(前編)『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』について「本音」で語ろう!!

気分を高揚あるいは失意させるためには、ドラッグもあれば、『マンマ・ミーア!』のエンディングもあります。そうです、2作目、『ヒア・ウィー・ゴー』のことです。オル・パーカーが脚本と監督を務め、ロマコメ界の伝説的存在であるリチャード・カーティスが協力したこの2018年の続編は、はしごから落ちて意識不明になった後に見た夢のような気分になります。そのサイケデリックでハートウォーミングなエッセンスを、単なる人間の言葉で捉えるのは難しい。死から蘇ること、偶然に妊娠すること、DIYによるリフォームと1970年代のヨーロッパでの同棲生活への頌歌でもあります。

『マンマ・ミーア!2』は、若きヒッピーのドナ・シェリダン(リリー・ジェームズ)の初期のデートの失敗が、最終的に彼女を遠く離れたギリシャの島へと導き、そこで娘のソフィ(アマンダ・セイフライド)を妊娠させ、現代では、今は亡き母親(メリル・ストリープ)の夢である、ギリシャの辺境の宿屋を開くことを実現しようとする狂騒的な試みに巻き込まれる、というストーリーを繰り返しています。世界的に有名な俳優を起用しているにもかかわらず、この作品はキャンプ的であると同時に、真面目な雰囲気を醸し出しており、コミュニティ・シアターのようなベタでハートフルなエネルギーに満ちています。

しかし、その壮大な結末はさらに魅力的で恣意的なものとなっており、時空を超え、死を超え、さらには涙を誘う30分以上のシークエンスが展開されます。例えば、シェールがどこからともなくヘリコプターでギリシャの島に到着したり、シェールがABBAの「悲しきフェルナンド」を歌った後にアンディ・ガルシアとイチャイチャしたり、リリー・ジェームズが山の上で激しい出産をしたり、メリル・ストリープ、クリスティン・バランスキー、ジュリー・ウォルターズ、コリン・ファース、ステラン・スカルスゴード、ピアース・ブロスナンがスパンデックスを着て若い世代と一緒に時空を超えて踊る即興のダンスを披露したり、ストリープの幽霊が登場したりしますが、それだけではありません。

私たちは、パーカー氏、カーティス氏、プロデューサーのジュディ・クレイマー氏、そして『マンマ・ミーア!2』に出演した多くの人々に、そもそも起こるべきではなかったと思われる続編を完成させるまでの経緯について話を聞きました。この物語には、死、誕生、監督の失敗、デジタル化された口、驚異的な量のパーティー、そしてスクリーン上ではめったに見ることのできない集団的な解放感が含まれています。

◆メリル・ストリープを殺そう
時空を超えたエンディングを実現する前に、『マンマ・ミーア!2』を映画化する上での最大のハードルは、クレイマー曰く〝続編を作るのが好きではないというストリープ〟をどうするかということでした。クレイマー、パーカー、カーティスの3人は、ストリープなしで2作目を作ることはできないと考えていました。肝心なのは、いかにして彼女を素早く、そして信じてもらえるように復活させるかということでした。これには約10年を要しました。「長くて苦しい作業でした」とカーティスは言います。

しかし事態はあっけなく決定に至りました。カーティスの娘であるスカーレット(当時20代前半)が、父親と車に乗っているときに解決策を思いついたのです。「私は『マンマ・ミーア!2』に何かよいアイデアはないかい?』と娘に尋ねました。するとスカーレットは『あるじゃん』と答えたのです。私は『私たちのようなプロが10年かかっても出てこなかったアイディアなのに、なぜそんなに早くアイディアが思いつくんだ?何言っているんだお前は?』と答えました。しかしスカーレットは言ったのです。『ハハハ、ゴッドファーザー2を参考にすればいいんだよ。〝2〟(続編)の場合、現在起こっていることもあるけど、その前にさかのぼってすべてが始まったところを見せる必要があるんじゃないの?』。なるほど、『マンマ・ミーア!2』は続編でもあるけど、前作(の設定)がなぜそうなったのか?その前にさかのぼればいいんだ。例えば1979年のヤング・ドナがどうだったかを見せるとか」しかし、最大の問題はメリル・ストリープをどうするかでした。「そうか、〝彼女を殺しちゃえ〟ばいいんだ」。ドナ・シェリダンは、原因不明のまま画面外で亡くなりました。パーカーは『Business Insider』で次のように語っています。「死因は、さまざまな異なるドラフトに盛り込みました。しかし『ガン』という言葉を使うと、それが映画全体に暗い影を落とすからやめようと。そこで、アマンダやピアースと、ドナが亡くなるまでの経緯や時間についてどうしようか話し合いました。登場人物たちがそれに慣れるまでの時間があるのは、それが起こっている間だと皆が感じました。突然ではなく、溺死とかでもなかった。だから、何かゆっくりとした感覚が必要かと」。

