ティナ・ターナーの遺産管理会社が、バーチャルリアリティでの商標登録申請を提出
ティナ・ターナーが亡くなって2年――彼女がホログラムとしてステージに復活する可能性が浮上している。
米国の音楽界のレジェンドであるターナーの遺産を管理する企業が、バーチャルリアリティ内で彼女の名前を商標登録する申請を提出した。この申請が認可されれば、「プラウド・メアリー(Proud Mary)」のシンガーであるターナーが、デジタルアバターとしてアリーナに登場し、彼女の名曲を披露することが可能となる。
商標登録の申請書によると、「ティナ・ターナー(Tina Turner)」の名前は、「バーチャル環境での使用」「バーチャルイベントやコンサートの企画および運営を含むエンターテインメントサービス」として登録されている。
ティナ・ターナーは2023年5月、スイスで83歳の生涯を閉じた。
「ロックンロールの女王」とも呼ばれた彼女は、1億枚以上のレコードを売り上げ、グラミー賞を8回受賞。1985年には、「愛の魔力(What’s Love Got To Do With It)」で3つのグラミーを獲得している。
*ティナ・ターナーがアバターとしてステージに復帰する可能性が浮上。彼女の遺産管理団体が商標登録の書類を提出。(画像:AP)。
他のアーティストも続々とバーチャル化へ
ティナ・ターナーのバーチャル化への動きは、ジョージ・マイケルやフレディ・マーキュリーの遺産管理団体による商標登録申請に続くものだ。
また、ロックバンドオアシス(Oasis)も同様の計画を進めており、KISSも「不滅のデジタルアバター」を発表。メンバーがツアーに出られなくなった後も、バーチャルパフォーマンスを続けることができるようになっている。
このように、ポップスターのホログラムを活用したプロジェクトが急増している背景には、ロンドンのABBA VOYAGEの大成功がある。
このショーは2022年にスタートし、初年度だけで100万枚以上のチケットを販売。ロンドンでも最も人気のある観光アトラクションのひとつとなった。
ABBA VOYAGEでは、ビヨルン、アグネタ、フリーダ、ベニーのホログラムが登場し、「ダンシング・クイーン(Dancing Queen)」や「恋のウォータールー(Waterloo)」などの名曲を披露する。
*ABBAは、ABBAターを使用して大成功を収めた「Voyage」ショーで不滅の存在となった。
クイーンのギタリスト、ブライアン・メイの見解
クイーンのギタリストブライアン・メイ(Brian May)は、The Graham Norton Radio Showのポッドキャストで、フレディ・マーキュリーのホログラム化についての考えを語った。
「私たちはフレディのホログラムについて真剣に検討したことがある。でも、今はまだやりたくない。私たちが生きているうちは、ライブで演奏したいんだ。私はホログラムになりたくない——“本物の自分”として演奏したいんだ」。
ティナ・ターナーの伝説的なキャリア
ティナ・ターナーは1960年代に元夫アイク・ターナー(Ike Turner)とともに音楽界に登場。
彼らのデュオは、「プラウド・メアリー(Proud Mary)」「リバー・ディープ、マウンテン・ハイ(River Deep, Mountain High)」「ナットブッシュ・シティ・リミッツ(Nutbush City Limits)」などのヒットを生み出した。
しかし、ターナーは1970年代に長年の家庭内暴力から逃れるために夫との結婚生活を断ち切ることを決意。
離婚後は財産もなくなり、フードスタンプ(生活保護)に頼りながら、低予算のライブをこなして借金を返済する日々を送った。
音楽業界から見放されたかに思えた彼女だが、イギリスの大物アーティストたちが彼女をサポートしたことで、奇跡の復活を遂げる。
- 1981年、サー・ロッド・スチュワート(Sir Rod Stewart)が「サタデー・ナイト・ライブ(Saturday Night Live)」で共演。
- ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)が、彼女を全米ツアーのゲストとして招待。
- デヴィッド・ボウイ(David Bowie)は、キャピトル・レコードの重役に「俺の好きなシンガーはティナ・ターナーだ」と直談判。
こうした支援のおかげで、ターナーは1984年にソロアルバム「プライベート・ダンサー(Private Dancer)」を発表。
このアルバムは1,000万枚以上の売上を記録し、彼女はグラミー賞を3つ獲得。世界的なソロスターとして確固たる地位を築いた。
ティナ・ターナーのデジタル復活は成功するのか?
ABBA VOYAGEの成功を考えれば、ティナ・ターナーのホログラムショーも、新たなエンターテインメントとして受け入れられる可能性は高い。
だが、ブライアン・メイのように、「ホログラム化」に疑問を持つアーティストもいる。
ティナ・ターナーの音楽と魂は今も多くの人々の心に生き続けている。
果たして、彼女のアバターショーは「音楽界の新たな未来」なのか?
それとも、単なるビジネスプロジェクトに過ぎないのか?
ファンの反応が注目される。
https://www.mirror.co.uk/3am/celebrity-news/late-music-megastar-could-return-34866880