30年以上の時を経て実現した、ディープ・パープルとの予想外のステージ上での再共演によって最近改めて証明されたように、リッチー・ブラックモアは81歳になった今でも、生まれながらのクールさを失っていない。
*クレジット:Far Out / Gladstone~dewik
1970年代の頃ほどのエネルギーは、もうないかもしれない。しかし、ブラックモアが「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のあの有名なイントロのリフを弾き始めれば、会場がどこであろうと、街がどこであろうと、観客はたちまち彼の虜になる。
それは彼が持つ魔法のような才能であり、他のギタリストたちを嫉妬で苛立たせるほどのものだ。
しかし、ブラックモアという人物は、表面的に見える以上に奥深い。
ギター演奏とメタルの双方における先駆者であることを考えれば、音楽的にも個人的にも既成概念にとらわれない、唯一無二の人物であることは当然なのかもしれない。
長年にわたり、元ディープ・パープルのブラックモアは、刺激的で、時には首をかしげたくなるような数々の発言をしてきた。
例えば、彼自身の型破りな芸術性や性格を考えると少々意外だが、1970年代半ば、ブラックモアはデヴィッド・ボウイが大嫌いだとはっきり語り、彼が音楽を単純化してレベルを下げていると批判した。
それだけでも不可解に思えるかもしれないが、それ以上に驚かされるのが、彼がABBA(そう、あのスウェーデンのポップ界のスーパースターたち)を「史上最も好きなバンド」に挙げたことだ。
2024年3月、このギター・ヒーローは、妻のキャンディス・ナイトが司会を務め、インスタグラムで配信された40分間のQ&Aで、その思いを明らかにした。
トークは、ニューヨーク州ロングアイランドにある彼らの自宅の「バジャー・アンド・プッシーキャット・パブ」で行なわれた。
この日のブラックモアは非常に饒舌で、通常のインタビューではなかなか語らないようなことまで明かしていた。
ブラックモアがABBAへの愛を自ら語り始めたのは、昔を振り返り、ディープ・パープル脱退後に結成したレインボーが、フロントマンのロニー・ジェイムス・ディオ、ドラマーのコージー・パウエルとともに、1978年のアルバム『ロング・リヴ・ロックン・ロール』をレコーディングしていた頃のことを思い出した時だった。
彼によると、3人はフランスのシャトー・デルヴィルの暖炉の周りに座りながら、「みんなものすごく退屈していた」という。
新しいアイデアがまったく浮かばず、次第に苛立ち始めていたのだ。
ところが、その夜は思いもよらない展開を迎えた。
まるで昨日の出来事のように、ブラックモアはこう振り返っている。
「コージーが『よし、白状しなきゃならないことがある』と言ったんだ。いつものように俺たちは酒を飲んでいたから、みんな彼を見て、『何を白状するんだ?』と聞いた。すると彼が『覚悟はいいか?』と言うから、俺は『ああ』と答えた。そうしたら彼が『俺、ABBAが好きなんだ』と言ったんだ。そこで俺は『なんてことだ。俺もABBAが大好きだ』と言った。するとロニーまで『そうなんだ。俺もだよ』と言ったんだ」。
ブラックモアは続けた。
「それで俺たちは全員、『ああ、俺たちはABBAが大好きなんだ』なんて言って、自分たちで恥ずかしがっていた。だって、そんなことは言っちゃいけないような雰囲気だったからね」。
その後、コージー・パウエルは自分のABBAのレコードを取りに走り、それをかけ始めたという。
そのおかげで、退屈だったはずの夜は忘れられない一夜へと変わり、ブラックモアにとって今でも大切な思い出になっている。
*クレジット:Far Out / ABBA
あの不思議な夜を振り返りながら、ブラックモアは、ABBAこそ史上最高のバンドだと思っていたことを認めた。
彼はこう語った。
「ABBAが最高のバンドだったと思う」。
そして、
「子どもの頃から、いつもABBAを聴いていた」
と付け加えた。
もっとも、現在の年齢と比べれば当時のブラックモアは「子ども」のように若かったという意味なのだろう。実際には、ABBAの最初のシングルが1972年に発売された時、彼はすでに28歳だった。
それでもブラックモアは、心からこう付け加えている。
「とにかくメロディアスで、すべてがうまく機能していた。本当に素晴らしかった。そして彼らは、おそらく俺が史上最も好きなバンドだ。そう言うのが、ある種の世界ではクールじゃないことも分かっている。でも、彼らは本当に素晴らしかった」。
ABBAのメロディーと、輝きに満ちたポップ・ミュージックの素晴らしさについてのブラックモアの評価は、客観的に見ても正しいと言えるだろう。
とはいえ、ロック界の伝説的人物が、音楽史上のあらゆるアーティストを差し置いてABBAを最も好きだと語るのは、やはり驚きである。
もしかすると、その発言にはパブで飲んでいたビールの影響も多少あったのかもしれない。しかし、その言葉は本心から出たもののように感じられる。
一方で、ABBAの音楽世界は、ブラックモア自身が作り上げてきた音楽とは、まるで別の宇宙に存在しているようなものだ。
おそらく彼にとって、「SOS」や「恋のウォータールー」のような気分を高揚させてくれるヒット曲は、自らが身を置くハードロックの世界から離れ、純粋に別世界へ逃避するための音楽として楽しめるのだろう。
あるいは、ブラックモアは単に私たち全員をからかっていただけで、彼なりのジョークだったものが、いつの間にか事実として受け止められるようになっただけなのかもしれない。
しかし、どうやらそうではなさそうだ。
※リッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)は、イギリスを代表するロック・ギタリストで、ディープ・パープルやレインボーの創設メンバーとして知られています。1945年4月14日生まれで、ハードロック/ヘヴィメタルのギター奏法に大きな影響を与えた人物です。
特にディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「ハイウェイ・スター」「バーン」などでの演奏は有名です。1975年にディープ・パープルを離れ、レインボーを結成。ロニー・ジェイムス・ディオやコージー・パウエルらとともに、「スターゲイザー」「ロング・リヴ・ロックン・ロール」などを生み出しました。
その後は妻のキャンディス・ナイトとブラックモアズ・ナイトを結成し、ルネサンス音楽やフォークを取り入れた音楽にも取り組んでいます。
そしてABBAファンにとって興味深いのが、ブラックモアがABBAを「おそらく史上最も好きなバンド」と語っていることです。ハードロック界を代表するギタリストでありながら、ABBAの優れたメロディーを非常に高く評価しており、レインボー時代にはロニー・ジェイムス・ディオやコージー・パウエルもABBA好きだったというエピソードを明かしています。
https://faroutmagazine.co.uk/uncool-pop-group-ritchie-blackmore-favourite-band-all-time/