オル・パーカー(監督・脚本家):メリルが出演していないこの映画を受け継いだので、彼女を殺すのは私のアイデアでした。私は「彼女を殺して、ゴーストとして歌を歌わせるしかない」と考えました。プロデューサーたちは、作品の雰囲気にそぐわないので、明らかに懐疑的でした。

プロデューサー、ジュディ・クレーマー:ああ、それはひどい。でも、私たちは勇気を出さなければなりませんでした。

リリー・ジェームズ(ヤング・ドナ):彼女が(映画の中で)実際に亡くなったことを、私は積極的に忘れていたようです。ああ、恐ろしい。どうしてあんなことができるの?彼らはバカか?

パーカー:当初、脚本には、彼女がフィリピンで足止めされ、コリンのゲイの結婚式に間に合わないという様々なバージョンがありました。でも、彼女が出演しないのであれば、脚本を変更しなければなりません。

リチャード・カーティス:(ストーリー共同脚本家):私たちは、ハワイへの長期旅行よりも死の方が良いと考えました。

クレーマー :ソープオペラのような死ではありませんでした。曲がその決断に導いてくれたのです。つまり、この作品はオデッセイの物語なんです。ギリシャ悲劇のような要素もありますね。

◆I’m Cher, Bitch
ストリープの運命が決まった後、パーカーとカーティスは、インターネットのないカーティスの庭にある「小さな羊飼いの小屋」で1週間過ごし、パーカーが実際の脚本を書くときに使った付箋紙の束に、映画の曲やシークエンスを書き込んでいきました。カーティスは「パーカーが脚本の良いところを全部書いてくれたので、私はその後、少しずつ書き直したり、移動させたりして手伝ったんです」と語っています。彼らは完成した脚本をメリルに送りましたが、彼女が「ゴーストにはなりたくない」と言えば、すべてが頓挫してしまうことはわかっていました。しかし、彼女は全力を尽くしました。他の皆もそうでした。「皆、2作目に戻ってくるとは思っていなかったと思うよ。ステランは『2作目をやる頃には死んでいるだろう』と言っていましたからね。ですから2作目が決まった時はすぐにメンバーに呼びかけました。コリンはオリジナルから『なぜこんなに時間がかかったんだ』と言っていました。パーカーとカーティスは、最終幕のサプライズを固めることを考え始めました」。

パーカー:メリルがいなくなると、最終幕に何か大きな変化が必要になります。私たちはリストを作成しました。

カーティス:私たちは、ルビーのためにすぐに頭に浮かんだ女優をポストイットに4枚書いていましたが、シェールが1番でした。

パーカー:輝かしいロックスターのリストもありましたね。デビー・ハリー、クリッシー・ハインド、そしてスティービー・ニックスです。また、ブロードウェイのリストには、ベット・ミドラー、バーブラ・ストライサンド、パティ・ルポーンが入っていました。でも、その両方を兼ね備えた人はいませんでした。「悲しきフェルナンド」を使うことに決まったとき、リチャードは「誰が歌うべきか」と言いだしました。私は、”そうだな……シェールにしよう “と思いました。実は脚本に「これはシェールだ」と書いてあったんですけどね。

クレイマー:第1作目の話に戻りますが、私はシェールに会ってターニャを演じてくれないかと頼んだことがあります。その役はクリスティーン・バランスキーが演じました。でも、彼女はいつも私の心の中にいました。

カーティス:確かに、シェールとはとても奇妙な会話をしました。ただ、「とても奇妙な」というのは、それがシェールだったからです。私はシェールを知っていましたが、とても奇妙なことに、ネットで調べてみると、私たちのチャリティ団体は、ザ・ジャッズの『Love Can Build A Bridge』という曲を、シェール、ネネ・チェリー、ザ・プリテンダーズのクリッシー・ハインドと一緒に作って、ここで1位になっていたんですよ。だから、私は実際にシェールと1週間一緒に過ごしたことがあるのです。彼女が覚えていたかどうかは分かりませんが、彼女からあの時「今日のことは覚えておくべきだ」と言われたんですよ。だから、彼女がこの映画への出演を考えようとしていたとき、私と彼女とオルは、この役がどうなるかについて3人ですぐに話し合えました。

