケーションの魅力
- 海沿い(プロムナード)に位置
- 観光地と一体化した劇場体験が可能
🎤 多目的施設
- 演劇・音楽公演だけでなく
- 展示会・イベント・会議にも対応
■ 劇場としての位置づけ
ロンドンのような常設劇場ではなく、
👉全英ツアー作品が巡回してくる主要会場の一つ
つまり
👉「地方都市におけるトップクラスの公演拠点」
です。
■ 『マンマ・ミーア!』との関係
今回のレビューにある公演は、
👉UKツアー版『マンマ・ミーア!』
がこのヴェニュー・カムリで上演されたものです。
ツアー公演の中でも、
観客の反応が非常に良い会場として知られています。
■ 日本との違い
日本でいうと
👉「地方都市の大ホール+商業劇場」
に近いですが、
✔ ツアーミュージカルが定期的に来る
✔ 観光地と一体化している
という点が大きな特徴です。

