レビュー:『マンマ・ミーア!』ナショナルツアー – フォックスシティーズ・パフォーミングアーツセンター
『マンマ・ミーア!』は、何十年にもわたり世界中の観客を魅了し続けています。この作品は、ABBAの象徴的で時代を超えた音楽に基づいた陽気なスコアで構成されています。美しいギリシャの島を舞台に、心温まるユーモラスな物語が繰り広げられます。若き花嫁ソフィは、自身の結婚式前に父親が誰なのかを突き止めようとします。彼女の旅は、母親がかつて愛した3人の男性との再会へとつながります。思いがけない再会やコミカルな混乱、忘れられない瞬間が満載のこの作品は、史上最も愛される舞台作品のひとつです。「ダンシング・クイーン」「テイク・ア・チャンス」「マンマ・ミーア」など、象徴的な楽曲が詰まったこのショーは、愛、アイデンティティ、友情を祝う楽しくユニークな作品です。
『マンマ・ミーア!』のセットのシンプルさは、創造的なデザインの力を示すものでした。物語と演技が際立つよう工夫されており、日差しの降り注ぐギリシャの島の魅力を呼び起こしました。シンプルで多用途な構造とクリーンなデザインが各シーンを軽やかに変化させ、想像力をかき立てるのに十分なディテールを提供します。大胆なブルー、真っ白な壁、そして暖色系の差し色を巧みに使った演出が島の風景を生き生きと描き、音楽の喜びとエネルギーを反映しました。このミニマリズムなアプローチは、「少ないほど豊かである」ということを証明し、視覚的に印象的でありながら物語を邪魔しない舞台美術が、作品の核心を見事に支えました。
ドナ役を演じたエミリー・クロフトは、母親としての温かさと揺るぎない強さを見事に表現しました。過去を振り返りながら母親としての喜びと苦労に立ち向かう女性の複雑さを捉え、物語に真実味と感動をもたらしました。クロフトの圧倒的な歌唱力は、この作品のハイライトの一つであり、力強さと繊細さを絶妙に織り交ぜながら各楽曲を披露し、観客を彼女の旅に引き込みました。感動的なバラードからエネルギッシュなアンサンブルナンバーまで、彼女の存在感は強烈で、『マンマ・ミーア!』の感情的な核心を美しく支えました。
ロージー役のカーリー・サコラヴの演技は、観客を大爆笑の渦に巻き込みました。彼女の完璧なタイミングとエネルギッシュな演技は圧巻で、観客は終始笑いが止まりませんでした。ウィットに富んだセリフや『テイク・ア・チャンス』での爆笑シーンなど、彼女はどんな瞬間も忘れがたいものに変えました。サコラヴは、コメディの才能を存分に発揮し、ユーモアの達人であることを証明しました。
ソフィ役のエイミー・ウィーバーは、愛らしく繊細な演技で観客の心をつかみました。彼女は若さあふれる楽観主義と父親を探し求める純粋な想いを見事に表現し、ソフィのアイデンティティ探しを観客に共感させました。ウィーバーの澄んだ歌声は物語の感情的な深みを引き出し、キャラクターの旅を優しく支えました。家族との感動的なシーンやエネルギッシュな場面でも、彼女はソフィーの純真さと魅力を体現し、その誠実さと温かさで観客を惹きつけました。
『マンマ・ミーア!』のアンサンブルは圧巻のパフォーマンスを披露し、ショーの象徴的な楽曲を歌い踊りながら、驚異的なスタミナとエネルギーを見せつけました。見事に揃った振り付けと舞台上での存在感が、ギリシャの島の活気を表現し、物語の舞台をダイナミックに演出しました。力強い振付から壮大なハーモニーまで、一糸乱れぬパフォーマンスは観客を圧倒し、その熱意と芸術性が『マンマ・ミーア!』を視覚的かつ音楽的に華やかなスペクタクルへと昇華させました。
『マンマ・ミーア!』は、序盤こそややスローペースで始まりましたが、『ダンシング・クイーン』の圧巻のパフォーマンスで一気に盛り上がりを見せました。この瞬間から、ショーはテンポをつかみ、ABBAのヒット曲と感動的なストーリー、そして活気ある振付が見事に織り交ぜられました。キャストの熱量と観客の高まる興奮が融合し、夜が進むにつれ祝祭の雰囲気が高まっていきました。終盤のコンサート形式での大ヒット曲のメドレーが始まると、劇場全体が総立ちとなり、拍手とダンスが巻き起こり、観客は満面の笑みを浮かべながら劇場を後にしました。
『マンマ・ミーア!』は2024年12月22日(日)まで、フォックスシティーズ・パフォーミングアーツセンターで上演されます。
※フォックスシティーズ・パフォーミングアーツセンター(Fox Cities Performing Arts Center, 略称PAC):アメリカ・ウィスコンシン州アップルトン(Appleton)にある地域を代表する劇場兼文化施設です。