ハリウッドの大スターとは不思議なものである。彼らが話をすると言った瞬間に、5分の4は「うん」と言ってしまう傾向があるようです。ジュリア・ロバーツと『ノッティング・ヒル』の話をするために飛行機にランチしたことを覚えていますが、もしランチの目的が「ノー」と言うことだったら、この話は頓挫していましたね。ですから、その時点でシェールはかなり乗り気だったのではないでしょうか。

パーカー:実はシェールには4回ほど断わられているのです。最初の3回断られたときは、とてもショックでした。私は何度も脚本を送りました。「あなたは自分がやっていることをまだ理解していないようですね」と言いました。ある時、彼女は脚本を読まずに断っていたことに気が付きました。私は「すみません、あなたは多分読んでいないと思いますが、脚本を読んでから返事してほしいのです」と言いました。そうすると、また丁寧にお断りの返事が来たのです。若いキャストに「またダメだったよ」と伝えたことを覚えています。何の根拠もなく、ただ「シェールじゃないとだめだ」と周りには言い張ったのです。何の根拠もなく、そう思ったのです。私は、シェールの大親友で、かつて彼女のエージェントを務め、ユニバーサル社のトップの一人でもあったロンに連絡を取りました。ジュディ・クレーマーは語ります。「ロンは1作目でシェールを出演させようとしたけど、失敗に終わった。でも〝2〟で再度、シェールに出演をお願いしたのです」。その後、シェールはあらゆるインタビューの中で「彼は私に電話をかけてきて、『きみははマンマ・ミーア!2に出るんだ』と言って電話を切ったんですよ』と言っています。そうです、ユニバーサルの人間がシェールに電話して『きみはマンマ・ミーア!をやるんだ』と言って電話を切ったのです」。

シェールはとても厄介な人に思えました。話をするときは緊張しないのですが、交渉するときは神経をすり減らしましたね。撮影の2日前くらいにようやく彼女が大勢のマネージャーや関係者を引き連れてやってきました。ボノのフライゴーグルのような巨大な黒メガネをかけていました。彼女が私に手を差し出してきたのでびっくりして「手にキスすることしかできません。とても握手はできませないですよ」と言いました。普通のアーティストはありえないことですね。彼女は明らかに優雅で愛らしく、俳優としてとても謙虚でした。私たちは今でもとても良い友人になりました。そういえば、2年前の誕生日に彼女に会いました。彼女のバースデーケーキには彼女の写真が載っていて、その下には『I’m Cher, bitch.』 と書かれていました。

◆She’s Cher!
『マンマ・ミーア!2』のキャストの中からシェールについて、いくつかのランダムな感想を述べています。

「彼女は驚くほど地に足がついていて、優しくてシャイなんだけど、外に出ると〝あのシェール〟になるんだ。会った時に彼女に言ったのは、私はバッファローで痩せていて肌荒れしていた女の子だったけど、『I Got You Babe』を聴いて、最高にクールな曲だと思ったし、テレビであなたを見て、地球上で一番クールな女性だと思ったし、今はあなたと一緒に映画を作るなんて信じられないってね」。By:クリスティン・バランスキー

「彼女はセクシーで、優しくて、面白くて、私はほんの数秒で『マンマ・ミーア!』のスターになりました。彼女は信じられないほど魅力的でした」。By:アマンダ・セイフライド

「彼女は私たち全員にプレゼントをくれました。私は 〝Love, Cher〟”と書かれたネックレスを持っています」。By:ジェシカ・キーナン・ウィン

「プレミアの時、私たちはバックステージで歩くのを待っていました。私はシェールの側にいたのですが、シェールは私たちに『肩甲骨を合わせなさい』と言い続けていました。彼女は、私たちが良い姿勢を保ち、おっぱいがきれいに見えるようにアドバイスしてくれたのです」。By:アレクサ・デイヴィス

「もしクソみたいなことに遭遇したら、シェールからアドバイスをもらいたいと思うでしょ」。By:リリー・ジェームズ

「シェールはとても心が温かく、地に足がついているのに自虐的です。彼女には美しい女子高生のような魅力があります。でも傷つきやすい面があります。私は彼女を愛していました。一緒に仕事をしている間に、私たちはとても親しくなったと思います。今も連絡を取り合っていて、『元気にしている?』」ってね」。Byアンディ・ガルシア

An Oral History of the ‘Mamma Mia: Here We Go Again’ Ending (vulture.com)

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